「生活イチバン、ITニバン」という視点で、自分なりのITを追及するフリーエンジニアです。ストレスを減らすIT、心身ともにラクチンにしてくれるITとはどんなものかを考えていきます。

あなたは熱中症になっていないか?

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 なんという暑さだろう!

 少し前に高知県四万十市では、国内過去最高気温である41度を記録したという。首都圏でも、ここのところ殺人的な暑さが続いていて、熱中症のニュースばかりが目につく。

 しかし今日ここで注意を呼びかけたいのは、猛暑による熱中症ではない。プロジェクトの円滑な進行を阻害する要因のひとつとしての熱中症だ。

■プロジェクトの進行を阻む熱中症とは

 その熱中症とは、自分のタスクに没入して周囲の状況がまったく見えなくなる、というものだ。クーラーのガンガン効いたオフィスで一日中机に向かっていることの多いシステム開発プロジェクトのメンバーにとっては、こちらの熱中症にかかる可能性の方が圧倒的に高いのではないだろうか。

 熱中症は怖いというイメージが定着したが、何かに熱中することは、どちらかというとプラスのイメージを持つ人が多いかも知れない。もちろん、良い意味で仕事に熱中することを否定しようというわけではない。

 しかし、度を超えた熱中、しかも半ば無意識の逃避行動として何かに熱中するというネガティブなパターンもあることを知っておく必要がある。ここでは、そのような行動を『タスク熱中症』と呼ぼう。『タスク熱中症』患者の典型的な思考回路は以下のようなものだ。

 「他にもやるべきこと、考えるべきことは沢山ある。それは解っている。だけどその問題の重要さと難易度の高さに心が萎えてしまいそうだ。だから今は自分の得意なことに集中しよう。その間は、不安を忘れていられる。」

 そして実際に、他のことは意識の外へと追いやってしまうのだ。

■プロジェクトを死に至らしめる病

 ヒトはストレスを解消するためにさまざまな行動を取る。一般にコーピングと呼ばれているものだが、この『タスク熱中症』のように一見真面目に仕事をしているように見えて、実は密かに現実逃避している場合、周囲はなかなか気づきにくいものだ。いや、本人すら明確に認識していないこともある。

 だからこそ、プロジェクトが瀕死の状態になるまえの早期発見と予防が重要となる。

■ToDoをサルベージしよう

 プロジェクトマネジメントの重要性が叫ばれて久しい今日、多くのプロジェクトではガントチャートを作成しタスクを管理していることだろう。しかし、チャート上に現れるタスクの粒度はそれほど詳細ではない。現場において、もっと粒度の細かい「今日自分がやるべきこと、考えるべきこと」は、大抵は自分の頭の中にある。よくても、手帳や付箋、あるいはPCやモバイルデバイスのToDoアプリなどに記入して、個人で管理しているといったところだろう。

 結局のところ、これが表面化されず埋もれたままになってしまうことが問題なのだ。だから、タスク熱中症を防ぐには、これらをサルベージし続けるしかない。

 自分が抱えている問題と、その問題を解決するためにやろうとしている対策をすべてさらけ出し、メンバー全員で共有して、それをフォローアップし合う。その機会を頻繁に持つことだ。

 もちろん『タスク熱中症』はプロジェクトを危機に陥れる唯一の問題ではない。しかし、ボトルネックとなりうる原因のひとつとして、注意が必要なことは間違いない。

 あなたはサルベージすべき問題を抱え込んだまま、別のタスクに熱中していないだろうか?

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