親切そうな顔して人を傷つけるなんて
■復帰してからの日々
世の中には、親切そうに相手の心配をしているような顔をしながら、自分のことしか考えてない人というのがいるものです。わたしの所属部門長がまさにそれ。
復帰して最初に与えられた仕事は
「何もするな」
でした。何もするなって、会社にいる間、仕事も与えられずにただ机に向かって座っていろと。その上、
「他の社員は業務で忙しいから一切話しかけるな」
と指示されたのです。
これって、窓際に追いやられてる感じ? その部門長曰く、仕事復帰して生活に慣れるためにまだ仕事はしなくてもいい、ということでした。一見親切そうな言葉ですよね。
でもよく考えてみてください。
一日誰ともしゃべらず、仕事も与えられることなく、ただ机に向かっている。あなたなら耐えられますか?
だったら自分で勉強でもするかと思って、仕事がないなら勉強していますと言ったら、
「勉強なんて仕事中にするな!」と。
もう意味がわかりません。仕事はするな、勉強もするなって。半期はとりあえず我慢することにしました。育児休業復帰給付金をもらうため、6カ月は我慢です。
■迫害(?)の日々
とりあえずひたすら我慢の日々を送っていたのですが、ある日、半期以降どうしていくかという話し合いが部門長ともたれました。その時言われた言葉は、いつまでも忘れられません。
「きみは、言い方は悪いけど、ある意味賞味期限が切れているんだ。それをどう生かしていくか考えよう」
賞味期限が切れている? 子供がいる状態で働くことは、確かにハンデがあります。
でもわたし、賞味期限が切れてるの?
時間に制約があって、子供の病気で急に休むことがあっても、ちゃんと与えられた仕事はできるし、開発だって設計だってできないわけじゃない。それなのに賞味期限が切れてるなんて、それが本音なのかと愕然としました。
また、復帰してすぐは季節が冬ということもあり、子供が頻繁に病気になりました。今まで家にいたので抵抗力がなく、託児所ではありとあらゆる病気をもらってきました。
少しは遠慮してくれればいいのに、もらえるウィルスは全部もらってくる子供。1週間休んだり、入院したり、とにかく最初の月はほとんど出勤できませんでした。
休みの連絡を入れるとき、また休むと言うことが心苦しくて本当にいやでした。その時の部門長は、
「抵抗力がないからしかたないよ」
と言っていたのです。最初のうちは……。でも何度も休みの連絡を入れるうちに、
「まだ復帰は早かったんじゃないか」「子供の体調管理もしっかりしてもらわないと」
などと言うようになってきたのです。
子供の体調管理って、言われなくてもちゃんとやってます。でも託児所でもらってくるものはどうしようもないじゃないですか。体調管理しても、病気にかかるものはかかるんです!!
有休の数を考えて、「子の看護休暇」を取得することにしました。年間5日は、有休とは別に取得する権利が認められています。もちろん会社の就業規則にも書かれているので、申請することにしました。
ここでまたまた部門長。
「権利ばっかり主張するな!」
だそうです。
どういう意味でしょうね。権利ばっかり主張して仕事もしてないのに、って意味なら、仕事を与えないのはその部門長なんですけどね。
こんな心ない言葉に耐えながらそれでもやめてたまるか! という一心で続けていました。
■その後与えられた仕事は
我慢に我慢を重ねて半期を過ごして、そろそろ現場に復帰できることを期待していました。そして与えられた仕事は、社内の、それも所属部署内だけで使用する販売管理システム。
……
なんだそれ。一体誰が使うんだそんなシステム。思いつきの暇つぶしにあてがっておけ、というのが見え見えです。
わたしのいる会社は各部署で伝票を手書きして、実際の処理を行うのは別の部署です。仕入れ処理も売上処理もそれぞれ別々の部署が行っており、各部署はその情報を閲覧するのみなのです(今どきシステム会社でそれはないだろう、という仕組みなのですが)。
売掛金や在庫を簡単に調べられないから、それを見られるシステムが必要というのはわかります。それならば全社のシステムを見直すべきです。
それなのに自分の部署内だけで使用するシステムを作れと言う訳です。そのシステムに誰が情報を入力するのでしょうか? 売上をあげる営業は、伝票を手書きするだけでも時間をとられているのに、さらに情報登録をするなんて現実的には考えられません。
それでもシステムを作れるならば、とその無意味なシステムを作り始めました。しかし、システムの仕様を考える上で要求者がいないのです。
「営業は忙しいから聞くな」と言われたのです。営業のためのシステムを作ろうとしているのに営業に聞くなって。
わたしはいったい誰のためのシステムを作ろうとしているのでしょうか。顧客のいない仕事を与えられたのです。
■こうして行き着く先は……
意味がなくても、なんとか自分を納得させてシステムを作成していたある日、決定的なことが起こりました。
わたしの会社では月次資料を各部門が作成したら、それを他の部門長に紙で配布しています。大抵は新人が配りにいったりするのです(顔を覚えてもらうためなどで)。
それをしろ、と部門長に言われたのです。
その時新人が「行きます」と言ってくれたのに、それを制してわたしに行かせたのです。
今やっている仕事(システム作成)よりも書類の配布が優先される仕事だなんて。自分のやっていることの意味がわからなくなってしまいました。
その日から、夜眠れなくなりました。
それでなくても睡眠時間がなかなか確保できないのに眠れないなんて。頭痛がしたり、地面が揺れる感じがしたり、吐き気がしたり……そう、軽い鬱症状です。
そして、設計書を書こうと思ったら、頭が真っ白になり手を動かすことができなくなってしまいました。
この時、ああもうわたしはダメだなと思いました。これは病院にいかないといけない状態だと悟りました。
その日の午後、早退してメンタルクリニックに駆け込みました。鬱の一歩手前、ストレス障害と診断されました。
つづく……
コメント
ビガー
ビガーと申します。
お辛い経験をされたのですね。
しかし、この業界よくあることのような気がします。
仕事は与えられるものではなく、獲得するまたは作り出すものというのが私の考えです。
部門長以外の権限をもつ人を巻き込むのもスキルの一つとも思います。
基本的に「我慢」というのは、いい結果を生まないです。
人事を最大限尽くしても状況を変えられないなら環境を変えるという選択がよいと思うし、
そのためにも「自分の売り」は早くからもてるようにすべきです。
ビガー
ビガーです。
とはいっても私も子育てエンジニアなので応援しています。
お邪魔しました。
インドリ
これは酷いですね・・・
こんな会社はこっちから見限りましょう。
Ko
>体調管理しても、病気にかかるものはかかるんです!!
