テストエンジニア時代の悲喜こもごもが今のわたしを作った

「JaSST'11 Tokai」参加レポート――コミュニケーションに銀の弾丸はない?

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 こんにちは、第3バイオリンです。

 「JaSST’11 Tokai」参加レポートもいよいよ最終回です。今回はテスト設計コンテストの発表と、SIGの様子をお届けします。

■テスト設計コンテスト発表

 テスト設計コンテストは、その名のとおり、与えられた要求仕様書に対して、テスト設計を行い、テストの観点やテストケース作成の方法について競い合うというコンテストです。今年1月に東京で行われた「JaSST’11 Tokyo」で初めて開催されました(興味のある方はこちらをどうぞ。コンテストの成果がアップされています)。

 来年1月の「JaSST’12 Tokyo」でもコンテストが開催されますが(すでに募集は終了しています。あしからず)、そこでは一般参加のほか、地域JaSSTで予選を行って勝ち抜いたチームが参加する枠が設けられることになりました(時期が合わないなどの理由があり、予選を開催しない地域もあります)。

 東海では予選を勝ち抜いた2チームの発表と、優勝チームの表彰が行われました。どちらのチームも、工夫をこらしたテスト設計について熱いプレゼンを繰り広げてくれました。

 このようなコンテストのいいところは、業務ではできないようなことを思い切り試すことができるということです。自分が知っている技法をこれでもか!というほど使ってみたいと思っても、業務でコストや工数をまるで無視してそれをやってしまったら確実に怒られます。その点、コンテストなら誰にも文句を言われずに、気のすむまで自分の知っている技法を試すことができます。

 今回の優勝チームは東海地域の代表として、来年1月の東京でのコンテストに出場することになりました。東京の本選でのご活躍をお祈りします!

■SIG

 「JaSST’11 Tokai」プログラムの最後はSIGです。参加者はいくつか設けられたテーマごとにグループを作って議論しました。

 わたしが参加したSIGのテーマはこちらです。

「テスト不具合管理 ~人・コミュニケーション・ツール~」

 テスト不具合の管理において、関係者とのコミュニケーションがうまくいかない、ツールの有効活用ができない、といった困りごとの経験や、それを解決するための取り組みなどについて話し合うことにしました。

 まずはグループのメンバーの自己紹介も兼ねて、それぞれの現場での悩みを出しました。人によって、現場によって悩みはそれぞれですが、コミュニケーションがうまくいかないことによってトラブルが起きてしまう、という声が数名から挙がりました。

 そこで、まずは自分が所属するチーム内のコミュニケーションを円滑にするために心がけていることを話し合いました。挨拶をする、朝に10分くらいのミーティングをする、お菓子を差し入れる、飲み会などのイベントに参加する……いろいろな意見が出ました。コミュニケーションの手段としては、割と古典的な意見が多かったように思います。

 さらに、挨拶の話からメンタルケアの話にも飛び、気がつけばコミュニケーションだけで1時間以上盛り上がっていました。コミュニケーションの悩みというのは、数ある現場の悩みの中でもかなりありふれた悩みだと思います。解決策については、昔からさまざまな議論がなされていますが、その割にはなかなか簡単に解決しない問題です。そういえば、どうして解決しないんだろう、とグループ全員で首をかしげてしまいました。

 それだけでは何なので、開発チームとテストチームのコミュニケーションについてさらに話し合ってみました。すると、バグ管理について開発チームとテストチームのコミュニケーションがかみ合わないのは「開発とテストで、バグ管理の目的が共有できていない」「開発とテストで、バグに対する認識が異なっている」このふたつが理由なのではないか、という意見が挙がりました。

 バグ管理の目的が共有できていないと、例えばテストチームがバグの分析のためのメトリクスを収集しようとしても、開発チームの協力をうまく引き出せない、という状況になることがあります。さらに、開発とテスト、ソフトウェアとハードウェア、それぞれで使う言葉が違えばバグに対する認識も異なります。

 ここで、開発チームとのコミュニケーションにおいて、テストチームのメンバーが注意するべきことは「バグを見つけても開発担当者を責めたり、怒ったりしない」ことが大事という意見が出ました。バグを見つけるたびに責められるのでは、開発担当者もつらいですし、もしかしたらバグをテストチームに報告しなくなるかもしれません。そうなったらテストチームにとっても、というより、プロジェクト全体にとっても大きなマイナスとなってしまいます。グループには開発担当のメンバーもいましたが、「バグを見つけてもらったらお礼を言う」ことを心がけている、と話していました。

 いろいろなことを話しましたが、「これさえあればコミュニケーションの問題はすぐ解決!」といった結論は出ませんでした。コミュニケーションにも、銀の弾丸は存在しないのですね。

 コミュニケーションの問題というのは、解決するには時間と手間のかかる問題だと思います。SIGの議論でも、これという解決策は出ませんでしたが、それでも議論することが大事だと思うのです。このSIGで、同じグループになった皆さんと真剣に議論できたことは良かったと思います。。

◇ ◇ ◇

 「JaSST'11 Tokai」参加レポートはこれでおしまいです。「JaSST'11 Tokai」で出会えたすべての皆様に感謝します。また、最後まで読んでくださった読者の皆様にもお礼申し上げます。

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