言語の歴史は人類の歴史。そして人類はコンピュータを言語で動かすようになった。

技術にリスペクトの無い日本のSIerで仕事をしても成長できません

»

先日書いたコラム「日本のSIerが世界一になれる可能性はあるがまだ実現は難しい」の はてなブックマーク にこんなコメントがついていました。

微塵もないからそんな可能性。ちょっと前の自分の記事で言及してるじゃん。たまげたなぁ。

https://el.jibun.atmarkit.co.jp/horus/2020/02/post_127.html

少し前に書いたコラム、「SIerの仕事では成長できません」と主張が矛盾してるんじゃないか?というのが、どうも言い分のようです。確かに、先週のコラムのタイトルが「日本のSIerが世界一になれる」だったらそうなるかもしれません。ちなみに、このコメントに同意している人も結構多いです。

・・・にやにや。

今回のコラムでは手抜きも兼ねて、このコメントを完全論破してみたいと思います。論破する方法は簡単です。「日本のSIerが世界一になれる可能性はあるがまだ実現は難しい」と「SIerの仕事では成長できません」をそのままコピペで繋げても内容が破綻しないことで、コラムで言及している内容に一貫性があることを証明してみたいと思います!

(ただし、内容が長くなるため中見出しを追加しています。)


SIerの構造だけが問題という訳ではない

日本のSIerはSESを利用しているので人の入れ替わりが激しいです。これを欠点のようにとらえる人が多いですが、実はすごい事かもしれません。人の入れ替えの激しい状況からもう一歩、前のプロジェクトからノウハウを継承する仕組みを追加できれば、多くの人の英知が広く積み重ねられ、日本のIT業界にノウハウが一気に積みあがるのではないのだろうか。

それだけではありません。最近、働き方改革が表面上だけでも機能しています。いろいろな弊害を含みながらも、「労働時間を短くしなければいけない」という意識だけは芽生えてきています。その影響か、SIerで炎上真っただ中でも無茶な行使をされにくくなってきています。また、リモートワークなどITを駆使した仕組みも注目が集まっているように思います。

SESの仕組みにしても、やろうと思えば色々な企業で積み上げられたノウハウを集約することもできます。労働環境が改善されることで、SESで働いている人にも余裕ができます。余裕ができることで、SESをやっている会社で技術の積み重ねをするようになったら、それぞれの会社が強みを持つことができます。もしこういう流れが実現すれば、やりたい技術に合わせてSESの会社を選ぶようになるかもしれません。

日本のSIerは大きく変われる可能性を秘めていると思います。しかし、技術へのリスペクトが無いがゆえに、自ら可能性を潰していると言えます。日本のビジネスの進め方を見ると、技術で何が実現できるかよりも、会社の人間関係が優先されているように思います。現場では、解決策を提示するよりも人間関係を円滑に進めることが求められてしまいます。

技術にリスペクトが無いことが元凶

かつて日本が技術大国と呼ばれていた時代は、技術に対してのリスペクトがあったように思います。今の日本のSIerでは、個人の持つ技術は単なる商品についたラベルみたいなものです。個人が素晴らしい技術を有していたとしても、現場では指示通りに動くことばかり求められます。この傾向も元をたどれば、技術へのリスペクトが無い事が起因しているように思えます。

会社はしがらみが多いです。今やっているプロジェクトも、仕事の中身だけ見れば一人で半分の工期で完了できる見込みがあります。しかし、WBSに書かれたフェーズに合わせたり、出来の悪いドキュメントを踏襲するための手間が膨大にかかっています。よく「手戻りが無いように」と指示は頂きますが、生産性の無い要求に応えるためにプロジェクト二巡分くらいの労力を割いています。

こういう状況で働いているエンジニアの方は多いと思います。プロジェクトでの成功を総合力と考えると、個人の頑張りでこの状況を覆すのは難しいです。この効率の悪いやり方を正として頑張ると、努力するほど間違えた方向に進むことになります。当然のことながら、間違えた努力に励んでも何の成果も得ることができません。やるだけ無駄、いや、むしろやらない方が得です。

