就活生へ伝えたい、エンジニアがバイオリン弾きながら考えたワークライフバランス+α
こんにちは、第3バイオリンです。
今月初めごろ、学生時代の後輩と久々に電話で話す機会がありました。彼は大学院の修士2年で、来年からは社会人です。電話で話したとき、彼は内定式に出席したばかりで会話もそのときのことが中心でした。未来の同期になる他の内定者と触れ合えて有意義な時間を過ごせたと嬉しそうに話す声を聞いて、ああ、そういえば彼ももう来年から社会人かあ……と妙に感慨深くなりました。
エンジニアライフの読者の中には、わたしの後輩と同じように来年就職する、またはこれから就職活動を始めるという学生さんもいらっしゃることでしょう。
わたしが就職活動中だったころを思い出してみると、就職にあたって一番気にしていたことは仕事とプライベートの両立、すなわちワークライフバランスだったような気がします。
今回は、わたし自身の経験をもとに、ワークライフバランスとは何か、どうやって実現すればいいのかをお話したいと思います。あくまでわたし個人の経験なので100%当てはまらない場合もあるかもしれませんが、ちょっとでも参考になれば幸いです。
■ワークライフバランスといっても、好き勝手していいわけじゃない
いまどきの学生さんたちは、就職したら仕事ももちろんがんばるけど、だからといってプライベートな時間は絶対に削れない、削りたくないという考えを持つ方がほとんどだと思います。
学生さんにとって、プライベートといえばおそらく趣味や、友達と遊んだりするのに費やす時間のことを指しているのではないでしょうか。そこでまずはわたしが仕事と趣味の時間をどうやって両立しているかをお話しましょう。
わたしはバイオリンを弾くのが趣味で、市民オーケストラに所属しています。この市民オーケストラは週に1度、メンバーが集まって合奏やパート練習をする日がありますが、それが平日の夜なのです(オーケストラによっては休日のところもあります)。わたしの場合、練習日には定時で帰らないと開始時刻に間に合いません。
自分でいうのも何ですが、仕事と両立させるのはなかなかハードルが高いと思っています。
学生さんは、「IT系の企業って残業が当たり前、定時に帰ることなんてめったにできないんじゃないか」と不安に思っていらっしゃるかもしれませんが、わたしは仕事がピークを迎えているとき以外は、練習日にほぼ定時で帰っています。周りが仕事をしている中で帰るのはちょっと気まずいのですが、練習日には早めに出社したり、翌日に少し残業したりして仕事が遅れないように調整しています。
でも、あまりにも忙しく、リリース日も迫っている状態で「今日は合奏があるので定時で帰ります」といったことはありません。ワークライフバランスとは、いつでもプライベートを優先させて構わないということではありません。
仕事が忙しくてプライベートの時間を圧迫するというのは悲惨なことですが、反対にプライベートばかり追求しすぎて仕事がおろそかになるのも悲しいことだと思います。
■他の人のワークライフバランスも大切に
さて、プライベート=趣味や遊びという話をしてきました。独身のうちはそれでいいと思いますが、これが既婚者になってくると事情は変わってきます。
わたし自身はまだ独身なので、ここでは既婚者の先輩や上司を見て思ったことをお話します。学生さんの大多数はわたしと同じく独身でいらっしゃるでしょうから、既婚者の先輩や上司との付き合い方の参考になればと思います。
既婚者の先輩や上司にとって、「プライベート」は自分だけの時間だけではなく、ご家族のために使う時間も含まれます。例えば、お子さんがいる方はお子さんが急に熱を出したとき、入学式や参観日のようなイベントに参加するときに会社を休んだり遅刻早退したりすることがあります。
そういうときには「何だよ、子供子供って……」なんて言わずに「あとはわたしにまかせて、早くお子さんのところに」と暖かい言葉をかけることができる度量を持ってほしいと思います。他人のプライベートを大切にできない人が、自分のプライベートばかりを主張する権利はないとわたしは考えています。
仕事は1人で進めているわけではありません。チームの1人に何かあって仕事が進められなくなったときは他のみんなでフォローするのが当たり前です。まさに「1人はみんなのために、みんなは1人のために」です。
■仕事も遊びも中途半端はダメ!
