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キャリアデザインにITSSは有効!

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 自らのキャリアは自らでデザインしなければなりません。そのためには、現時点の自分の強みはどこにあるか、何をゴールとし、そのために今何をしなければならないかを具体的にする必要があります。

 ITSSは、それらや自分自身の価値を可視化するための優れたツールです。自分の将来を自分で創るために、積極的に取り組むべきです。

 また、ITSSの非常に効果的に考えられている特徴の1つに、自身の立ち位置やキャリアパスの見える化による、ゴールやキャリアデザインの具体化というメリットがあります。

 例えば、上司と若手との会話を思い浮かべてみましょう。「きみは、現在プログラム設計は十分に経験を積んだので、来期はシステム設計ができるような仕事をアサインしよう。頑張ってくれ」といった類の話です。コーディングの次はプログラム設計、その次はシステム設計でしょうか。これは、システム構築工程を遡っているに過ぎず、キャリアパスとは程遠い内容です。

 一方で、リーダーから主任、係長、課長という人事制度上の流れも、エンジニアのキャリアパスではありません。

  ITSSでは、単なるプログラミングやシステム設計というレベルではなく、ITスペシャリストやITアーキテクトという具体的な職種が定義されています。したがって、その中の特定の職種でレベル3から4へとレベルアップを図ることはもちろん、別の職種へキャリアチェンジしてレベルアップを目指すことも可能です。具体的なゴールを定め、そのためにこれから何をすべきかを明確にすることが可能です。このような考え方をキャリアデザイン、そのたどる道筋をキャリアパスというなら納得できる方は多いはずです。

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ITSSキャリアフレームワーク上でのキャリアデザインの考え方(クリックで拡大)

 自分の強みはどこにあるのか、また弱みは何かということを、論理的にブレークダウンして分析したことがあるでしょうか。

 IT関連事業に従事している方々の多くは、学者や研究者ではないので、考えるための道具も方法もなく、書籍などで勉強しようとしても抽象度が高い内容が多くて、すぐにあきらめてしまうことになります。そしてうまくいっているように見える他人を、うらやましがってしまうのです。

 しかしITSSが公開されて、誰でも共通基準に従って自らを客観視することが可能になりました。自分がどのくらいのスキルを持っているかという観点と、他のエンジニア、また特定のカテゴリや全国の平均値などとの比較という観点の、大きく2種類の客観視ができるのです。

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ITエンジニア自身のバリューと他者比較(クリックで拡大)

 強みを伸ばす方に重きを置いた方がいいのか、弱みをカバーする方に力を入れるべきなのか、自らが置かれた状況によっても異なるので迷うところですが、あえて強みを伸ばすことを勧めたいと思います。一般的には得意だから強みになっているわけであり、不得意なところが弱みとなっている場合が多いといえます。得意な部分を楽しく伸ばしていく方が、あまり好きでないことを耐えるよりも効果的なことは間違いありません。

 だからといって、好きなことだけやればいいというわけではありません。当然社会人としての常識を前提にしての話です。

 理由として、現在の日本の教育を論じたいと思います。

 結果的に日本の教育は、平凡な人材を作ることを進めてしまったようです。バランスを重んじるあまり、小ぢんまりとした人材として育成する形となってしまい、強みを伸ばせるような教育環境を提供できなかったということになるでしょう。現在のIT業界に目を向けると、その状況がはっきりと表れています。OSはWindows・UNIX・Linux、データベースはOracle、ネットワークはCiscoなど、主要なソフトウェア・ハードウェアは、ほとんど海外勢に牛耳られてしまいました。とんがったスペシャリストやプロフェッショナルが、ITで世の中を変えていくのが実証された結果です。優秀なはずの日本人が、かなりの遅れを取っているのです。しかもそれだけではなく、現在の地位もアジア勢に脅かされているという状態です。

 そのソリューションの1つとしてITSSが登場したと考えれば、納得するだけではなくて、何とかうまく使えないかとチャレンジするのは当然の行動だといえます。

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