SIerの仕事はレベルが低すぎてスキルが伸びない

今の日本のSIerの業務に学ぶ要素はありません。スキルのない人がリーダーをやるので、現行踏襲しかできません。作成するドキュメントも儀式化していて、ろくに内容が精査されていません。そんな仕事を頑張ったところで、自身が成長する道理がありません。なので、仕事は仕事で義務を全うすることだけに専念しましょう。成長する手段は別途用意する必要があります。

成長したければ、自分のスキルは自分で伸ばしましょう。あと、人が読まないドキュメントをよく読んで、何がダメかはポイントを押さえておきましょう。これができるだけで、大きなアドバンテージになってしまいます。そのくらいに、一般的なSIerでリーダーをやっている人の理解度は低いです。そういうレベルの人を基準に自分のキャリアを考えるのであれば、ナンセンスと言わざるをえません。

誰が考えても明らかですが、Excel方眼紙にスクリーンショットを張り続けたり、出来の悪い設計書を模写しても何のスキルにもなりません。上流工程でこれを指示して仕事をした気でいる人は、転職市場で淘汰されます。自分が一流と思っている人が、実は世の中で通じない人だったと知った時の落胆は計り知れません。結局、質の劣る仕事は人間関係と立場で支えられているだけです。自分のスキルは自分で習得するしかないのがSIerの現状です。


そのままコピペしただけですが、内容が破綻せずに一本のコラムにまとまりました。

はい、完全論破です♪

ただ、コメントを付けた方や同意している人は、そもそも内容をあまり読まずにコメントしているようなので、論破されたことを認識すらできないでしょう。コメントへの反撃というよりも、コメントを読んで小技を思いついたので試してみた次第です。どういう思いでこのコメントを付けたか知りませんが、このように反論や否定的な意見から閃きが得られることは多いです。

ものの見かたというのも、少し角度を変えれば肯定的に見えたり、逆の角度から見ると否定的に見えたりします。視点の変化で世界は大きく変わって見えます。たまに、手のひらを返したようなタイトルのコラムを書くのは、そういう理由からです。視点を変えるだけで見える世界が変わる楽しさをコラムで伝えられればと思っています。

Comment(22)

コメント

匿名

この記事の趣旨とずれてしまいますが、言葉を理解しようともしないしそもそも読まない人が多く感じます。

匿名

大学等で論文を書いたことがあればわかると思いますが、根拠のない主張は価値がありません。
そして、個人の主観というのは根拠にはなりません。


SIerはレベルが低く業務から学ぶ要素がない、という主張の明確な根拠となるデータを示せますか?
例えばレベルが高いSIerとはどのような存在かを客観的なデータを示した上で定義し、
それに対して何が欠けているからレベルが低いと判断した、と論理的に説明することができますか?
スキルのない人がリーダーをしている、という主張の根拠となるデータを示せますか?
(過去のコラムですが)VBAが不要である、という主張の根拠となるデータを示せますか?


過去のコラムもそうですが、貴方の主張は全て自分の狭い狭い視野の中で得た情報のみを根拠としているように思います。
悪意のある言い方をすれば、自分の妄想を垂れ流しているだけです。
一度、自分のコラムを1から読み直していろいろと考えてみてはいかがでしょうか?

Horus

> 匿名さん
これも簡単に論破できるんですよね・・・。


> 大学等で論文を書いたことがあればわかると思いますが
いや、これは論文ではなくコラムです。この時点であなたの主張は全て的を外しています。


たくさん書いたところ申し訳ございませんが、一行目で完全論破させて頂きました。
せっかくなのでダメ押しで付け加えると、


まず、相手に根拠になる情報を求めるなら、自分が先に情報を示すべきです。情報を示せと言っておきながら、情報もなしに相手に問うというのもどうでしょう。自己矛盾していませんか?