ワークライフバランスについていえば、仕事をしながら市民オーケストラに参加できるわたしは比較的恵まれているほうだと思います。そうはいっても学生と比較して社会人は自由になる時間が少ないですし、自分の好きなときに休めるとは限りません。そのことに不満や不安がある学生さんも少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、わたしは制約がある中で最大限に自分の力を発揮することに意義があると思っています。実際、わたしが学生だったころは、今よりも自由になる時間はたくさんあったはずなのに、有効に活用できていなかったように思います。
以前上司にこんなことを言われたことがあります。
「第3バイオリンさんって、何か仕事もオケも中途半端みたいなんだよね」
この言葉を言われた当時は仕事に行き詰って先が見えない状態でした。このころは何もかもどうでもいいような、投げやりな気分になっていて趣味にもあまり熱が入っていませんでした。
その言葉からいろいろありましたが、わたしは社会人5年目にしてやっとワークライフバランスが取れてきたと思います。わたしから言えることは「一生懸命に仕事をすれば、プライベートは後からついてくる」ということです。
■おまけ:「ゆとり世代」なんて言葉に負けるな!
ワークライフバランスとは違いますが、冒頭に書いた後輩から気になることを聞いたので最後に補足します。
彼は研究室の教官の講義のアシスタントをしているのですが、その講義を受ける学生さんからたまに次のような悩みを打ち明けられることがあるそうです。
「自分はゆとり世代にあたるが、ことあるごとに“これだからゆとり世代は……”と言う人がいる。社会に出ても、ゆとり世代というだけで変な先入観を持たれて、正当に評価されないのではないか」
これから就職活動を始める学生さんたちは、いわゆる「ゆとり世代」の最初の世代にあたる人たちだと思います。もし同じような不安を抱えている人がいれば、どうかそんな無神経な言葉には負けないでほしいと思います。これは受け入れる側である、わたしたち大人にも責任がありますね。
就職活動中の学生の皆さん。今は不安だったり、キツイと思ったりすることもあるかもしれません。でもそれは自分の道を切り開くために歩き始めたばかりですから当然のことです。どうか歯をくいしばって乗り越えてほしいと思います。わたしは皆さんとエンジニア仲間になれる日を楽しみにしています。
コメント
ひでみ
こんばんは(←よそのおたくなのでお行儀よく(笑))、ひでみです。
昨日、コメントくださった件の記事ですね。
鳥と魚の時といい、シンクロ率が高いんでしょうか(笑)。
> 仕事が忙しくてプライベートの時間を圧迫するというのは悲惨なことですが、
> 反対にプライベートばかり追求しすぎて仕事がおろそかになるのも悲しいことだと思います。
この部分を読ませていただいて「そうだよ、そういうことも書きたかったんだよ~」とじたばたしてしまいました。
おろそかにできちゃうっていうのは、おもしろくないってことだと思うんですね。
平日は起きている時間のほとんどを仕事に費やしているのに、それがおもしろくないってのはものすごく悲しいことですよ。
お金さえ稼げればどんなつまらない仕事でもいい、という考え方もありますけど、エンジニアという仕事はそういう考えの人には不向きですよね。
第3バイオリン
ひでみさん
こんばんは、コメントありがとうございます。
>昨日、コメントくださった件の記事ですね。
>鳥と魚の時といい、シンクロ率が高いんでしょうか(笑)。
はい、そのとおりです。
ひさびさに「かぶっちゃった~」と思いました(笑)。
>おろそかにできちゃうっていうのは、おもしろくないってことだと思うんですね。
>平日は起きている時間のほとんどを仕事に費やしているのに、それがおもしろくないってのはものすごく悲しいことですよ。
昔、先に就職した(私は院卒なので)後輩が言った言葉です。
