社会保険事務所に怒鳴りこむ
9月といえば、もうすぐ社会保険料の標準報酬月額の定時決定が行なわれますよね。ちょうど、一年前の定時決定のときに社会保険事務所に文句を言いにいったことを思い出します。
■社会保険料の標準報酬月額について
システムなどで給与システムを作っているなど、よくご存知の方は読み飛ばしてください。ここでは、ごくごく簡単に説明します。
社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)は給与の額に応じて保険料が変わります。その額は給与の月額を区切りのよい幅で区分した「標準報酬月額」と賞与の額で保険料が決まるわけです。
「標準報酬月額」というのは、4月・5月・6月分の給与の平均額から決定される定時決定と、昇給・降給などにより著しく固定給が変動した場合(等級が2階級以上変動した場合)の4カ月目に見直される随時改定があります。
よく、4月~6月に残業をたくさんすると保険料が上がる、というのはこのためですね。定時決定は10月に実施されますので、もう間もなくですね。ただし、7月~9月に随時改定が行なわれた人は定時決定は行なわれません。
ちょっと難しい言葉がたくさんでてきましたが、これでも、ものすごく端折っています(よく知っている人が読んだら、指摘を受けそうですが……)。
では具体的に説明しますと、例えば毎月の給与が305,000円だったとします(例えばの数字で、根拠はありませんので……)。
社会保険庁のページの保険料額表で「標準報酬月額」を調べることができますので、見てみると290,000円~310,000円に該当しますので、「標準報酬月額」は300,000で等級は22となります(この範囲や保険料は定期的に見直されますので、ここでは例として“平成19年4月分(5月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表”を参考にしています)。
介護保険を払わないので、健康保険料が24,600円となり、厚生年金保険料が43,926円となります。実際は、この金額は会社との折半になりますので毎月払う金額は健康保険料が12,300円となり、厚生年金保険料が21,963円となります。
こうして、わたしたち従業員の保険料は決定されます。
■給与が下がるのになんで社会保険料が上がるんだ!!
昨年、わたしは職場復帰後に短縮時間勤務を申請しました。それにより給与が減ることになりました。ところが、10月の定時決定時に出された決定は、等級が1つ上がっていたのです。
「なんで、給与が下がってるのに保険料があがってるんだ~!!」と納得いきません。総轄課のお兄さんに言ったら、
「自分もおかしいと思って聞いてみたけど、間違いないんだって」と頼りなげ。
いやいや、納得いかないでしょ、これは。だったら、直接文句を言いに、もとい、理由を聞きに自分で社会保険事務所に行ってきます! 雨の中、決定通知書を握り締めて乗り込んでいきましたよ。
(長いので押し問答、省略……)
結局、社会保険事務所の説明はこうでした。先ほどの305,000円を例にします。
わたしの会社は3月に昇給します。だから、4月からは給与が上がります。10,000円の昇給で315,000円となり、保険料額表で調べると等級が23ですが、2階級は変動しないため7月の随時改定は行なわれません。
その後、わたしは5月21日から短縮時間勤務を始めましたので6月から給与が下がります。40,000円の降給で275,000円となり、保険料額表で調べると等級が21ですが、今回も2階級は変動しないため9月の随時改訂は行なわれません。
そして、10月に定時決定の際には4月、5月、6月の給与の平均から計算すると、等級が23になります。
つまり、実際の給料だけを見れば、22→23→21と2階級変動しているのですが、もとの等級22から見れば1階級しか変動していないため確かに正しいわけです。それでも、やっぱり給料が減っているのに保険料があがるってのは納得がいかないんですよ。
というのは、この例で元の給与が305,000円ではなく295,000円だった場合、等級は22です。10,000円昇給すると305,000円ですが、等級の変動はありません。その後短縮勤務によって40,000円降給すると265,000円となり、等級は20となり、2階級変動となるため随時改定が行なわれるわけです。
そして、7・8・9月のいずれかで随時改定が行なわれると定時決定は行なわれないので、10月以降の等級は20となります。
元の給与が少し違うだけでこのような差がでてしまうことに納得することができませんでした。
粘った結果、「保険者決定」というものが存在しました。