コラムを書いているのは、自分の狭い知見を広げるために書いています。「私はこうだ」という意見を発信しています。基本、経験則で書いています。それぞれの境遇、価値観の違いで感じ方は様々かと思いますが、個人の感じたことを意見として情報発信することには大きな意味があると思います。


あなたの指摘は、掃除機の説明書を読んで「ストーリー性がない!」と憤慨しているようなものです。コラムは個人の見解を中心に書いていいものだと思いますがいかがでしょう。違うと思うなら、コラムなんて読んでいないで百科事典を読んでいてください。あなたの大好きな正確な情報が満載です。

Horus

こういうコメントはキッチリ対応しておかないと今後、コラムを書こうとしている人が委縮するので、キッチリと対応させていただきました。


コメントをしている方も
> 悪意のある言い方をすれば、自分の妄想を垂れ流しているだけです。


と、はっきりと悪気を持っていることを表明しています。こういうコメントには、歴然と「No!」を突き付けてOKです。何かを発信したい人は、こういうコメントのいなし方の対応例として上記の返答を見て頂ければと思います。

n

根拠のない主張に価値がないという主張自体が個人の主観に依るもの

あと人の書くものなんて別に妄想でも良いと思う

yaml

Sierだけじゃなくて、大手IT企業ではだいたいそうなのかも。
コミュニケーションスキル(ゴマスリ)だけでリーダやらマネージャーやらやってる人多い。
こういう人が上にのさばってるせいで、手を動かしてる人間の労力は何倍にもなってる。

匿名

はじめまして。文系卒の5年目SIerです。
記事にも書いてある通りに、技術のないリーダーを散々みてきましたし、
自分もコピペでしか開発したことないので、
今は伸び悩んでいます。
そんな中、政府が発表した「2025年の崖」を聞いて、尚更先行きに不安を覚えます。

2025年の崖について、見解を聞かせて頂きたいです。

匿名

私の会社にも仕事ができないのに自分は仕事ができる、技術力があると勘違いしているおじさんがいます
そのおじさんも毎日毎日飽きもせずこんなふうに誰がを批判することばかり口にして自分がどう見られているかに全く気付いていないようでした

匿名

エンジニアが論破とか争っている裏で、非エンジニアが出世の作戦を練っているんだよな。。

a

はじめまして。現状が辛いので失礼します。
SIerの下で仕事してる新人です。
スキルがないからと学生でもアルバイトでもできる仕事しか寄越されなく仕事が楽しくありません。
それに仕組みがよくわからぬまま就職した自分がバカなのですが現場の期間も短いため毎回面談というものに振り回され勤務地がコロコロ変わるのも辛いです。
今のうちに見切って第二新卒で新しい仕事を見つけた方が良いでしょうか?

匿名

コラムとしてまとまっているように見えるが、
読んでも全くグッと来ない。

海外でもプロジェクト毎にリクルートして、
用が済んだらカットする仕組みでも、
アソートされたメンバーに蓄積された技術を使いまわす。
日本のSIerが世界一になれる根拠になるとは思わない。

新しい仕組みやシステムはSIerの仕事からは生み出さないでしょう。
SIerの仕事とは別の、個人的な何かを持つ必要があると思います。

最近日本語読めないゆとりエンジニア増えたから大変だね

勝ち逃げ先生

aさんへ
横槍すみません。勝ち逃げ先生と申します。ここのコラムニストやってます。


お辛い気持ちは痛いほど理解できますが、コロナ騒動が発生してからというもの、売り手市場の黄金時代は終わりました。なので、後先考えずに飛び出すのは控えたほうが良いと思ってます。
ただ、転職サイトに登録するとか、水面下で活動するのはいかがでしょうか?転職サイトに登録するためには、職務経歴書の入力が必要です。この職務経歴書がしっかり書けないようなら、転職は無理です。例えば、簡単な仕事の取りまとめ係を買って出るとか、進捗状況を数値化してリーダーに報告するとか、その職場では実らないかもしれませんが、その実績は職務経歴書に書けます。プロジェクトマネージャーの卵としての可能性を買われたら、企業からオファーが来るはずですし、会社が手放さないかもしれません。
今のまま飛び出したところで、新しい会社でも同じ悩みにぶち当たります。努力を続けていれば市場から必要とされる日が来ますよ。ガンバ!


