言語の歴史は人類の歴史。そして人類はコンピュータを言語で動かすようになった。

自分にできて人にできないこと

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ITのスキルで「自分にしかできないもの」というキーワードで差別化を計る人をたまに見かけます。ただ、本当に自分にしかできないものというのは、同時に人が価値を認識できないものだったりします。例えば、凄く危険な仕事だったり、人の嫌がる仕事などがそうです。やれる人はかなり限られます。それでも、その人が評価されるかどうかは別問題です。よくビジネス書などに書いている「自分にしかできないこと」は、ほぼ「既得権」と読み替えが利きます。既得権を握ってしまえば、確かに人にはマネができません。

そういう基準で物事を見ると、ビジネス書で語られる「自分にしかできない」は単なる椅子取りゲームの話です。再現性が無いので、読み物として楽しむレベルに留めることをお勧めします。そういう話題で本が出版される頃には、椅子取りゲームの空き席は残っていません。本に書いてあることを実行しても再現性がありません。そんな、ビジネス書を読んだくらいで成功できるような単純な世の中でもありません。「自分にしかできない」より、誰にでもできることを無難にこなせるようになった方が、人生は安定します。

トータルで考えると普通が最強です。普通を恥じずに誇るべきです。普通の人間が「自分にしかできない」を背伸びして目指すから不幸になると考えています。「自分にしかできない」が欲しいなら、普通を捨てましょう。「自分にしかできない」を目指す人がよくやる失敗は、普通の利点と「自分にしかできない」の利点の両方を欲しがることです。それぞれにメリットがあり、デメリットがあるものです。二者一択で「普通」か「自分にしかできない」を選ぶ場面で、双方のおいしいとこ取りをしようとするから、どちらつかずで失敗するのです。

「できる」とか「できない」を論じている暇があるなら、何かやりましょう。アクションなしでロジックばかり膨らますと、内容が空洞化しやすいです。ロジックを充実させたいなら、アクションを起こしましょう。アクションを起こせば、それに対していろいろな結果が出るので、考えるべき課題や議論のネタもいろいろ得られます。「自分にしかできない」は、行動と結果の検討を積み重ねることで生まれます。理由は簡単で、行動と検討の積み重ねをやる人が少ないからです。人がやらないことをやっていると、結果として「自分にしかできない」になります。

私はエンジニアライフでネタに困らず三年程度、コンスタントにコラムを書き続けてきました。ある意味、「自分にしかできない」を達成しているのでしょう。そういう立場から言うと、「自分にしかできない」はそんな大したメリットはないです。単に自分と同じことをやる人が少ないだけで、周りより優れているという訳ではないからです。希少性があると何か価値があるっぽく見えてしまうものです。それよりも、実質なにをしているかの方が重要です。

P.S.

・・・ただ、「自分にしかできない」と思っていたことを、他の人にサラリとやられるとけっこう焦ります。勝ち逃げ先生がコラムを書いたとき「何?コイツ。サラリとこんな凄いの書くのか!」と焦りました。いや、感服しましたよ。

Comment(2)

コメント

勝ち逃げ先生

いつもHorusさんのコラムを楽しみにしております。
「普通が最強」おっしゃるとおりです。この「誰にでも出来る無難なこと」を何年も愚直に繰り返した時に、少しずつ「自分にしか出来ないこと」に変わるのだと思います。プロ野球ではイチローがそれでした。Horusさんのおっしゃる、「アクションを起こしましょう」にも通ずるものがあると思ってます。


お褒めの言葉を頂けたのは本当に恐縮なのですが、「誰にでも出来る無難なこと」を半年ほど続けているだけです。まだまだHorusさんの足元にも及びませんが、少しずつ「自分にしか出来ないこと」に変えていきたいと思います。引き続きよろしくお願いします。

しがない中年エンジニア

ケースバイケースだとは思いますが、この記事はその通りだなと思いました。


私のスキルはたまたまアンバランスな状態で転職して今の会社にいます。
この「自分にしかできないこと」が強みであったものの、アサインされる業務がアンマッチ(受注に至るものは自分の得意分野でないものばかり)で、最初の数年間は不遇の状況でした。ある時期に保守業務ではあるもののマッチする業務に携わることになり、「よしこれから軌道に乗っていける」と考えたものの、一人で8年それをやり続けることに。


普通ならそこから部下の育成など、得意分野を組織に還元することも含めてのキャリアパスを想定していたが、上司がそのようなことすら考えないタイプであった為、「一人で誰とも関われずに7年保守し、自分しかわからないノウハウを組織への還元すらできない不遇の時間」だけになりました。


結局、「得意分野を生かす」ということが組織として戦略に入らない限り、「普通」の方がはるかに有利という


上司にはせめて「部下の活かし方」くらいは戦略として考えてもらいたかったと悔しく思うところ。まあその上司の下では誰も育つ状況が無く、「仕事無い・無い。どこからか仕事調達しないと…」というスタンスしかなかったのが、さらに憤りを感じていた。
アンバランスなスキルで「誰にでもできること」が出来なかったとすれば、「自分にしかできないこと」で戦略を立てて受注につなげることも、あって良いはずなのだが…っと。


そんな風に読ませていただきました。
でも、「誰にでもできること」がまずは基本ですね。


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