テストエンジニアのキャリアを考える(その2)――出世
こんにちは、第3バイオリンです。
テストエンジニアのキャリアを考える、今回は「出世」について今のわたしの素直な気持ちを語りたいと思います。
■わたしが主任?
今年の初めの目標面接で、上司から次のようなことを言われました。
「この4月から主任昇格試験を受けられるよ」
この言葉を聞いて、わたしもついにそういう歳になったのか……と思いました。わたしが勤める会社では、平社員のすぐ上の役職は主任です。主任になるためには主任昇格試験を受け、合格する必要があります。この試験が受験できるようになるのは中堅と呼ばれる年齢にさしかかるころです。わたしは今28歳ですから、そういう歳なんですね。
■出世に興味がなかった開発時代
また開発時代の話になりますが、わたしは出世に対してまったく興味ナシでした。当時、同じ部署で働く人を見て、この会社におけるプログラマのキャリアは次の2通りだと思いました。
- 主任に昇格し、プロジェクトマネージャになる
- あえて主任にならず、平社員のままプログラミングに専念する
正直言って、わたしはどちらの道にも魅力を感じませんでした。
まず1の方、「プログラマを経験してプロマネに昇進」というITエンジニアにとって定番ともいえる道ですが、プロマネという立場がわたしに務まるとは思えませんでした。というのも、わたしの知っているプロマネはいわゆる「プレイングマネージャ」が多かったからです。
彼らはプロジェクトの進捗管理や顧客との折衝といったマネジメント業務をこなしつつ、設計・実装も行っていました。当然ながら、ものすごい激務です。いつも遅くまで残業し、ストレスにさらされて働いていました。わたしはそんなプロマネたちを尊敬しつつも、彼らのようにはなれないと感じていました。自分がそのような肉体的、精神的なプレッシャーに耐えられるとはとても思えなかったのです。
それでは2のような「生涯、一プログラマ」はどうかというと、これはこれで茨の道だと思いました。まず、主任にならないということで上層部からの風当たりが強くなります。さらに、進歩の早いこの業界でプログラマとして生きていくためには、絶えずプログラミングの技術を磨き続ける必要があります。上からの圧力にも屈しない強い信念を持ち、己の技を極める……。そこまでしてプログラマを続ける意思と覚悟は、わたしにはありませんでした。
要するに1と2、どちらの道も「なりたい自分」のイメージからはかけ離れていました。出世するのも地獄、留まるのも地獄。同じ地獄ならどちらを選ぶか……。大げさかもしれませんが、当時のわたしは本当にそれほど悩み苦しんでいたのです。
■テストリーダーという道
自分の将来について明確なビジョンを持てないまま、わたしは評価チームに異動しました。そのこともあって、異動直後は「出世したい」「人の上に立ちたいという」気持ちはありませんでした。ところが、テストチームをまとめるテストリーダーたちを見て、わたしの考えは少しずつ変わっていきました。
中でも、わたしが最初に入ったテストチームのリーダーは素晴らしい人でした。彼はいろいろな部署を渡り歩き、さまざまな状況(修羅場?)を経験してきた人でした。ある時はテスト手順がメンバー任せでドキュメント1つないようなプロジェクトで、テスト手順を1つずつ体系化し、ドキュメント化したこともあったそうです。そういう人なので、テスト用のチェックリスト作成からテスト実施、報告書の作成まで作業に無駄がなく、自分の下に付いているメンバーが作業しやすい状況を作ることに心を砕いていました。
わたしの作ったチェックリストをそのリーダーがちょっと手直しするだけで、格段に見やすくなったことには驚きました。テストは誰にでもできる仕事なんかじゃない、と思わされた瞬間でした。しかも、彼はただテストをこなすだけではなく、いつも作業の改善方法を考えていて、テストチームのメンバーはもちろん、開発のメンバーからも信頼されていました。
わたしはこの人のようなテストリーダーになりたい、と思いました。さらに、主任に昇格したいとも思うようになりました。しかし、わたしが尊敬するリーダーを含め、大半のテストリーダーは主任ではなく平社員です。それなら何も主任昇格にこだわる必要などないのでは? と思う人もいるでしょう。
わたしが主任に昇格したい理由は2つあります。
1つは尊敬するテストリーダーを(尊敬するからこそ)超えたいという気持ちです。もう1つは、今よりもっと広い視点でテストの仕事を見渡したいからです。今のままでは携われる仕事も限られているし、周りの人を動かす力もありません。プロジェクト単位ではなく、課や部といったもっと大きい単位で開発部署と関わり、テストの在り方そのものを変えられるような仕事をすることが今のわたしの夢です。
■可能性としての出世
今、わたしは仕事の幅を広げるために、主任に昇格したいと思っています。社内という狭い世界ではありますが、自分がどこまで上り詰めることができるのか、どれだけ仕事の幅を広げることができるのか、行けるところまで行ってみたいという気持ちでいます。
ちなみに主任昇格試験の内容は、自分の業務実績や新規案件のアイデアを部長クラスの上司たちの前でプレゼンテーションする、というものです。そのため受験にはそれなりの準備が必要です。今年から受験可能ではあるものの、いきなりチャレンジするのは難しいので、来年か再来年に受験するつもりでいます。
次回は(その1)と(その2)を総括した「わたしの行く道」をお送りします。
追伸:(その1)で紹介したJSTQB認定テスト技術者資格 Foundation Level試験の結果が3月19日に発表されました。結果は……合格でした! よーし、待ってろ世界!(だから梅ランクじゃ世界で勝負できないって)
コメント
組長
こんにちはー。
合格おめでとうございますー!!!そして、目標となる人やキャリアパスが見つかった良かったですね★読んでいて私もちょっとワクワクしました。わが社は昇格試験というものはなく、課長クラスがそれぞれ候補者をピックアップし、取締役も含めた幹部会議で決められるんです。ウチも試験制にしたら面白いのにーー!!素敵なテストリーダーになって下さいね。
第3バイオリン
組長さん
>合格おめでとうございますー!!!
