技術についていけなくなる経過をよくみてみた
エンジニアをやっている人の一定数は、歳をとるにしたがって技術についていけなくなります。技術にキャッチアップできなくなるエンジニアをよく観察すると、おおよそ三つに分かれます。
- 忙殺系 忙しさが故に技術から遠のいてしまい、キャッチアップできなくなるタイプ。
- 他殺系 周りに不確かな情報があふれていて、何が正しいのか分からなくなるタイプ。
- 自爆系 慢心や怠慢さ、自己満足で学習を止めてしまうタイプ。
分類の基準は、キャッチアップできなくなる原因がどこにあるかで分けています。キャッチアップできない人を自爆系と見る人が多いですが、よく見ると忙殺系、他殺系はかなりいます。
全てのエンジニアが幅広く最新技術にキャッチアップし続けるのは難しいです。ただ、キャッチアップできなくなる原因は、かならずしも自分にあるとも限りません。例えば、毎日終電まで残業し仕事をしているような状態では、技術のキャッチアップに時間も体力も割けません。意外と認識されないのが他殺系です。現場で間違った技術や古い手法を「正しい」と教え込まれると、技術者として伸びしろが削られます。間違えた情報を正しいと思い込んで、大きく回り道をすることになります。
技術のキャッチアップという視点から見ると、組織は平気で個人のキャリアを潰します。よく見るのが、新卒三年目でマネージャをやらせて、忙殺系で技術にキャッチアップできなくなる事例です。これは本当に可愛そうです。そして、忙殺系でキャッチアップできなくなった人が不確かな情報をばらまいて、現場の技術力が大幅に下がります。これによって他殺系で技術にキャッチアップできなくなる人が続出します。そういう悪循環はIT系の現場では一般的になりました。
逆説的ですが、組織に忠誠心が強い人ほど技術的にドロップアウトしやすいです。そもそも、組織が提唱するキャリアプランはデタラメなことが多いです。キャリアプランと言いつつも、中身を見ると「ぼくのかんがえたさいきょうのエンジニア」です。そこに書かれているやり方で技術にキャッチアップするのは至難の業です。技術にキャッチアップしたければ、まずは組織に振り回されずにに自分の足元を固める必要があるかと思います。
技術のキャッチアップに配慮してくれる組織は少ないです。ゆえに、単に勉強を一生懸命やる、仕事を一生懸命やるだけでは技術にキャッチアップし続けることはできません。あと、技術にキャッチアップできなくなっても、「私に原因があった」と自分ばかりを責めないようにして欲しいです。反省は大事ですが、外的要因を有耶無耶にしては、これから進むべき方向が見えなくなります。再起を図る上で自己肯定は重要な鍵になります。このコラムで書いた私の視点が、再起しようとする人の助けになることを願います。