「やっぱり好きなことを仕事にするべきですよ。
だって、起きてる時間のうちで仕事してる時間が一番長いんですもの」
言われた当時は「そんなもんか」と適当に流していましたが、今はわかります。
1日のうちの8時間(残業するとそれ以上)がつまらない、苦痛だというのは
はっきり言って生きてて辛いだろうと思います。
>お金さえ稼げればどんなつまらない仕事でもいい、という考え方もありますけど、エンジニアという仕事はそういう考えの人には不向きですよね。
仕事で自分を成長させる、誰かの役に立ち、感謝される。
趣味や遊びで得られる満足感とは別の喜び、楽しさを覚えてしまうと、
エンジニアはやめられませんね(笑)。
同じ市民オーケストラに所属する上司も言っていました。
「仕事は結婚までの腰かけ、そのうち30過ぎの小金持ちの男と結婚して仕事辞めて旦那の金で好き勝手する・・・エンジニアやってるならそんな人生でいいとは思ってないんだろ?」
そういうのが幸せだと思う人はそれでいいと思いますが、
少なくとも私はそういう生き方は1年もしないうちに飽きてしまうと思います。
CMP
第3バイオリン、おはようございます。
世代について一言。
私は世間で初めて「就職氷河期」という言葉が使われたときに就職しました。
→つまり(土地)バブル崩壊後ですね
就職氷河期、超氷河期を乗り越えてきた人(会社の後輩とか)から言わせると、バブル期に入社した人とゆとり世代と言われている人がなんとなく似ていると。
(仕事への取り組み方とか、自己主張の強さとか)
「バブル期の人達は使えない」という定説がある(私及び私の周りで)ので、必然的に「ゆとり世代も使えん」ってことになってます。(っていうか本当に使えん)
ただ気をつけてほしいのは、私が言っているゆとり世代って「ゆとり教育で育った人」ではなく、「ITバブル期にこの業界に入ってきた人」なんです。
本当のゆとり世代はどうなっていくのでしょう。
昨今の状況を考えると、密かに期待しているのですがw
第3バイオリン
CMPさん
コメントありがとうございます。
>就職氷河期、超氷河期を乗り越えてきた人(会社の後輩とか)から言わせると、
>バブル期に入社した人とゆとり世代と言われている人がなんとなく似ていると。
>ただ気をつけてほしいのは、私が言っているゆとり世代って「ゆとり教育で育った
>人」ではなく、「ITバブル期にこの業界に入ってきた人」なんです。
土地にしろITにしろ、バブル期というのは企業もとにかく人を集めたいという
一心で、スキルが多少足りなくてもどんどん人を採っていた時代でした。
そういうときに運よく(?)自分の実力以上の会社に入れた人のなかには
自分の実力を過大評価してしまう人もいたでしょうね。
それで入社後も自分のスキルを磨くのを怠り、それでも「自分はできる人だ」と
思いこんでいたら、「使えない人」になるのは当然です。
(しかも周りが迷惑しても当の本人には自覚ないんですよね)
>本当のゆとり世代はどうなっていくのでしょう。
>昨今の状況を考えると、密かに期待しているのですがw
かつての就職氷河期と同じか、それ以上厳しい状況で社会の荒波に
放り出されるゆとり世代の第1期生たちは、自分が何をしたいのか、
そのためにどういうスキルを身に付けないといけないか、嫌でも考えないと
いけない状況になっていると思います。
少なくとも、私の後輩が聞いたような悩みを問題意識として持っているような人は、「使えない人」になることはないと思います。
私自身、今ほどではないにしても決して楽ではない時代に就職活動をして
何社も落とされて、周りがどんどん内定を取っていく中でみじめな思いもしましたが
あのとき、悔しい思いをして悩み苦しんだから、自分の身の丈もわかったし、
今の会社で働けるということを大切にしているのだと思います。
もしバブル期に苦労もなくあっさり内定をもらっていたら
どこかでダメになっていたような気がします(自分の性格上)。