ありがとうございます。
これで受験料、交通費込みで4万円弱の元が取れました(ニヤ)。
>そして、目標となる人やキャリアパスが見つかった良かったですね★
そうですね。
開発やっていたころも素晴らしい人は周りにいましたが、
自分が努力しても近づけそうもない雲の上の人ばかりで、
目標とするには現実的ではありませんでした。
今は尊敬するリーダーとは別の人のもとで働いていますが、
その人も新人教育しながら大きいプロジェクトのテストリーダーを務める
すごい人です(しかも私より年下!)
他にも2年前に大きなお腹を抱えてフロアを奔走していたママさんリーダー、
出産を機に一度退職したものの契約社員として戻ってきたこちらもママさんリーダーなど、個性豊かなメンバーが勢ぞろいです。
その中で私はどんなリーダーになるのか、自分でも楽しみです。
ヨギ
合格おめでとうございます。
(私の部下も数人受けたんだけど、ナニも言ってこないな。落ちたな...)
評価リーダになると、直接の評価からは離れる(やらせてくれない)一方で、
テスト管理の他に、人の扱いに労力を使うようになると思います。
テスタは若い方が多いので、今は極端な不景気だから、
わりとみんな大人しいですが、景気が良くなると、
とたんにワガママ言い出したり、急に休んだり、辞めると言い出したりと、
けっこうそんなことにばかり労力を費やしたりして、
ふと気付くと、「この一ヶ月、オレ何やってたんだろ」なんて時もありました。
でもバイタリティがあり、
開発で苦労された経験のある第3バイオリンさんなので、
そう言ったことにも、良い采配を振るわれるのではないかと思います。
どうか、(がんばりすぎず)ご精進ください。(^^)
第3バイオリン
ヨギさん
こんばんは。
>合格おめでとうございます。
ありがとうございます。
これで今年の大きいイベントの一つを乗り越えました。
>評価リーダになると、直接の評価からは離れる(やらせてくれない)一方で、
>テスト管理の他に、人の扱いに労力を使うようになると思います。
テストリーダーを見てると、管理がまた大変そうなんですよね(汗)。
テスト計画書やチェックリストのレビュー、完了報告書の作成が大変そうです。
開発チームも忙しそうで、非協力的な人もいます。
それから、人を使うって本当に大変だと思います。
評価は女性が多いので、女性リーダーが女性を使うとなると
いろいろキツイものがありそうです(悪寒)。
また派遣社員の比率も高く、いろいろな派遣会社の人が入り混じっているので、
どの人にどういう仕事を任せられるかについては制限もあります。
そのあたりを考慮した人員配置に苦労している様子が見られます。
それでも、ひとつのプロジェクトのテストを
テスト計画から完了報告まで任されてみたいという気持ちは変わりません。
無茶しないようにやっていきたいと思います。
どうも、稲造です。おっさんです(いや~)
主任ですか。僕は印刷DTP7年やって、さあ、もうじき主任だ、という頃になって、印刷不況のあおりを喰らって、リストラされました。
むいていらっしゃらないのであれば、無理に主任になる必要はないとは思いますが、なかなかなれるもんじゃないですよ、主任。
ではでは~。
第3バイオリン
田所さん
リアルで厳しいご意見ありがとうございます。
コラムで勢いよく「主任になるぞー!」と宣言したものの、
一方で「私に務まるのか?」という不安があるのもまた事実です。
やってみなくてはわからない部分もありますが、
やってみて向いていなくても「ゴメン、無理!」と止めてしまうことはできません。
向いてなくても続ける覚悟が必要です。
それでも、今は主任を目指したいという気持ちの方が強いです。
自分を成長させたい、今の立場では見えないものを見たい、できないことをしたいと思っています。