時給を上げる話(5) 「なんでそんなに高いの?」
時給について書きたいことが、もりもり出てきました!
その理由は、SNSとかで拡散されていたふたつのトピックを思い出したからです。
ふたつとも、なんか出回ってるなー、みたいな感じで読み飛ばしていたのですが…
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ひとつめはこちらの
Here's your design sir.
but why do I have to pay you so much for something you took ten minutes to make.
Because! I spent ten years studying to learn how to do it in ten minutes
依頼主がデザイナーに対して「10分でできる仕事なのに何でこんなに高いんだ?」と。
それに対する答えが” Because! I spent ten years studying to learn how to do it in ten minutes”っていう…(ドヤ顔で)
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それともうひとつは、いろいろ投稿のパターンがあって元ソースを特定できないのですが、
「プロに無償で仕事を頼むのはNGだろ」
的な議論が、一時期出回ってましたよね。
友達なんだからちょっとぐらいいいじゃん的な?その道で食ってるプロに対してのそういう依頼は撲滅すべし!みたいなキャンペーンがあったと記憶しています。
そして、見解は賛否両論でした。プロの側からも、タダであってもそれが何かしらの金銭以外のメリットがあるんだったらやるよー、みたいな意見もありましたね。
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このふたつのトピックは、なんだかすっと入ってきたのです。だから、ほとんどスルーしてしまい、忘れていました。
なぜすっと入ってくるかというと私はカンゼンに「プロ」の側にいる自覚があるからです。
プロの側にいる自覚のない方は、上のふたつのトピックに対して、ひっかかりがあるんだと思います。
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最初のトピックについては、妄想すると、たぶん依頼主は数万円、あるいはそれ以上払うことになったのでしょう。仮に5万円としても時給は30万円ですかね。
渋々であっても結局払うのであれば、このデザイナーが時給30万の人間であると認めているということです。(ただし、このデザイナーのもっとも得意な分野に関しては、ということです)
このネタの依頼主はサラリーマンなんでしょう。そして管理職に違いありません。この人、ケチってるクセに自腹切ってませんよね。結局会社のカネですからね。
でもこういうヒトたちって今をときめくゲーノー人を事業部の忘年会に2時間60万円で呼ぶのには抵抗はないと思うんですよね(笑 そこそこのお笑い芸人ならばかなり値切ると思いますが(苦笑
まあそれはいいとして。
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ふたつめのトピックについては、毎月自動的に給料が振り込まれる(と錯覚している)サラリーマンの方ほど「ちょっとぐらいいいじゃん」派なんだと思います。
会社組織に属さずその道で食ってるプロは、毎月自動的に給料は振り込まれません。仕事をして対価をもらわなければなりません。黙っててもお金を振り込んでくれるお客さんはいませんので、請求書をまわして、ご機嫌をとって、自分の口座にお金を振り込んでもらう必要があるんです。
で、私のうしろには家族がいます。生きていくために、その振り込まれるお金を待っています。お金がショートすると生きていけないのです。そのプレッシャーは相当なものです。
極論すれば、私の仕事(報酬を得るに値する、もっとも得意な分野)に対して「ちょっとぐらいいいじゃん、やってよ」とすり寄ってくる人というのは私のことを時給ゼロ円の人間であると判断している、と理解します。
これは、私の存在の全否定に等しいのですよね。
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ちなみに私は、プライベートではけっこう親切です(笑 お金に関して敵意むき出しにするのは自分の仕事の範疇だけです…
たとえばPTAでバーベキューやるとするじゃないですか。そういうときは対価をもらうどころか材料費持ち出しですよね(苦笑
お金も持ち出しだわ、準備と当日と片付けで1.5人日拘束されるわ… そんなときに工数くれなんていいません。
でも、私がその道のシロートではなくイベントをプロデュースする会社の人間、すなわちプロだったら、頼まれたら対価を要求するかもしれません。対価を要求しつつ、バイトとかを使って、もっともっと素人のバーベキュー大会以上の盛り上がりにする(してしまう)のでしょうね。
ただし、私がそのバーベキューの主催者だったら、無償でやります。誰にも頼まず。
たとえればそういうことですね。
と…長くなってしまったのでもう少し続けます。