295.男女平等の何を平等にするのか?
初回:2023/1/18
男女平等に限らず、平等を定義する場合、何を平等にするのかというのが大問題になってくると思います。それさえ決まれば、後は簡単に解決します。
P子「そんなに簡単には解決しないでしょ」※1
いえ、難しいのは『平等な状態の定義』の方です。
1.スポーツにおける男女平等
私の過去のコラム『100.平等・公平・ハラスメント』でも、取り上げましたが、テニスの世界のグランドスラム(全豪、全仏、ウィンブルドン、全米の4大大会を指す総称)では、優勝賞金は男女で差がありません。
でも、他の競技では、まだまだ男女差が大きく残っています。FIFAワールドカップにおいては、男女差「15倍」だそうです。
≪参考1≫
https://www.businessinsider.jp/post-262998
ワールドカップ賞金総額、男女差「15倍」。
米国サッカー連盟の新方針で30年超の闘いに訪れた「歴史的な節目」
渡邊裕子
Dec. 09, 2022, 08:00 AM 国際
そんな中で、米国サッカー連盟の新たな方針に基づき、米国男子代表チームと女子代表チームの間で等分に分けられるそうです。
テニスにおいてもパフォーマンス的には当然男子優位ですし、サッカーでも観客数などから換算すると男子の方が視聴者数は多いにもかかわらず、無条件の平等となっています。
現在のスポーツにおいての男女の能力(パフォーマンス)差がどこから来ているかというと、そもそもスポーツ自体が男性社会の中だけで作られた経緯があるそうです。
≪参考2≫
https://times.abema.tv/articles/-/10064035
体力差があるから仕方ない?"スポーツの男女平等"に専門家「歴史的に男性有利にできているのを知っておくことが重要」
ABEMAヒルズ
2023/01/14 13:00
eスポーツや乗馬などは、男女差が出にくい競技ですが、本来のスポーツでは男女差が出て当たり前なので、賞金に差が出るのも当たり前という考えが長い間定着してきましたが、ここに来て『平等』の基準が変わりつつあると思います。
P子「あなたは、どちら派なの?」
私は、今の流れの無条件の平等が良いと考えています。
2.企業における男女平等
例えば、男性と女性で実質的な仕事上のパフォーマンスはそれほど違わないと思っています。しかし、結婚して子育てとなると、どうしても家事分担が平等になっていません。ひとえに昔からの男女の賃金格差が足かせとなって、男性に仕事を頑張ってもらい、女性が家事・育児を受け持つ方が効率が良いと考えてきたのかもしれません。さらに、そうなると家庭優先になると長期出張や深夜残業なども男性に比べて対応が難しくなり、使う側としても女性を使いにくいと感じるでしょう。
また、女性はどうしても妊娠・出産という休職期間が発生します。すると勤続年数やプロジェクトの継続期間を考慮すれば、完全に男性と家事・育児を折半していたとしても不利に働きます。
ここで、テニスや米国サッカー連盟の様な対応を企業が取ることができるかという事です。
つまり、勤続年数や仕事のパフォーマンスに関わらず、同一賃金にするという事です。
P子「企業はプロスポーツと違って、成果で利益を上げてるからね...」
そうなんですが、例えば、SDGs(持続可能な開発目標)では企業として単に利益を上げるだけの活動では世間が許してくれません。男女関係なく能力に応じて給料を支払うなんてことは、普通に考えれば当然のことです。さらに進んで、性の特性の不利な分も考慮したうえで、同一賃金にするという所まで持って行けるかどうかだと思います。
このあたりの考え方は、『ベーシックインカム』に通じるところがあると思っています。
会社で働く、働かない、利益を上げる、上げないに関係なく、一律の給料という事です。
P子「不可能ね」
確かに、現状では不可能でしょう。
3.どこを平等にするのか?
能力や成果に応じて、給料を払うのが平等という考え方があります。例えば営業職で、10億の売り上げを上げている担当者と1億の売上しか上げていない営業で、同じ給料では不公平ではないのかという事です。さらに、10億の売り上げの営業と、事務所で電話番している事務の人が同じ給料でも不満が無いと言えるでしょうか?