厳しいことを言うようですが、そういう言い訳をするなら、
やっぱり復帰すべきではなかったんじゃないでしょうか?
復帰するとか、一人前の仕事がほしいというのなら
理由はどうあれ、事あるごとに休まれるのはやっぱり仕事を頼みづらいというのが
一般的な考えではないでしょうか?
まして、おっしゃるとおりの古いタイプのイケてない部門長なのでしょう?
そんな人間だとは思ってなかったとすれば、ちょっと見る目が無さ過ぎるきがしますし、
そういう上司だとわかっていれば、タダでさえいきなり
賞味期限切れだなんていわれてる以上、さらにそう思われてしまうような状況を
何度も作るってのは、ちょっと見込みが甘かったといわざるを得ないんじゃないですかね?
結局こうなるのが目に見えてる気がします。
仕事に対する姿勢としても、営業に聞くなといわれて本当にまったく聞かなかったんでしょうか?
ちょっと仲良くなれば、何かの拍子にヒントぐらいくれると思いますが・・・
どうしても同じ会社の人で無理なら、友達で営業の人にちょっとしたヒントをもらうとか・・・
もっとつっこんで言ってしまうと、育児休暇から帰ってきて
「君が帰ってくるの待ってたよー。いやー君がいないと回らなかったよー」
ぐらい言わせる実績がなかったってことなんですよね。
権利はあるけど、風習がない。
そんな空気も読めないってのはちょっとどうかなと思いました。
この世の中に、どんだけ有給休暇を余らせてる人間がいるか。
そんなこと気にするなで、すむ次元ではないんですよ。やっぱり。
私も全部とってナンボぐらいに思ってましたが、会社によっては全然使えませんよ。
やっぱ無理ですよ。
それを唯一どうにかできるとしたら、周りを黙らせる実力しかない。
残念ながらそういう会社が多数の国です。この国は。
HISA
形だけの権利なんて意味不明ですよね。
自分は、空気を読んで経営者の言いなりになることもないと思います。
無理せず選択肢を広げれば良いのではないでしょうか。
組長
こんにちは。コラムニストの組長です。
ヒドイです!この上司!!何だか自分のことのように悔しくなってきました。
>体調管理しても、病気にかかるものはかかるんです!!
その通りです。これを言い訳だと断じるのは(言いたくなる気持は分かりますが)子育ての大変さを理解していない人の戯言です。
自分の女性なので、明日は我が身・・・。友ぞうさんを応援してます!!
tora
初めまして。私も明日はわが身の女SEです(子供なし・既婚)。
前例のない部署で、育児休暇を取得して仕事復帰されたのは
本当に大きなチャレンジだと思います。上司の発言や行動は
モラルハラスメントであり、組織人として許される行為では
ありません。
しかしながら、部門長とガチンコじゃ勝てないです。一般社員は。
上司は、部下が反抗すると、自分の権限で制裁を加えることだって
できちゃう・・・
サラリーマン社会とは、悲しいかなそういうもんです。
(本当はあってはならないのですが)
誰かしら間に入って、ともぞうさんにとっても部門長にとっても
損をしない方法を考えてもらったら、そこまで追い詰められなかった
のでは・・・と残念です。
コラムの続きにその後の、好転した経緯が記されているのでしょうか。
続きを待ってます。
友ぞう
コメントをしてくださった皆様ありがとうございます。
それぞれのコメントに対して返答を書くことはやめておこうと思い、実は次のコラムを書いたのですが、なかなか公開に至らないため、少しコメントを書こうと思いました。
温かい励ましの言葉はとてもありがたく、勇気付けられました。厳しい言葉には正直わかってもらえないという悲しさと悔しさで落ち込みました。
ただ、様々な考え方感じ方の人がいるのだということはとても勉強になりました。
同様に社内にもいろんな考えの人がいて、良く思っていない人も応援してくれる人もいるのだということを肝に命じておく必要があると改めて考えさせられました。
たくさんの言葉は重く受け止めたいと思っています。
とり肉
初めまして。とり肉と申します。
>「何もするな」
>「他の社員は業務で忙しいから一切話しかけるな」
これは酷いですね。
仕事や勉強をすることも許されず、他の社員に話しかけられない状況は、
窓際というより、監獄の独居房を連想させられます。
私は、独居房は懲罰を加えるためのものと捉えています。
その上司は友ぞうさんに懲罰を加えるつもりだったのでしょうか。
もし私が友ぞうさんと同じように扱われたら、とても耐えられないと思います。
>「子供の体調管理もしっかりしてもらわないと」
子供の体調管理をしていても、子供は託児所で頻繁に病気を貰ってきますよね。
特に一番上の子供はそうです。
それを、親が悪いと言う上司。
本当に酷い。