これは、通常の定時決定や随時改定以外で、著しく現状の報酬と保険料に差が出る場合は保険者の判断により「標準報酬月額」を決定することができるという制度だそうです。これで本来の給与に見合った保険料にしてもらうことができました。
きちんと話してみるものだな~、などと納得して帰ってきました。
■思わぬことが発覚しました
今回、社会保険事務所に話をしにいって過去の保険料について調査していたら思いもよらないことが発覚しました。
わたしは保育園の都合により、育児休業を延長していました。
もちろん、延長していた期間の育児休業給付金もでていたのできちんと手続きされていると思っていました。
しかし、今回調べた中で、実はわたしは育児休業の延長をしていないことになっていたのです! つまり、会社は本来払う必要のない社会保険料をせっせと支払っていたようです。育児休業給付金というのは雇用保険から給付されます。そのため、雇用保険関係には延長の手続きがなされていたのですが、社会保険事務所には延長手続きがされていなかったのです。
届け先が1つだったら、そんなこと起こらなかったのでしょうに……。
結局、書類を再度提出しなおして、余分に支払った保険料が会社に返金されることになりました。このゴタゴタがなかったら、そのまま気づかなかったでしょうね。きっと。
■あまり知られていませんが
もう1つ、新たに知ったことがありました。育児による短縮時間勤務をしている場合、大抵の場合は給与が減額されます。そうすると、支払う保険料は安くなるのですが、それにより将来もらえる年金額も少なくなるのです。
そのための育児休業からの復帰時に給与が下がった場合は保険料の随時改定と同時に特別措置がとられます。
育児休業開始時点の給与をもとに算定された等級の保険料を支払ったものとして記録されることになるのです(短縮時間勤務を始めてから子供が3歳になるまでの分です)。実際に支払うのは実際の下がった給与に基づいた保険料です。
わりと最近改定されたものらしく、そのような制度が実はあるのだそうです。これも今後いつまで続く制度かはわかりませんが。
■知らなければそのまま
長文になってしまいましたが、これらも知らなければそのまま何の疑問も持たなかったことですね。
ガメついおばちゃんという印象満載のコラムなのですが😅、でも少しでも払わなくて済むのなら努力を惜しまないのが主婦なんですよ~。
コメント
虚人
おお、なんてややこしい制度なんでしょうね。
私も初めて聞くことばかりです!
情報ありがとうございましたm(_ _)m
kuma
はじまして
友ぞうさん
仕事はSEしてますが、今は趣味になって社会保険を勉強している者です。
#一応、その関連の資格を保有していますが、いかせてません。
さて、ご不満はもっともです。ご自身で究明されたその
姿勢は素晴らしいと思います。
現在は、被保険者(保険に加入している人)が会社経由なり
直接なりで確認する以外に方法はないです。
ただ、現場の人達もかわいそうな部分があるんですよ。
そもそも、労働保険(労災・雇用)と社会保険(健康保険・厚生年金)
は徴収方法は全く異なるものです。
>届け先が1つだったら、そんなこと起こらなかったのでしょう
今年からは、労働保険の概算保険料の申告も7月10日が締切となり
社会保険の定時決定と同じになりました。おそらく今後は、歳入徴収
に関しては、窓口を一本化するのではないかと考えられます。
友ぞうさんのような、例は少なくなると考えられます。
ただ、雇用保険は対象ですが社会保険は対象外の人や、健康保険組合
の加入の場合は、育児休業の提出書類は別に提出する必要があると
考えます。
労働保険には、組合はありませんから。
とほほ
友ぞう
虚人さん、こんにちは。
>おお、なんてややこしい制度なんでしょうね。
そうですよね~。書いて説明するのもややこしいし、
それを自分で読み直してもややこしいです。
これはもう、社会保険事務所の人を信じるしかありません・・・
3回くらい聞きなおしてしまいましたよ。
友ぞう
kumaさんこんにちは。
>仕事はSEしてますが、今は趣味になって社会保険を勉強している者です。
>#一応、その関連の資格を保有していますが、いかせてません。
おお!すごいですね。資格をお持ちなのですか。
自分に関わることを調べるだけでもかなり苦労したのですが、勉強となると
制度もコロコロ変わったりして、大変だったのではないですか?
>ただ、雇用保険は対象ですが社会保険は対象外の人や、健康保険組合
>の加入の場合は、育児休業の提出書類は別に提出する必要があると
>考えます。
>労働保険には、組合はありませんから。
なるほど。組合がある場合はまた違ってくるわけですね。
私の会社では健康保険組合には加入してなくて、
政府管掌健康保険(今は協会けんぽだか健康保険協会だかでしたっけ)だから
まだマシということなのでしょうね。
うーん。ほんとに複雑ですね。