P子「さらに、働かないおじさんも同じ給料?」
まあ、そうなりますね。
例えば、夫婦が離婚する場合、例え妻が専業主婦であったとしても共有財産は、半分づつ分けることになります。もちろん婚姻が続いている間も、専業主婦だからと言って、1円も使わせないなんてことは無いでしょう。
P子「俺の稼ぎで食わせてやってるって言う男もいるわよ」
ごめんなさい。威張れるほどの稼ぎが無くって。
これの延長で考えると、企業活動において、貢献度に関わらず社員で均等に配分するという考え方が、あながち不可能とも言い切れない気がします。
P子「気のせいね」
この場合、色々な問題が残っています。均等配分と言っても、正社員も非正規社員も同じように均等配分すべきという事になりますが、1年を通しての利益から計算するのか、1か月ごとに計算するのか...
P子「請負とか派遣なら、3か月単位で更新されたら計算が大変ね」
もちろん、アルバイトの学生も対象でしょうね。
P子「ちょっと違うと思うわ」
まあ、テニスにおいても賞金は男女同じでも、順位で異なりますし、ボールボーイ(ガールもいます)にも賞金を均等配分するなんてことはありませんから、何らかの差は出てくるでしょう。でも、
P子「ボールパーソンって呼ぶのよ」
職業(職種)で異なるという事になると、営業職は男性優位とか色々な問題が出てきて、結局元に戻る事になってしまいます。
男性グループ内や女性グループ内では能力による順位付けを行って、順位においては男性も女性も同じにする...というのも難しいかもしれません。そもそも、テニスの世界でも男性1位と女性1位では、パフォーマンスが異なります。それでも同額と決めるというのは、トップダウンによる決定事項でしか達成できないでしょう。
P子「でも、体は男性で心は女性の場合、どちらのグループに所属すればよいの?」
スポーツの世界では如実に実力差が出てしまうので、トランスジェンダーの選手の出場には、色々と物議をかもしてしまいます。
≪参考3≫
https://www.bbc.com/japanese/61862354
国際水連、トランスジェンダー選手の女子競技への出場を禁止
2022年6月20日
女子競技への出場は禁止ですが、「オープン」というカテゴリーの設置を目指すことも決めたそうです。
4.まとめ
色々な人がいます。男性女性はもとより、年齢、能力もそれぞれです。障害を持っているかどうかも、見た目の障害もあれば、「隠れ発達障害」の人もいます。
この色々な差があるという事で、差をつけるのが平等なのか、人間というカテゴリにおいて違いはないとして平等と考えるのか、なかなか難しいとは思いますが、人が人の価値を勝手に決めて差をつけるより、無条件に一律平等というのもありかもしれません。
無意識に人の価値を判断するのではなく、理性をもって対処できるようになりたいものです。
≪参考4≫
https://gendai.media/articles/-/104351
美人とイケメンは得だと言い切れるこれだけの理由......容姿の良さで教員の評点が高くなることも
2023.01.06
中野 信子
『親ガチャ』より始末が悪いんですが、その悔しさをバネに努力でカバーしているつもりです。
P子「でも、努力の方向が違う気がするんだけど...」
ほな、さいなら
5.飲み会の不平等
P子「『ほな、さいなら』で終わりじゃないの?」
まあ、ちょっと面白い記事を見つけたもので。
≪参考5≫
https://www.moneypost.jp/981564
職場の飲み会「男性6000円、女性3000円」に納得できる? 性別による傾斜配分に男性たちの不満
2023年1月3日 16:00
マネーポストWEB
これって、相席居酒屋みたいなもので、女性の参加者を増やす...来てもらうのが目的なので、不満を持ってる男性達は、多く払った分だけ、女性に隣に座ってお酌でもしてもらいたいだけです。
P子「あなたもそうじゃないの?」
私は最初から猛スピードで食べるのに専念しますから、大丈夫です。...グスン
P子「涙が出てるわよ」
ほっといてください。
======= <<注釈>>=======
※1 P子「そんなに簡単には解決しないでしょ」
P子とは、私があこがれているツンデレPythonの仮想女性の心の声です。