言語の歴史は人類の歴史。そして人類はコンピュータを言語で動かすようになった。

情報を一元管理するほどプロジェクトは混乱する

»

よくプロジェクトで「情報の一元管理」という話を聞きます。まず、この話を聞いたら、計画表と進捗管理表を確認しましょう。多くのプロジェクトでは、計画表と進捗表を一つの表で管理しています。これはNGと明言できます。なぜNGかというと、計画は基本的に変化しないものです。言うなれば物差しのようなものです。進捗は日々更新がかかるものです。性質の違うものを一つの表で管理すれば、混乱するリスクは跳ね上がります。

計画必達は分かりますが、進捗とは別です。「必達するものだからイコールで考える」という人には、マネージメントは無理です。最初から調整という視点が無いので、計画と進捗に食い違いが出たときに打てる手段がありません。心意気は素晴らしいですが、手段が無ければ仕事として成り立ちません。計画に見直しが入ることもあります。ただしそれは、進捗とは別のレイヤーで変更されます。なので、別々に管理して対比するというのが正解ではないでしょうか。

この話をすると、必ず「一つの表に書き込んだ方が対比しやすいではないか!」という意見が出ます。確かに、比べる項目が単純ならその通りです。プロジェクトを細かくプロセスに分けて、各プロセスごとに対比表を作って管理するのであれば正解です。十分に成果が望めます。ただし、ITのプロジェクトでは、いろいろな作業が同時並行で進みます。複雑な並列作業に対して無理に一覧表に落とし込むので、進捗と対比できる代わりに、各プロセスの関連性が見えにくくなります。

プロジェクトの一番根幹になる計画表と進捗管理表を例に挙げましたが、その他の情報でも似たようなことが起きます。いろんな情報をとにかく一つの表に詰め込めば便利になるという呪縛でもあるのでしょうか。いつだかその理由を聞いたことがあります。答えとして、説明する時に「ここに全部書いてあります!」と言えるから。と返答を頂きました。確かにこの答には納得がいきました。「説明で話が通せたから、この資料は正しい!」と、そいういうロジックなのでしょう。

問題は、一覧表をつくることと言うより、一覧表しか作らないことです。一元管理は必要です。ただし、あらゆる情報を一つの表にまとめることと勘違いされていることが多いです。プロジェクトを適切に管理するには、一元化よりスモールステップを心掛ける方が有効かと思います。大きなデータを観点ごとに分けて、小さな単位でOKを出していけば、進捗の管理もやりやすくなります。見直しを行う際も、非常に小回りが利くようになります。これからの時代は、一元管理ではなくスモールステップです。ぜひ、試してみてください。

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する