はじめまして。消火器といいます。大学では哲学をやっていましたが、新卒でなぜかエンジニアになっちゃいました。これから、週1ぐらいのペースでなにかしら書こうかな、と思っています。
ネタは人工知能ネタをメインにしたい......ところですが、勉強が追い付かなかったりなんだりした場合とかは、全然別のネタになるかもしれないです(井上陽水についてちょっと書きたい感がある)。
こんな感じなので気楽に読んでいただければと思います......。これからお願いいたしますm(_ _)m
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さて、今回は、AIの「味気なさ」について考えてみます。え?こんなに夢があふれる技術ないじゃないかって?それは僕もほんとにそう思うんですが......。
AIは「味気ない」
昨今、われわれの身近にも姿を現すようになったAI。といっても、あれですね、ターミネーターの世界よろしく、ほんとに人間の姿で紛れ込んでいるわけじゃありませんが(そうだと願いたい)。グーグルでも、スポティファイでも、インスタグラムでも、われわれがふつうに使っているサービスの多くで、すでにAIは「働いて」いるわけです。
でも、正直な話、AIって味気なくないですか?ラインやツイッターでは、自動で会話してくれるAIもあります。でも、そうしたAIとの会話に熱中しちゃったり、影響受けちゃったり、みたいなことって、まだ全然起こらない。なんかつまんないんです。
AIはなぜ「味気ない」?
単刀直入に言って、そうしたAIは「独立した人格を持たない」からつまらないんだと思います。ラインやツイッターで自動会話していて、相手の顔がなんとなくでも浮かびますか?AIのレコメンドサービスについてもそうです。AIにはまだ「顔」がないんです。だから味気ないんです。
そんな無茶な。それこそターミネーターの世界にでもならない限り、そんなことは不可能じゃないか。その通りです。でも、もしかすると、部分的にはすぐに実現できるかもしれない。すこし、妄想の翼を広げてみましょう。
自動作曲分野におけるAI
AIはクリエイティブ方面にも手を出しています。今のところうまくやっている例はそれほど多くありませんが、確かな成果も出始めています。
たとえば、ビートルズの楽曲を学習した結果、ビートルズ風の曲を作れるようになっちゃったというAIがあります。
こちらの動画で演奏されている曲は、AIが作曲したものです(編曲や作詞は人間の手によるものだそうです)。良い曲だなあ~。後期ビートルズっぽいけだるげな曲に仕上がっています。作ったのはジョンかな?などと変な想像も膨らみます(笑)
曲を聞くと、この曲を作った人はどんな人なのだろう、と想像することができます。いわゆるファインアート、いかにも芸術ですっ!ってやつになると、作者を想像するということはあまりしないようですが、特に大衆音楽や小説においては、作品を通して作者の人間像を想像するということをしてしまいがちなのではないでしょうか。
ここに可能性があるんです。われわれが、幻としてのAI人格を、AIの「顔」を見る可能性が。
幻としてのAIの「顔」
ここまで、AIの「味気なさ」というのは、AIに独立した人格がない、つまり「顔」がないことが原因だと考えました。そして、音楽や小説などを通して、われわれは作者の人間像を想像するということにも触れました。
つまり、AIが作曲したものを聞いて、もしわれわれが「顔」を思い浮かべられたら、われわれの想像のなかに、AIが「顔」を持ち始めたといえるんじゃないでしょうか......!
そのためには、まずクリアしなくちゃならないいくつかの条件がある思います。
自動作曲AIが「顔」を持つための条件
1、作られた曲がでたらめな感じではないこと
でたらめな楽曲では、作者がなにを良い(美しい)と思い、なにを良くない(美しくない)と思うかわかりません。作曲において、ある統一された判断基準(=その作者なりの「美学」)があるように感じられることが、われわれが作品の背後に「顔」を見る最初の条件だと思います。
2、独特の「美学」を持つこと
たとえば、先ほど例に挙げたビートルズ風の楽曲生成AIは、明らかに1つめの条件をクリアしています。まさに、ビートルズ風の「美学」を学習し、それを反映し作曲することに成功しているわけです。でも、まだ「顔」は浮かびません。
なぜか。それは、あまりにも忠実で、ビートルズ風でしかないからです。特定の誰かの影響しか受けていない、その忠実なコピーでしかない人間というのはいません。必ず、その人特有のなにかを持っているはずです。われわれがAIの「顔」を幻視するためには、AIが独自の「美学」を作り出すことが必要なはずです。
じゃ、どうすりゃいいのさ
現時点で、特定の誰かの「美学」をコピーすることには成功しています。ここから先のアプローチは、主に2つ考えられます。
1、複数の「美学」をコピーする
現段階で実現可能で、かつすでに試みられているアプローチがこれです。
この動画では、ドイツのクラウトロックバンドCanなど、計5組のアーティストの楽曲を学習して作られた曲が演奏されています。問題は、ここから作者の「顔」が見えるか否か、というところです(みなさん是非聞いて、想像してみてください)。
複数の「美学」を学習する場合、それらを統合し統一感を出す必要が出てきます。これは、単一の「美学」を学習する場合とは異なる点です。
2、学習した特定の「美学」から、独自に「美学」を生成する
あるものから類似したなにかを生成する、というのは、AIの得意とするところです。たとえば、顔写真をひたすら学習した結果、ぜんぜん実在しない人の顔写真を作れるようになっちゃったAIなんてのがあります。
https://generated.photos/
このサービスは、よく考えると、これまで語ってきたような人間の「顔」の特権的地位を脅かす恐ろしいサービスなのですが、それはともかく、生成ということも、AIが学習し得るものの1つだということが、これでお分かりになると思います。
なんらかの手段で「美学」の生成ということをAIが学習できれば、たとえばビートルズの「美学」をAIが独自の方向性で進化させ、新たな「美学」を生成する、ということも考えられるわけです。
しめ
AIが「顔」を持つ可能性について、ちょっと考えてみました。ばかみたいな妄想だと思われるかもしれませんが、自分は、AIという技術が、どこまでばかみたいなことをしてくれるのか、とても楽しみにしています。
消火器
2020/06/20 22:02:44