本配属編!その9 組合活動で昼休みを潰される!
また、ここの会社はそれなりの大企業であったので組合というものがありました。高校卒業したばかりの私には組合なんてさっぱりわからなかったのだが、昼休みにしょっちゅう「職場大会」「春闘決起集会」「なんとか集会」とにかくいろんな名前の組合に関する集まりがあった。それがたまらなく嫌であった。だって昼休みのとき詰所の自分のスペースでのんびりしてるときに全員集合をかけられて体育館に集められて始業時間ギリギリまでつまらない話を聞かされる。さすがにこれは私だけでなくベテラン社員たちも「またかよ!」って感じで不快感を露骨に出してましたからね。
やる気があるのは一段高いステージで熱弁をふるっている組合の偉い人だけ。聞かされてる人たちは当然、そんな奴の熱弁なんて聞いちゃいない。私を含め熱弁の犠牲になっている組合員たちの状況も実に様々で、堂々と居眠りしている者、夢中でパチンコ雑誌を読んでいる者、前の人の肩を叩いて隠れて遊んでいる者、まるで小学校の全校朝礼のような風景。そんなことで昼休みが潰されるというのがとても嫌でしたね。
更にそのような大規模な集会の翌日には、今度は課ごとに昼休みに詰所に集められて昨日の集会に対しての意見交換みたいなことをやって昼休みを潰される。そこの課に何人か組合でちょっとだけ偉い人が居るのだが、その人たちが司会となって意見交換などをやるのだ。でも昨日の集会なんて誰も聞いてないんだからまともな意見なんて出るわけがない。出るのは全て会社の悪口ばかりだった。「会社は一体何を考えているのか?」とか「我々の賃金は少なすぎる」とか、そんな不満ばかりが飛び交っていた。
自分も内心「もっと言ってくれ!」って思っていましたからね。そしたらいきなり司会者が「田中君、御意見はありませんか?」って私に質問を振ってきたのだ。新入社員の意見も組合幹部に報告しておきたいという理由の説明を司会者から受け私が質問されたのだ。「こんなことで昼休みを潰さないで欲しいです」とつい言ってしまったのだ。