饒舌なデバイスたち
今後数年のうちに、さまざまなウェアラブルデバイスが世の中に広く普及することだろう。われわれの持ち物や衣服は有機的に情報交換を行い、日常生活を支援するようになっていくに違いない。そんな饒舌なデバイスたちに囲まれた人々の暮らしを、ちょっとだけ先取りして想像してみよう。
■ナンパ
ナンパに失敗した瞬間というのは、本人にとってもばつの悪いものだろうが、ハタから見ていてもちょっと痛い。そこで、ナンパをサポートするアプリの登場となる。ソーシャルナンパではなく、あくまでもその場でのナンパをサポートする。ヘッドマウントディスプレイと連携して動作し、自分の周囲で同じアプリを起動して『ナンパOK』の異性を探すことができる。
見つかったらターゲットの公開情報をチェックすることができ、気に入ればロックオンする。ロックオンされた方も、相手の公開情報をチェックできる。気に入れば『OK』、気に入らなければ『NO』が相手のディスプレイ上の、自分の顔の付近に吹き出しとして表示される。もちろんこれは自分の好きな言葉やアイコンなどに変更することが可能だ。これで、声を掛けるときには100%の成功率を得ることができるだろう。
まぁ、そんなナンパが楽しいかどうかは別として......。
■浮気
浮気チェックアプリは、かなり危険だ。いつ、どこに居たかといった個人情報がすべて配偶者にだだ漏れになってしまうため、連携する配偶者の承認は厳重に行われなければならない。しかし、このアプリの導入を拒絶することは、相手により大きな猜疑心を抱かせる危険があるため、そういった意味でも恐ろしく危険なアプリだといえる。
■高齢者
お年寄りの、突然の体調変化も、生体センサによってタイムリーに家族や医師に知らせることができる。これは、高齢化が進む我が国にとっては非常にありがたいことではないだろうか。
しかし、夜中に突然心拍数が激しく上昇したからといって「じいちゃん、どうした! 大丈夫か?」と慌てて部屋に飛び込んだら、鼻血を流しながらパソコンにかじりついてエロ動画を観ている場面に遭遇してしまう、といったリスクもあるので注意が必要だ。
■職場
もちろん、われわれエンジニアも、饒舌なデバイスたちの恩恵に浴する。例えば、プロジェクト管理ツールは生体センサーと連携して、メンバーの体調などをより正確に把握することができるようになるだろう。
「またあの店で朝まで飲んでたの?」
「最近、寝るの遅いじゃないか。またオンラインゲームにハマってるんじゃないだろうな?」
どうも職場以外での行動ばかりチェックされて、息が詰まりそうだ……。
ひねた性格が全開である、わたしのようなものが想像すると、あまり明るい未来図は描けないらしい。皆さんには、ぜひとももっと明るく前向きなアイデアを思い描き、それを実現していただきたい。