Horusさん
コメント欄よごしてすみません。
昔のぼくを見ているみたいで放っておけず、ついお節介をしました。
引き続き、切れ味抜群のコラムの執筆お願いします。

Horus

> 勝ち逃げ先生 さん

コラム、いつも拝見しております。
こういうの嫌いじゃないですよ。私としても、aさんには満足できる仕事にたどり着いてくれたらと思います。

Horus

> aさん
せっかくなので、新卒カードについてコラムをチャチャっと書いておきました。3/18 公開です。


> 匿名(文系卒の5年目SIer) さん
良い題材かと思いますので、「2025年の崖」についても来週書いてみようと思います。

匿名

まぁこういうコラムは暇つぶし程度に面白おかしく読めたらそれでいいと思いますよ。
根拠を示せ!なんて言ってる人はネットから情報を得るべきではありません。
学会誌でも読んでおきましょう。

くわぢ

ゲシュタルト崩壊しないで、Excel方眼紙にスクリーンショットを張り続けたりをしつづけ、新旧比較から障害管理表に記入するネタを見つけたりするのは、誰が考えても明らかですが、スキルです。大体新旧比較をし続けるだけでも、大量になればスキルです。
システムというものに対する、一段高い視点からの理解が必要です。
技術にリスペクトが無いのはHorusさんの方では無いでしょうか?

Horus

> くわぢ さん
その方法は致命的に効率が悪いです。スクリーンショットの画像ファイルを分類して、必要な画像を絞り込んで分析してください。効率は十倍程度の差が出ます。


くわぢさんの提唱するスキルはスキルとは呼べません。技術に対するリスペクト以前に、技術を使っていません。手作業でゲシュタルト崩壊に耐えてる時点で、手法として致命的な欠陥を抱えています。


まず、「Excel方眼紙にスクリーンショット」という発想から抜け出さないと、まともな思考はできません。そんなクソみたいな技法にこだわるのは日本のSIerだけです。


これが一段高い視点からの理解です。


くわぢさんの私に対する指摘は、頂いたコメントの内容の上で読み取ると、「技術にリスペクトが無い」ではなく、「みんなが頑張ってやっている手作業へのリスペクトが無い」になっていないでしょうか。


はい。そういうものへのリスペクトはありません。

k

技術に対するリスペクトとは一体何かを具体的に説明してみてもらえませんか?

Horus

> k さん
具体的なリスペクトですが、そういう、人を試すような聞き方をエンジニアに対してやらないことです。

k

聞き方が悪かったようですね。すみませんでした。


技術にリスペクトが無いのが元凶とまで書いてるので、
何か強いメッセージを感じたのですが、
リスペクトって結構抽象的な言葉なですよね。

じゃあそれは一体何なのかって思った次第ですよ。
素朴な疑問です。

問題を解決したいなら具体的な要因まで
落としていかないといけないですよね。


技術に対するリスペクトは誰でも持っていると思います。
一部の人達を除いて。

Horus

> k さん
そういうことであれば、私の思う範囲で答えさせて頂きます。


私の中でのエンジニアに対してのリスペクトは、相手をエンジニアとして対応することです。


頂いた質問はかなり答えにくいです。これ以上の答えを望むのであれば、「この人にとってリスペクトとは何だろう」という観点で、私の書いた別のコラムを洗いざらい読んでみるのがいいかと思います。

コメントを投稿する