316.ルールの不備は素直に直そう
初回:2023/6/14
すでにご存じかもしれませんが、全仏オープンの女子ダブルスで、加藤未唯選手が不可解な判定で失格になった件です。
P子「テニスに興味のない人は、知らないんじゃないの?」※1
では、経緯を簡単に説明しておきましょう。
P子「技術者にはあまり関係のない話じゃないの?」
そう言わないでください。森羅万象、すべての物事には関連性があると思っています。よく使う例ですが、テニスと将棋と仕事って、共通項がものすごく多くあります。今回は、その中で、一旦決めたルールをなかなか変更できないというところに焦点を当ててみたいと思いました。
ルールを変更するにはプライドとか利権とかが邪魔をするので非常に大変なんですが、それでもやらないと組織が腐敗してきます。
1.簡単な経緯
1.全仏女子ダブルス3回戦で、加藤未唯選手が返球した球がボールガールが直撃
2.ボールガールは相手選手にボールを渡そうとしており気付くのが遅れた
3.加藤選手はボールガールに謝罪したが泣き止まず、審判に警告と判断される
4.相手ペアが「血が出ている」「20分も泣いている」と強く抗議
5.大会運営者のスーパーバイザーが出てきて「ビデオも見ずに」失格処分を判定
6.翌日には全仏オープンの正式会見で「失格処分」は妥当だったと正当化
7.正式な裁定の場合、ポイントと賞金の没収が行われる。(罰金については不明)
8.4大大会側を提訴することを公表
9.加藤失格は「規則通りで明確」とさらに言及
≪参考資料1≫
https://the-ans.jp/news/329098/
加藤未唯、涙の失格を米番組が異例の徹底検証「失格と書いているルールない」「多くが抗議」
2023.06.06
著者 : THE ANSWER編集部
≪参考資料2≫
https://www.nikkansports.com/sports/news/202306060001031.html
【全仏テニス】「失格にしなければならないのは審判員」加藤未唯を擁護の選手コメントを仏紙掲載
日刊スポーツ新聞社
[2023年6月6日19時53分]
≪参考資料3≫
https://cocokara-next.com/athlete_celeb/miyukato-french-open-2023-02/
「私たちは悪くない」加藤未唯組を失格に追い込み批判殺到のスペイン人選手が猛反論!「少女が怖がって泣いていた」
『CoCoKARAnext』
2023/6/9
≪参考資料4≫
https://news.yahoo.co.jp/articles/060913621669881e34f59af2c3a10ebf6c24f5df
加藤未唯が涙の4大大会提訴 選手が同情し激怒「全仏は加藤に謝罪しろ」
6/6(火) 11:11配信
問題が多すぎてどこから説明すればよいのかわかりませんが、過失であったとしても、ダイレクトでボールガールに当ててしまった件については、警告を受けても仕方がないところかもしれません。ただ、その場合でも、罰金すらいらないレベルだと思いますし、ましてや失格などあり得ない判定だと思います。同じ思いのプロテニスプレイヤーは多数います。
2.検証してみよう
先の経緯について、ひとつづつ私なりの見解を述べたいと思います。
P子「完全に独断と偏見によるコメントね」
1.例え偶然としてもダイレクトにボールガールに当たるような返球は控えるべきでした。
2.ボールガールは、例えボールを渡そうとしている瞬間であっても他のボールの行方は把握しておくべきだった。
ただし、年齢的に、小中学生レベルなので、仕方がないところもあるかもしれない。
3.ボールガールは泣きすぎ。
≪参考資料5≫
https://www.youtube.com/watch?v=IlNihz6LFqA
Kiss and Make Up: Rafa Apologises to Ball Girl Like a Gentleman | Australian Open 2020
ナダルがボールガールに当ててしまった例
プレー中に当ててしまった場合は、失格も警告もありません。≪参考資料5≫のナダルのボール直撃なんて、加藤選手の返球よりずっと痛いはずですが、笑顔で大丈夫をアピールしています。ボールガールに責任はないとは思いますが、例えびっくりして泣いたとしても笑顔で大丈夫をアピールすべきでした。
実は今回の件で一番注意が必要なのは、ボールガールを責めてはいけないという事です。今回の裁定について抗議を上げているプレイヤーの中で、ボールガールの態度を悪く言っている人は一人もいません。ただ素人系では、私と同様、ボールガールの対応に不満を持っている人が多くいます。私はボールガール個人は責めていませんが、ボールガール一般論としては、今回の対応はまずかったと思っています。
