@ITドラマ「残業課長 和久原アトム」第7話:残業課長が街にやってきた!
@ITドラマ 「残業課長 和久原アトム」
[第7話]残業課長が街にやってきた!
オレは、和久原アトム。小さなシステム会社で課長をしている。
人はオレのことをこう呼ぶ。
「残業課長、和久原」
始業時間が10分過ぎても、新人の酒田ノリコはこねえ。
それどころか、あいつの教育担当の朝田ススムのヤローもこねえ。
「課長、何イライラしてるんですか?」
こいつはマネージャーの安須ケイスケ。チームでかなり信頼されている男だ。女にも人気のあるのがちょっとアレだが。
「酒田も朝田も、きてねえんだ」
「あれ、2人とも今日休みですよ」
「なに!? ……ん、なんでおまえ知ってんだ?」
「昨日、帰りが一緒で、2人とも疲れている様子だったんで、休ませました」
「お、おまえなー、何の権限があってそういうことするんだ!」
「最近、休出多かったし、実際、体調悪そうだったじゃないですか、2人とも」
「そんなもん、気合いのKがたりねえんじゃねえのか!?」
「一緒にお昼食べても、食べる量が減ってきていますし」
確かに、昨日の天ぷら、オレがもらってたなぁ。朝田のやつも、天ぷら屋に連れて行ったのに素うどん食ってたし。
「それに、課長、今日は何の日か知ってるんですか?」
「え、今日か……? あ!」
「そうです、今日は……」
「トウフとニシンの日だよ!」
「……へ?」
「12月の12がトーフで、24日の24がニシン。どこの居酒屋でも張り紙してあるぞ!」
「はぁ……。クリスマスイヴぐらい、2人とも若いんだから、休ませてあげましょうよ」
幸い、午前中はトラブルもなく終わった。ま、あったとしても、安須のやつがなんとかしてるんだろうけどな。
プルプルプル
あー、もう、誰だよ、これからメシ食べようと思っていたのに!
「和久原くん、あたしよ!」
電話は同期の杜メグミだった。あいつ、モリメグって同期の間で呼ばれていたのに、いまじゃあ、そんなこといえねえぐらい出世しやがった。
「オカケニナッタデンワバンゴウハ……」
「内線で、んなわけないでしょ、バカ!」
「なんだよ、一緒にメシならいかねえぞ」
「あたしだって、あんたとなんかイヤよ。それより、テレビテレビ! ちょっとフジテレビ観てみて!」
「あっ!」
「なんで、彼女たち、笑っていいともに出てるのよ?」
「イブに有名人そっくりさん大集合、だあ? しかも、酒田のやつ、ん、がっきい? 誰だそりゃ? そっくりだかさっぱりわからん! 朝田のやつは……なんだ、なんもしねえのか!」
「あの2人がテレビに出るなんてね」
「問題になるのか?」
「うーん。総務はもう久実本部長じゃないし。新しくきた、新沼さんは手強いわよ」
そうだった、新沼アツコは外部から来た新しい総務本部長。鬼のアッコなんていわれる。
「たとえば、会社からのクリスマスプレゼントとかで、なんとかならないか?」
「へー、あんたがそんなこというなんて、めずらしいじゃない? 部下思いのワッキーに免じてなんとかするわよ」
クッ、イヤなあだ名を思い出しやがって。
「わ、和久原課長、たたた、大変です!!」
血相変えて、安須がやってきた。
「じゃあ、モリメグ、あとは頼んだぞ!(ガチャ)」
■次回予告■
「そういえば、あんときも、あんたはいってたよね。
『大丈夫だ!オレにまかせろ!!』
って」
「……」
「ねえ、どうしてあの時、あんなことになっちゃったんだろう。」
「知るか!」
11月24日 夜の18時10分に放送!
※このドラマは、作者の体験を元にしたフィクションです。