147.多様性が強制される時代を生きる
初回:2021/5/10
ダイバーシティという言葉もだいぶ浸透してきたようで、今一度『多様性』について考えてみたいと思います。
P子「潜水士の町...」(※1)
無視していきましょう!
1.『多様性』とは?
あちらこちらで聞かれるようになった『多様性』ですが、今や企業も政党も『多様性』を前面に打ち出しています。当然社員も『多様性』を強制されますが、この『多様性』とは一体何なんでしょうか?
『多様性』の対義語・反対語は『画一性』です。同じような考え方や外見や性別、行動を行う事が画一性であれば、その逆に、異なる考え方、異なる外見、性別、異なる行動を行う事が『多様性』であり、そういう人達の集まりが『多様性』がある状態と言えると思います。
では、会社や学校、何らかの組織には『画一的』な人達しかいなく『多様的』な人を選んで採用しなければいけないのでしょうか?
そもそも、人は生まれながらにしてそれぞれ異なりますし、根本的に『多様的』です。強制的に(忖度して)『画一的』な言動をしているというのが実情ではないのでしょうか?
P子「外見や性別は選択して集めているわよ」
そうかもしれませんが、考え方や行動は、根本的に多様化しているという事です。
ただ、周りの目や多様性を受け入れられない人達が、少数(マイノリティー)を迫害したり除外するので、多数に合わせているだけという事です。
つまり、元々一人一人が異なっているという事実を安心して表に出せるような環境にすることが、ダイバーシティの本質で、その『多様性』を皆が互いに認め合い、一体となって働いているという状態をインクルージョンと言います。
「安心して表に出せるような環境」を作るためには、自分の考えと違う人に対して攻撃したり除外したり、気分を害することを言ったりしたりしないという環境を作るという事です。
P子「それが、互いを認め合うという事ね」
いえ違います。
自分と考えの違う人や、気に食わない人を簡単に認め合う事なんて出来ないでしょう。
P子「え?どういう事?」
つまり、内心では気に入らないとか嫌いな人とでも、表面的には良好な関係を築くというのが『多様性』の正しいあり方です。嫌いな上司や無能なリーダーとも、仲良くやっているように、同じ組織...いや、どのような人たちとも仲良くやっているような態度、言動を行う必要があるという事です。
2.『多様性』が強制される時代
企業や組織が『多様性』を要求し始めた背景は、社会の大きな変化に対してイノベーションを起こす必要があるという事です。そのためには今までにない考え方をぶつけて、化学反応を起こさせる必要があります。これが『多様性』が必要とされる理由です。
そうなると、企業としては『多様性』は生き残りをかけた必須アイテムであり、社員は強制的に『多様性』祭りに参加させられる事になります。
これは、心と行動のアンバランスが日常的に強制されるという事です。この、心と行動が一致しない状態が長く続くと、精神的に不安定になり統合失調症になりかねません。そうはいっても嫌いなものは嫌いなので、無理に好きになろうとすると、それこそ、心と感情が不一致になり、さらに状況が悪化する可能性があります。
P子「じゃあ、どうすればいいの」
自分の心の中は、private変数にして、外部からアクセスできるのは、publicのメソッドで、違う、気に入らない、嫌いなどの単語は、そうなんですね、判ります、なるほどなどの単語に自動変換すればいいんです。
P子「何言ってるか判んない」
嫌いなものは嫌いなままで良く、心の中身は、あくまでプライベート変数で隠ぺいしておき、外部からのアクセスを自動変換すれば、心に従って行動しているわけではないので精神衛生上、問題は起きないと思います。
P子「そんな事でいいの?」
3.パラダイムシフト
では、とっておきの方法をお伝えします。
7つの習慣では『その人のモノの見方や価値観』をパラダイムと言います。そして『See-Do-Getサイクル』というフレームワークがあります。
See パラダイム(モノの見方、価値観)
Do 行動
Get 結果
つまり、パラダイム(モノの見方、価値観)を変えれば行動が変わり、結果が変わるというものです。所が、このパラダイムを変えるというのが非常に難しい。先ほどの嫌いなものは嫌い、主義主張が合わないものは合わないというのと同じです。
これを、Seeから始めるのではなく、Doから始めればどうなるか?
Do 行動→Get 結果→See パラダイム
サイクルを回してみるという事です。
つまり、自分の考えと違う、気に入らない、嫌い(現在のパラダイム)な人と、にこやかに笑顔で会話し、話を聞き、仕事を依頼したり受けたりする(Do 行動から始める)事で、お互いに良好な関係が構築出来たり、仕事で思わぬ成果が出たり(Get 結果が変わる)という経験をすることで、今まで嫌っていた人や苦手な人、自分と違う考え方に対して、許容できるようになる(新しいSee パラダイム)が構築される...という事です。
P子「どこかで聞いた話ね」
ばれましたか。
《参考資料》
https://el.jibun.atmarkit.co.jp/career/2017/07/268.html
第268回 パラダイムシフトについて考える
キャリアコンサルタント高橋さん 2017/07/03
4.組織の『多様性』と個人の『多様性』
企業においては、イノベーションを起こすきっかけ作りとして『多様性』が求められていますが、生物の環境適用から言うと、多様な生物が存在することで、環境の変化に対して『どれかが』生き残れればよいという自然の知恵です。つまり、個々から見ると自然淘汰されて絶滅する物がいるという事です。
つまり、個々の人が生き残るには、自分の中にも『多様性』を確保しておく必要があるという事です。
趣味や人脈を広げるでもいいし、新しい仕事にチャレンジするでもいいかもしれません。自分の中に『多様性』を確保すると、自分自身にイノベーションが起こるかもしれません。今まで知らなかった、新しい自分を発見することが出来るかも知れません。
P子「自分探しの旅に出なくてよさそうね」
やはり『ステイホーム』ですね。
ほな、さいなら。
======= <<注釈>>=======
※1 P子「潜水士の町...」
P子とは、私があこがれているツンデレPythonの仮想女性の心の声です。
スピンオフ:CIA京都支店『妖精の杜』
ここはCIA京都支店のデバイス開発室。安らぎを求めて傷ついた戦士が立ち寄る憩いの場所、通称『妖精の杜』と呼ばれていた。
P子:CIA京都支店の優秀なスパイ。早坂さんにはなぜか毒を吐く。
早坂:デバイス開発室室長代理。みんなから『妖精さん』と呼ばれている。
P子:「早坂さんって、いっつも同じことばかりしてない?」
早坂:「一芸に秀でるというか、餅は餅屋と言うか、蛇の道は蛇というか...」
P子:「これからは個人も多様性を求められる時代よ」
早坂:「スペシャリストを根絶してゼネラリストばっかりにするって事?」
P子:「まあ両方存在しての多様性だから、スペシャリストは必要ね」
早坂:「なら、デバイス開発室も今は一人だけど、人員を増やして欲しいね」
P子:「これ以上『妖精さん』を集めて『多妖精』って、シャレになんないわよ」