いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

私たちは実力の10%も出せていないのでは

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■個人的な話から

 私は、楽器を習っている。ちなみに、先生は元IT系の人。やっぱり考え方が似てるのか、「この人に習いたい!」と思い門を叩いた。以来、1年くらいになるだろうか。ちなみに、この教室の教え方が変わっている。いや、私に対してだから変わっているのだろうか。そこは分からない。とにかく、教え方がうまいのだ。

 音楽というのが直感を重視するためだろうか、音楽の先生というのは直感に頼る人が多い。理論を聞かれても、「慣れ」とか「練習」という返答が多く、あまり理論的な答えが望めない。だが、この先生、聞くときっちりと納得できる理論で返答できるんです。理論がしっかりしているので、たまにコラムの元ネタなんかにもします。

■そんな先生のポロッと言った一言

 その先生のブログが先日、完成したそうだ。元々IT系の仕事をしてたので、自分でいろいろと作り込んだそうです。その時にポロッとこんなことを言った。

「苦労しましたよ。やっぱり私、IT系は向いてなかったのかな」

 実は、この一言に私は衝撃を受けた。向いていないどころか、きっと私でも敵わないくらいのITにも通じる資質を感じていたからです。

■「音楽」と「IT」そこには1つの差があった

 この先生ですが、非常に素晴らしい点が1つある。自分の先生が言ったことをきっちり、真面目に実行し、努力を怠らないことです。それが、私が感じているITにも通じる資質です。

 この先生、ITをやっていた期間がウン年間だそうです(年齢がバレるので、一応伏せておきます)まぁ、そこそこ長い期間です。本人曰く、頑張ってはみたものの激務続きで、疲れ果て鳴かず飛ばずで潰れてしまったそうです。

 ちなみに、音楽を始めたのは20代に入ってからだろうです。まぁ、音楽をやるにしては明らかに遅い年代です。ただ、ついた先生が素晴らしかったようです。的確な指導の元、真面目に努力して、今や1つ教室を持つに至る。しかも、新聞で紹介されたり(といっても地方紙だが)、わざわざ遠方から習いにきたり(私もその1人)する人もいるくらいの教室だ。

 もし、IT業界にまともに人を育成する仕組みがあったら、一流エンジニアとしてバリバリ働いていたのかなぁ。そんな風に思う。

■埋もれた才能は思うより莫大かもしれない

 そんなことで、育つだけの要素があっても能力を発揮する前に業界を去る人が多いのではないかと思う。これはIT業界だけに限らない話かもしれないが。

 ここからは持論になりますが、才能といっても発揮するためにはいろいろな条件やきっかけが必要です。才能を持つ人は思うよりたくさんいると思う。この条件を揃えたり、きっかけを与えるのが難しいのだ。

 今、IT業界は非常に条件が悪い。やたらと短い納期で高品質を求められる。そういう中で仕事をしているんです。正当な納期と予算で仕事をした時の10%も能力が発揮されていないのではなかろうか。

 元から何を持ってるかより、いろんな条件やきっかけを与える。そこが重要だと私は考える。

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