言語の歴史は人類の歴史。そして人類はコンピュータを言語で動かすようになった。

バカの壁

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いつくらいだったか、このようなタイトルの本が出版されたのを覚えています。今回のコラムはそれとはまったく関係はありません。日本で仕事をしていると、承認プロセスや確認プロセスで、何人も人を通して確認を行うやりかたというのをよく見かけます。人数を重ねるほど防御力が高くなって、ミスや見落としを無くせるというコンセプトのようです。あれが、バカを何人も並べて防御壁にしているような感じがするので、個人的に「バカの壁」と呼んでいます。

バカの考える防御壁だからなのか、バカをより集めて壁を形成するからなのか、両方の側面からとらえることができます。あまり効率よく機能しているのを見たことがありませんが、効率を度外視して一定の成果を挙げていることは認めます。頭が悪くても、一定の成果を挙げられるから、日本で広まったのでしょう。また、相手の頭が悪くても、この手法であれば説明をつけることができます。運用も簡単、説明も簡単、まさにバカを納得させるための銀の弾丸です。

人に説明もしやすいため、責任者が責任を取らないための防御壁としても上手く機能しています。責任を人数で薄めて、お互いがうまく言い訳をできるエコシステムです。責任をたらいまわしにするためのサークルを上手く形成できるし、高速でたらい回しにすることで、遠心力で責任を吹き飛ばせます。責任が飛んで行った先でも、同様の仕組みで責任を吹き飛ばすことができます。この仕組みを、私は「円環の理(えんかんのことわり)」と呼んでいます。これについては、別のコラムで掘り下げてみたいと思います。

この「バカの壁」ですが、バカみたいにリソースを食います。そういう意味も込めて「バカの壁」と呼んでいます。とにかく、人の人数や手数に依存する手法なので、人件費やら調整にかかる手間も莫大なものになります。また、何か問題が起こったときにも、多くの人の手を介しているので、調整や状況の把握にも手間がかかります。結局、このような採算を度外視したような手法が通じたのは昭和の初期くらいまでだったようです。

説明も簡単、運用も簡単、かつてその手法で大きな成功を収めたとなると、なかなか離れることは難しいでしょう。また、安易な納得を追い求めると、日本人は「バカの壁」というやり方に辿り着くようです。どんなにITを駆使したとしても、人数任せにスクリーンショットをExcelに張り付けているようであれば、何の効率も上がりません。承認プロセスが複雑で事務手続きが複雑なままでIT化したとしても、手間自体は大して減りません。結果を得たければ、まず、「バカの壁」という手法から離れるのが最初です。

Comment(4)

コメント

匿名

>昭和の初期くらいまでだったようです。
これ間違いだよな(苦笑)


- Horus -
第三者が読んで一番わかりにくいコメントですね。
名前が空欄のコメントにロクなものが無い。

マスター吹越

養老孟司ですね。2003年の本でした。
このバカの壁のなかに「いちゃもんつけるのが正義」とかカンチガイしているのが居ると余計に労力が消費されて徒労感ぱないですよね···


- Horus -
「いちゃもんつけるのが正義」みたいな人って、仕事でもよく見かけますね。ただ、人にいちゃもんつけていると精神的な余裕が削られて余裕がなくなる傾向は見受けられます。

ちゃとらん

その昔、承認欄が10マスで足りないからと、30マスに増やしたことがあります。(自社ではなく他社様です…一応)


押印するとき、少し左に傾ける(左ほど上司)と、お辞儀している様に見えるというテクニックにも驚愕したことがあります。


日本は平和ですね。


- Horus -
本当に平和だと思いますね。ただ、平和を無駄遣いしている感が凄いです。

大竹

内部牽制のことだと思いますが、ミス防止よりも不正防止の側面が強いと思います。


- Horus -
なるほど。そいういうのもあるんですね。

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