今、話題の人工知能(AI)などで人気のPython。初心者に優しいとか言われていますが、全然優しくない! という事を、つらつら、愚痴っていきます

P28.人事一課監察係(3) [小説:CIA京都支店]

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初回:2019/12/25

登場人物

これまでのあらすじ

 CiA京都支店に人事一課監察係の大河内という人物が現れた。城島丈太郎はP子先輩の調査を依頼されたが、P子はデバイス開発室の室長と共に、独自に調査に乗り出したのだった。

6.真の目的

 P子が昼食の野菜炒めチャーハンを食べ終わった頃、デバイス開発室室長のミスター"Q"は、すでにビールを3本空けていた。P子としては、もう少し室長と今後の話をしたかったが、すでにそういう雰囲気ではなかった。

「P子ちゃん。大河内君が、君を名指しで来たのは...きっと...ほれ...なんだ...そんなところじゃろな」

「いや、何言ってるか判らないし」

『室長さん、だいぶお酒に弱くなってきたわね』

「佐倉課長は、昔の室長をご存知なんですか?」

『知らないわよ。でも、色々な情報をかき集めて人物解析したことがあるから、大体の所は知ってるわよ』

「それって、CiA本社も含めて、全員のデータを持ってるんですか?」

『もちろん』

「じゃあ、京都支店で怪しい人物って誰だか判りますか?」

『判ってれば、とっくに上に報告してるわよ。というか、今回の件、なんだか変なの』

「ほれ、その...なんだ。それだよ、それ...なんだっけ?」

『室長さんは寝ててください』

「いや、私もまだ仕事の途中なんですから、寝られても困りますけど...」

『午後は休んだら?』

「そんなことできません...と、言いたいところですけど、休んじゃおっかな」

「これ、P子ちゃん...休んじゃダメっしょ。ほれ、何だ、そうじゃろ、...ももこ君」

『私は佐倉ですけど、ももこじゃありませんよ』

「とりあえず、連れて帰りましょうか?」

『んーどうせ午後も休むんだったら、ここで戦略会議でもしない?』

 P子としても、このまま室長を置いていくわけにもいかず、それを言い訳に午後休を取っても良いかなと思い始めていたので、佐倉課長の提案に乗ることにした。

「佐倉課長。先ほどの『なんだか変』って所、どういう意味です?」

『そうね。京都支店に犯人は居ないとすれば、大河内監察官の真の目的は何なのか?ってことでしょ』

『そうすると、考えられる案は3つ。1つは、京都支店を潰すこと。あくまで内部監査で何らかの不正をでっちあげて京都支店長一人に責任を押し付けて廃止にすれば、周りに対しては説明しやすいし』

「でも、そんな回りくどい事しなくても、その気になれば廃止位すぐできるでしょ」

『その場合、首謀者がそれだけの権力を持っていないという事ね』

「二つ目は?」

『本当にスパイがいるってこと』

「でも、さっき怪しい人物はいないって言ってたでしょ」

『つまり、スパイは京都支店の社員じゃなくって、ここに出入りできる人物。...例えば浅倉南さん、山村クレハさん、山本五十八君...』

「でも、それじゃCiAの監察官じゃなくってMi7の監察官が来るんじゃない?」

『最近、二つの組織間で連絡を取り合った形跡もないし、Mi7は絡んでない様よ』

「形跡もないしって、盗聴してるの?」

『人聞き悪いこと言わないでよ。単なる情報収集よ』

「盗聴に個人情報の収集に、何でもありですか?」

『私なんてかわいいものよ。SNSで「いいね」のクリック件数が300件を超えると、人工知能はユーザー本人よりもユーザーについて深く理解(予測)できるとも言われてますから』(※1

「佐倉課長は、AIの事になると饒舌になりますね」

『私、舌ないんですけど。ヨホホホホ!』(※2

「話を戻しますね。それで、三つ目は?」

『3年前の事件の決着を付けに来た...とか?』

「早坂さんの件...ですか?」

『私としては、この3番目の可能性が一番高いと思ってるの』

7.もう一つの独自調査

 城島丈太郎は、来客用会議室を出て、まずはP子の派遣先である黒井工業を訪ねることにした。P子にメールしたが返信が来ない。携帯電話にかけてみたものの、すぐに留守番電話に切りかわってしまった。仕方がないので、勤務先に電話をかけて、呼び出してもらうことにした。

