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『逆転転職』第2話:逆転エージェント

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『逆 転 転 職』 

第2話:逆転エージェント

■□■

 9月25日 午後18時55分、某転職紹介会社某応接室。

😅「うぅ……キンチョーしてきた……」

♍「こんばんわ、はじめまして! 転職エージェントの千代田くみと申します」

😣「は、はじめまして! 転職活動中の安原テンマと申す」

♍「えーっと、今日は会社帰りの所、お越しいただきましてありがとうございます」

😅「いえ、こちらこそ、そのぅ……お越しいただかれましてありがとうでござる」

♍「え?」

😅「あ、いや……なんでもありません」

♍「ひょっとしてけっこう緊張されるほうですか?」

😨「はぁ、そうなんです……」

♍「あのぅ、顔色悪いですが大丈夫ですか?」

😜「そそ、それは、だ、大丈夫です! 胃薬飲んできましたからね!」

♍「えー!? そこまで緊張されているのですか?」

 ボクの名前は安原テンマ(やすはらてんま)。入社6年目の転職活動中のシステムエンジニアだ。

 就業規則を律儀に守り、3カ月前に会社に辞める旨を伝えた。すでに転職した人は、転職先が決まってから辞めることを上司に伝えるケースが多い。

 だけど、ボクはお世話になった会社に対して義に反する行動はしたくなかったので、約束は約束通り実行した。とはいっても、会社を辞めるという時点でなんとなく義に反するような感じもしているけど。

 自己流で初めての転職活動をしてきたが、まったくうまく行かず、今回は転職紹介会社の転職サポートサービスを受けにエージェントさんに会いに来た。

♍「じゃあ、このまま堅い言葉で、緊張させ続けるのもよくないので、ここからは転職経験者の先輩、すなわち、TSとしてアドバイスするわね」

😅「え、ティーエス……ですか?」

♍「うん、Tensyoku Senpaiの略してTS。あはは! もう、ジョーダンよ、ジョーダン!(バシバシ)」

😭「いたた……(この人で大丈夫なのだろうか)」

♍「でね、自分でも転職活動をしているでしょ?どうだった?」

😔「いつもいいところまではいっているのですが、なかなかうまく行かないんです」

♍「えーっと、『いいところ』ってどこ?」

😨「あ、その、書類選考、かな」

♍「……」

😨「…………」

♍「それは「いいところ」とはいわないでしょ」

😫「はぁ」

♍「ちなみに、書類選考は100%クリアできているの?」

😣「たぶん、そうだと思います」

♍「たぶん?」

😅「書類選考でダメだったという連絡はないので……」

♍「そう、確かに個人で活動している場合NGといちいち伝えるケースは少ないかも。ひょっとして大手ねらいだったりする?」

😫「あ、なんで、分かったんですか?」

♍「やっぱりなぁ。えーっと、それじゃあ、ちょっと息抜きで面接の練習してみない?」

😃「は、はい、お願いします」

-面接開始-

♍「では、転職理由をいってください」

😣「はい、御社はこの業界では有名で、わたしもそのお役に立ちたいと思ったからです」

待った!

♍「それって、転職理由?」

😅「え、いや、その、はぁ、そうだと思います」

♍「次に聞きますが、うちの会社の魅力はなんでしょうか?」

😣「はい、受付の方がとてもいい対応をしていただき、また、ここに来るまでの間、社員の方とすれ違ったのですが、とても感じがよかったです」

待った!

♍「……。えーっと。もういいわ」

-面接終了-

😨「あのぅ、どうでしたでしょうか?」

♍「安原さん、あなたの弱点が分かったわ」

😜「あ、キンチョーしやすいところですよね」

♍「ううん、そうではないの」

😅「え!?」

♍「安原さん、あなたは本当のことを話していないでしょ? 例えば、転職理由、本当は違った理由があるんじゃないの?」

 ボクは転職を考えた直接の理由が、今の会社の不満だということを話した。親会社から人がどんどん下ってきている現状の不安や、その人達によるプロパーいじめなど。

♍「なるほど、そうだったの」

😢「こういったことをいってもいいのかどうか、迷って、これまではなるべくいわないようにしていたんです」

♍「いいんじゃない、面接で話しても」

😅「ええ!」

♍「ただし、現場の気持ちを一度、面接官の気持ちに立場を逆転してみて」

😨「はぁ、逆転……ですか?」

♍「そうすれば、きっとあなたの気持ちは伝わるわよ」

😔「ボクの気持ち……?」

♍「そう、安原さん、あなたの気持ち。この紙に今までのことを整理してみて。えーっと半分に折って、右半分があなたの受けた事実とそのとき感じたあなたの本当の気持ち。気持ちはカッコの中に入れて書いてみて」

 親会社からの天下り(昇進できずに不安)

😜「うーん、こんな感じですか?」

♍「そう、そういう感じでいま話したことをどんどん箇条書きで書いてみて」

😃「……できました!」

♍「そう。それで、今度は左半分に面接官、うーんと、人事部の人や、できれば経営者の人がなぜそうしなければいけなかったのかの事実。そして、同じようにその人達の気持ちをカッコに書いてみて」

😔「む、難しいですね。うーんとこんな感じかな」

 会社の方針(逆らえない)

 /親会社からの天下り(昇進できずに不安)

♍「左の事実だけを抽出すると、重複しているキーワードがあるじゃない? それが相手の心に響くあなたの転職理由よ」

😌「相手の心に響く……ボクの転職理由?」

♍「じゃあ、もう一度面接の練習するわよ。あなたの転職理由をいってください」

-面接開始-

♍「あなたの転職理由をいってください」

くらえ!

😔「入社当時の会社の方針がいまと異なり、仕方なく転職を決意しました!」

♍「……」

😫「……」

♍「……。えーっと、合格!」

-面接終了-

 このときはまだ知ることができなかったが、千代田さんから教えてもらったのはこれが最初で最後だった(つづく)。

※このドラマは、作者の体験を元にしたフィクションです。

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