P子「個人を責めてないのに対応が悪かったって、個人を責めてるんじゃないの?」
そこが少し違います。罪を憎んで人を憎まず...とまでは言いませんが、今後の対応を検討する場合、問題点はすべて洗い出す必要があるという事です。このさじ加減が判らない人は、ミスした人を攻撃したり、逆に触れないようにしたりしますが、それでは完全解決には至らないと思います。
4.本当に血が出ていたなら、すぐに治療(または対応)すべきですがしていない。また、20分泣いていたと主張しているが大会ディレクターの見解では7、8分泣かせたのだから「失格」と言及。
5.スーパーバイザーはビデオも見ず、相手ペアは嘘をついているのにどこまでその主張を考慮して失格の裁定を下した。
スーパーバイザーというのは審判ではなく審判団の取りまとめで大会運営者側の人間です。当時別室でプレーも何も見ずに裁定を下したといわれています。
ビデオ判定は、インプレーでの判定には使うがそれ以外には使う「義務」はないそうです。でも、見てはいけないというルールもないはずです。
ただ、疑問に思うのは、通常ボールが入った、入っていないで審判に猛抗議した場合、抗議者が余りに執拗な場合、警告を受けることがあります。
審判の判定(警告)に対して不服だったから猛抗議した相手ペアにも警告を与えるべきでしょう。
6.過ちを認めず、「失格処分」を正当化しているが、ビデオも公開していない。
7.公式発表したので、ポイントと賞金没収については、行う気でいる。(結論がどうなったか把握していません)
8.加藤選手が大会側を提訴するのは、良いことである。
9.自分たちの非を認めずさらに「明確」と主張するが、はっきり言って明確ではない。
P子「本当に、独断と偏見によるコメントだったわね」
そもそも、失格自体がおかしな裁定なので、さらにポイントと賞金没収なんて、強盗と同じでしょう。それより本来は警告のはずが間違った裁定を下し、試合に出場する機会を奪ったという事で、大会運営側が加藤ペアに対して損害賠償すべき事案だと思います。
≪参考資料6≫
https://mainichi.jp/articles/20230609/k00/00m/050/291000c
審判の対応は問題なし ビデオ判定には一石も 加藤未唯の全仏失格
鈴木悟
毎日新聞ニュースサイト
≪参考資料7≫
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023061100347
加藤失格は「規則通りで明確」 大会ディレクターのモレスモ氏―全仏テニス
2023年06月11日21時59分
時事ドットコム
さて、「審判の対応は問題なし」という意見も聞かれます。もしそれが本当ならルール自体が間違っている可能性を考えるべきです。ルール通りなので問題ないのではなく、ルール通りに行ったら問題が出たという事なので、ルールを見直す良い機会だと思います。
3.問題点の整理
さて、ボールボーイ、ボールガールは、プロの試合を間近で見ることができるので、テニスをしている人にとっては名誉なことであり恵まれていると思います。それが小学生だとしても、責任と気概というものが必要でしょう。ましてやボールが飛び交うテニスコートなのですから、常に気を張っているべきです。そして、例えボールが当たったとしても、選手の試合を妨害するような行為は行ってはいけないと思います。そこは私としてはきちんとすべきでしょう。
それに、大会運営側は、すぐに身内をかばいます。スーパーバイザーが間違った裁定をしたならば、それをきちんと認めるべきでそれができないというのは、非常にお粗末です。すぐに鎮静化しようとして公式に「失格処分」を正当化したことについて、見直した結果、その処分自体が間違いであったことをみとめられるくらいの度量が欲しいものです。
P子「どこの世界でもできないんだけどね」
そういうことができる人は、きっと出世しないんでしょう。
今回の騒動で、インプレー以外でのビデオ判定の必要性と、そういう判定内容をきちんと公開する制度が必要だという事がはっきりしたと思います。それを全仏大会運営側が見直すことができるかどうかが、非常に注目されます。
4.まとめ
会社側の下した判断が間違っていたという事は多くあると思います。大抵は間違いがあっても、経営判断だとか裁量範囲だとか言うと思いますが、そんなことはないと思います。
おかしいことはおかしいと言える世の中を希望しますし、そのためには、一人で声を上げるのではなく、多くの賛同者を集めることも必要でしょう。
P子「でも、その判定は覆らないことが多いもんね」
困ったもんです。
ほな、さいなら