(「恐れ入ります。CiA京都の城島という者ですが、内の川伊を呼んでいただけるでしょうか?」)

(「あら、丈太郎さんじゃない? 浅倉南ですけど...ご無沙汰してます」)

(「あ、これはお久しぶりです。先日はクレハさんにお世話になりました」)

(「聞いたわよ。で、今日は何の御用?」)

(「いや、ちょっと川伊先輩と連絡が付かなくて、直接派遣先の方に連絡させていただいたんです」)

(「川伊さんなら、昨日の昼に午後休取ってから、当分来れないって連絡があったわよ」)

(「え? でもそんな事聞いてないですよ。大体、休むなら代わりの人材を派遣するとか、必要でしょ」)

(「まあ、依頼元の技術部長の新田さんの要望からの調査が目的だったから、仕事自体は二の次なんじゃない?」)

(「でも、昨日からって、デバイス開発室の室長も昨日から連絡が付かなくって...」)

(「すでに二人で動いてるんじゃない?」)

(「どういうことですか?」)

(「何の要件か知らないんだけど、室長も関係してるとすれば、3年前の事件かもね」)

(「3年前? 浅倉さんもご存知なんですか?」)

(「ちょっと電話口では説明できないわね。今晩、仕事が終わったら落ち合わない?」)

(「構いませんよ」)

(「近くに安くておいしい店があるの。場所はメールで送るわね」)

 丈太郎の正式任務は、大河内監察官からのP子先輩の監視だが、裏任務として京都支店長からの独自調査の依頼だ。ただし、調査対象は、CiA京都支店内での情報漏洩の犯人捜しだったが、裏々任務として大河内監察官の真の目的を探る事だった。たぶん、その答えに一番近いのは、P子先輩とデバイス開発室のミスター"Q"だろう。どちらにしても、二人を探すところから始めなければならない。

 浅倉南の仕事が終わるまで、まだ時間があったので、一旦京都支店に戻ることにした丈太郎は、再びデバイス開発室に来た。

丈太郎は「課長、佐倉課長、居られますか?」と叫んだ。

『あら、お久しぶり』

「今朝、話したばかりでしょ。それより、P子先輩も昨日から出勤してないんだよ。室長とどこかに行ってない?」

『タメ口?一応、私は課長職よ』

「あ、すみませんでした。本体が見えないんで、実感がわかなくって」

『今日の所は、許してあげる』

「所で話を戻しますが、P子先輩と室長の行先をご存知でしょうか?」

『さあ、知らないわね』

「今朝と同じ答えですか?」

『うふふ』

「一応私も任務を受けてますから、教えてくださいよ」

『何か私にメリットでもあるの?』

「そういう問題じゃないと思うんですけど...」

『いいわ。昨日の昼休みに川伊さんと室長さんと3人で、大河内監察官の事を話し合ったの。と言っても室長さん、途中で寝ちゃったから...』

「それで?」

『3年前の事件じゃないかって結論になったの。あなたが入局する前の話よ』

8.3年前の事件

 話を昨日に戻すと...

『室長、寝ちゃいましたね』

「知らない間に、4本目のビールも頼んでたみたいだから」

『まあ、ここに居座るなら仕方ないんじゃない』

「で、さっきの続きなんだけど、3番目の可能性が一番高いと思う理由は?」

『私の情報源によると、当時のSES課の課長が人事一課の課長に就いたの。つまり、大河内監察官の直属の上司ね』

「え、本店(日本法人)に戻ってたの」

『色々と苦労してたみたいよ。自業自得だと思うけどね』

≪つづく≫

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  AI時代の新たな課題、私たちのプライバシーは全て人工知能に把握される
 2019.04.29

※2 私、舌ないんですけど。ヨホホホホ!
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 「"死んで骨だけ" ブルックです!!! どうぞよろしく!!!」

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