『逆転転職』第1話:はじめての転職
『逆 転 転 職』
第1話:はじめての転職
■□■
9月24日 午後6時47分。某会社事務所にて。
😨「あ、あのう……課長。ちょ、ちょっとお話が……」
♑「なんだ?」
😔「実は、ちょっとご相談があるんですが……」
♑「だーかーらーなんなんだ?」
😔「ちょっと、向こうの打ち合わせスペースでいいですか?」
♑「ん? あぁ」
😫「実は、その……年内で会社を辞めます」
♑「!!」
ボクの名前は安原テンマ(やすはらてんま)。入社6年目のシステムエンジニアだ。
あ、いや、「だった」かな。
会社では中堅と呼ばれ、部下もいて上司もいる。役職こそはついていないが、重要な仕事も任されてきた。ただ、最近の不景気で親会社から人がどんどん下ってきて、このままここにいてもっていう不安がある。
先輩も後輩もどんどん会社を辞めていって、さらに不安が募ってきた。
ここだけの話、下ってきた人が憂さ晴らしなのか、ボクら生粋の社員、いわゆる「プロパー」いじめをする人が多く、ほとんどが精神的にまいって辞めていっている。
フツーの展開だと、ある日突然、すでに会社を辞めた先輩に呼ばれてその人から転職の秘訣を聞いて、転職大成功! っていうことになるのだけど、あいにく、ボクは人付き合いが苦手だから、そういう展開はない。
辞めるといったのも、
「就業規則を見て、退職する場合は3カ月前に会社にいうべし」
というのを真に受けて。転職先は決まっていなく、その活動すら開始していないにもかかわらず宣言してしまったぐらいだ。
♑「で、次の会社はどこなんだ?」
😢「いや、決まっていません」
♑「嘘つくなよ、な、オレだけにはいってくれよ」
😡「だから、決まってませんって。そういう活動もこれからですし」
♑「お前、バカか?」
😅「へ?」
♑「決まっていないんだったら、辞めるなんていうなよ」
😨「いや、でも就業規則に辞める3カ月前に言えって書いてあるし」
♑「じゃあ、聞くけど、いつやめるんだ?」
😣「えーっと、年末です」
♑「なんで?」
😨「3カ月後だし、なんとなくキリがいいかなと思いまして」
♑「……」
😅「……」
♑「あのさ」
😊「はい?」
♑「正直な話、うちの課では毎月連続で辞めてるんだよ」
😣「そうですね」
♑「オレの評価が下がるから、お前、辞めるの辞めない?」
😅「え?」
♑「いや、ジョーダンだよ」
😔「……(本気だったな、いまの)」
♑「オレは今の話聞かなかったことにするからな」
😠「申し訳ありませんが、もう決めたのでそうさせていただきます!」
その日からボクの転職活動が始まった。それと同時に、ボクが会社を辞めるというのも瞬く間に社内に広がっていた。
とりあず、インターネットで調べて、片っ端から転職サイトに登録。いくつかスカウトもあり、面接も受けたけど、どれもダメ。向こうは中途採用慣れしているが、こちらはかなりの素人。
人とあまり接しなくて良いという理由でシステムエンジニアを選んだこともあり、面接は失敗の連続だった。
大学での就職活動は6年前だったから、当時のやり方なんてまったく通用しない。参考までに映画「就職戦線異状なし」をレンタルで借りて参考にしてしまったので、ますます泥沼に沈んでいく。どうして、うまくいかないんだろう。
待った!
そうだ、ボクは織田裕二じゃない、安原テンマなんだ。だから、ボクらしい転職活動しないといけないんだ……と思う。
会社を辞めるまでの残された時間はもうあまりない……と思う。あぁ、どうしよう……、ん?
転職サイトからメールが来た。転職エージェント? 転職活動をプロがサポートします? このままだとどうにもならないから、このサポートを受けてみることにした。
(続く)
※このドラマは、作者の体験を元にしたフィクションです。
コメント
組長
こんばんは。組長です。
おぉ、なんだか面白そうな連載が始まりましたー!!笑
自分も1回だけ転職活動をしたことがありますが、その時は
エージェントのお世話にならなかったので、とても興味深いです。
次回も楽しみにしております。
ヴァン
こんにちは。
転職サイトの求人はなかなか難しいですよね。
まず面接までが遠い。
面接まで行ってもその先が...
続編を期待してます。
逆転仕事術
組長さん、こんばんわ。
今回は連載4話が終わるまでコメント控えておりました。
私の場合は行き当たりばったりのハッタリ人生に使いので、転職1つとっても誰からのサポートがないとかなり大変だった恐怖の体験を今回、まとめてみました。
逆転仕事術
ヴァンさん、コメントありがとうございます。
転職サイトの求人は公開と非公開があるらしく、それも知りたくて、登録したこともあります。
これは実際に登録して分かったのですが、エージェントの方と話すと、予算や意図的なこともあり、いろいろと裏の勉強ができました。
エージェントさんのいい面は、OKやNGにしても、きちんとフィードバックしてもらえるのがうれしいところです。
人生において、客観的に否定してくれる人はそういないですからね。