高校~社会人の情報学基礎知識講座

問題解決しようぜ!!!!4  情報処理技術者試験対策編3

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2021/01/16続けて執筆。

今回で問題解決手法と過去問紹介は終わりです。今回は2つだけの代わりに内容が濃ゆいですよ。

  • バランススコアカード

解決策の実行3.進行管理でどのような視点を持てばよいかを教えてくれる考え方。
過去問の紹介でそのまま内容説明しましょう。

ITパスポート平成29年秋期 問14

BSC(Balanced Scorecard)の説明として,適切なものはどれか。

(ア)顧客に提供する製品やサービスの価値が,どの活動によって生み出されているかを分析する。
(イ)財務に加え,顧客,内部ビジネスプロセス,学習と成長の四つの視点に基づいて戦略策定や業績評価を行う。
(ウ)帳簿の貸方と借方が,常にバランスした金額になるように記帳する。
(エ)取引先の信用度を財務指標などによって,スコアリングして評価する。

答えはイ。アはバリューチェーン分析。ウは複式簿記、エはスコアリングシート。

基本情報技術者平成22年秋期 午前問69

バランススコアカードの四つの視点とは,財務,学習と成長,内部ビジネスプロセスと,もう一つはどれか。

(ア)ガバナンス
(イ)顧客
(ウ)自社の強み
(エ)遵法

答えはイ。

応用情報技術者平成23年秋期 午前問69

情報システム投資の効果をモニタリングする指標のうち,バランススコアカードの内部ビジネスプロセスの視点に該当する指標はどれか。

(ア)売上高,営業利益率など損益計算書や貸借対照表上の成果に関する指標
(イ)顧客満足度の調査結果や顧客定着率など顧客の囲い込み効果に関する指標
(ウ)人材のビジネススキル, ITリテラシなど組織能力に関する指標
(エ)不良率,納期遵守率など業務処理の信頼性やサービス品質に関する指標

答えはエ。アは「財務」、イは「顧客」、ウは「学習と成果」に該当。
レベルが上がると問題の難度が順当に上がってくるね、という感じ。

  • PDCAサイクル

サーキュラーな問題解決の全体(問題認知・解決案探求・解決策実行・結果吟味)と合致している。
知名度が高くて誤用されまくってる手法。
Plan (問題認知・解決案探求)- Do(解決策実行) - Check(結果吟味) - Action(結果吟味の学習・知識化) の流れで実施し、繰り返すことでブラッシュアップしてこうぜという手順。
Planの時点でCheckはどうするのか考えてねぇとかActionで次ループの改善点を出していくことをしねぇとか繰り返すのが前提のはずなのに1回やって終わってんじゃねぇとかお題目としての利用知名度は高いけど実際にやるのがすごく難しい部類だったりする。なので人によっていろいろ別表現があったりする。

ITパスポート平成30年秋期 問61

PDCAモデルに基づいてISMSを運用している組織において,運用しているサーバのソフトウェアに対する最新の修正プログラムの有無を,定められた運用手順に従って毎日調べる業務は,PDCAのどのフェーズか。

(ア)P(Plan)
(イ)D(Do)
(ウ)C(Check)
(エ)A(Act)

※運用手順に従って実施してるのでイ(Do)。 業務手順書の策定だったらア(Plan)、運用手順書に従って正しくできているかを確認する、だったらウ(Check)、運用手順書の文言をわかりやすいように修正した、だったらエ(Action)に該当する。

他の過去問だと「改善計画を練った」という文言でPlanなのかActionなのか判別しづらくしてきたパターンもある。

ITパスポートレベルでもちゃんとPDCAを理解しているのか聞いてくるので中身の理解と日本語の読み違え対策が必要。

基本情報技術者平成19年秋期 午前問69

ISMSプロセスのPDCAモデルにおいて,PLANで実施するものはどれか。

(ア)運用状況の管理
(イ)改善策の実施
(ウ)実施状況に対するレビュー
(エ)情報資産のリスクアセスメント

※答えはエ。イがAction、ウがCheckなのはすんなり理解できると思われる。管理とリスクアセスメントで行動を実行(Do)しているのはアなので残ったエがPlan、と推測すること自体は可能。

応用情報技術者平成28年秋期 午前問55

JIS Q 20000-1は,サービスマネジメントシステム(SMS)及びサービスのあらゆる場面でPDCA方法論の適用を要求している。SMSの実行(Do)の説明はどれか。

(ア)SMS及びサービスのパフォーマンスを継続的に改善するための処置を実施する。
(イ)SMSを確立し,文書化し,合意する。
(ウ)サービスの設計,移行,提供及び改善のためにSMSを導入し,運用する。
(エ)方針,目的,計画及びサービスの要求事項について,SMS及びサービスを監視,測定及びレビューし,それらの結果を報告する。

※答えはウ。 応用情報レベルになるとPDCAサイクルを回すためにミニPDCAサイクルを回すような行動を要求してくる。ア:継続的な改善、なのでAction。イ:確立、文書化、合意全部Doに見えるけど、全体の計画を練ったという形でPlanに入る。ウ:運用する、の一文からDo分類はしやすい。エ:レビューし、報告からCheckと判断可能。

なお、類似の問題解決全体ループ表現としてOODAループとかあったり。

これは2021/01/06のちゃとらん様の記事(121.OODAループが思ったより流行らない理由 https://el.jibun.atmarkit.co.jp/pythonlove/2021/01/121ooda.html )で紹介されていたりする。まぁ、情報処理技術者試験に出るレベルで基本的な物扱いされていないので吹越からはこれ以上の紹介はしません。

とまぁ情報処理技術者試験でもそれなりのレベルで問題解決手法は要求されるので手札として覚えておくと便利です。

高校情報科の入試とか問題とかで直接聞かれることはあまりないですが、ワークブックとかでちょいちょい聞かれてるのは紹介したいですね。2学期編に入るとプログラミングとか増えてくるので情報科大学入試の過去問とかを紹介できるようになります。

Comment(2)

コメント

ちゃとらん

今回も、判りやすい解説記事、ありがとうございます。


目からうろこが『PDCAサイクル』の章。いきなり、ITパスポートの問題で躓きました。
運用手順に従って毎日「調べる」業務は…で、チェックやろととっさに考えたところ、毎日調べる「業務」なので、(Do)…そりゃそうだ、なんですが、文書をきちっと読む習慣が薄れてきているなと痛感しました。


試験を受ける、受けないに関係なく、きちんとした知識を再確認しておくことは、良いことだなと思いました。

マスター吹越

ちゃとらん様

早速のコメント、ありがとうございます!
読んで理解は、読み落としとかが発生したり、あるいは単語の拾い読みをして誤誘導されてしまうのが怖いところですね。
それを避ける方法のひとつに音読がありますが一々やってられないのもまた事実。
拾い読みをして居るときは「拾い読みしてるから読み違えてるかも?」と自認すると読み落としが減ります。
IPAは国語のテストだ、と揶揄される所以が此処に有りますねw
また問題は掲載していきますのでよろければお楽しみください!

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