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エンジニアライフ勉強会:英語を勉強しますか、しませんか?――内なる葛藤

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 去る22日に開催されたエンジニアライフコラムニストたちによる勉強会第1弾——「エンジニア自身の価値を高めるには?」で 「英語学習のクラウド? 英語を勉強するか、英語を勉強しないか。それが問題だ!」と題して発表させていただきました。

 会場は歌舞伎座タワーのドワンゴ セミナールームで、すばらしい施設でした。公開のIT勉強会などで利用させていただくことができるそうなので、ご興味のある方はコンタクトなさってみてください。

■テーマを提案したヤツ、出てこい!?

 最初のセッションで、「今回の勉強会で『エンジニア自身の価値を高めるには』なんて古くさいテーマを選んだ奴は一体誰なんだ?」と、ご本人曰く「炎上覚悟」の発表がありました。

 内容は至極ごもっともで、「エンジニアの価値と言えば、資格、スキル、職務経験がすぐ思い浮かぶけれども、それだけではだめ。常に自分を磨き続けなければいけない」と、実際にエンジニアの採用にも関わっている立場からの講演でした。

 しかし、会場は一貫して水を打ったような静けさにつつまれていました。連休の中日にわざわざ現地まで足を運んでくださった皆さんなので、いろいろと問題意識はお持ちなのだと思いますが、物静かな方がそろったのでしょうか。

−はい、それは私です(ドキドキ)

 今回のテーマを提案したのは筆者です。もっとも、原案では「エンジニア自身の市場価値を高めるには」というものでした。提案の意図は、ITが属する業界でも、会社・部門・チームでもなく、エンジニア自身の市場価値を高めるにはどうしたらいいのだろうか、ということです。

−どこかにあるブルー・オーシャンって一体……

 このテーマを提案したときに筆者が最初に考えていたのは「ブルー・オーシャン戦略」でした。ブルー・オーシャン戦略をニッチ戦略だと誤解している方も少なくないのですが、正しくは、戦略キャンバスを描いて「競争のない市場を作り出す」というところが肝です。

 ブルー・オーシャン戦略の議論では、かつてWiiが成功例として、プレイステーションやXboxが失敗例として挙げられていました。しかし、現在ではWiiが市場の変化に乗り遅れて沈み、逆にプレイステーションとXboxがコアなユーザーを中心に盛り返している状況で、筆者には隔世の感があります。

■英語に関する内なる葛藤

 さて、冒頭で述べましたように、筆者の発表は「英語学習のクラウド? 英語を勉強するか、英語を勉強しないか。それが問題だ!」と題して行いました。

 「英語学習のクラウド」はクラウドコンピューティングを利用したサービスではなく、英語の学習に関する内なる葛藤をTOC思考プロセスの「クラウド(Evaporating Cloud)」扱った例です。

 とかく英語が求められることが多くなった昨今ですが、必ずしも弁解ではなく、英語を勉強しないことに妥当な理由がある場合もあります。センセーショナルなタイトルでベストセラーになった「日本人の9割に英語はいらない」(成毛真、祥伝社)は、それこそ「炎上覚悟」で書かれたのでしょうが、内容には概ね同感です。英語に限らず、語学の習得には「時間」という最も希少な資源が多く取られます。状況によっては、お金を使って通訳や翻訳者を頼むことが合理的です。

 戦略の要諦は「やらないこと」です。何かをやると決めることはつまり、それ以外はやらないということです。英語を勉強しないと決めることも、立派な戦略です。

 では、英語を勉強するべきなのでしょうか、すべきでないのでしょうか。これには、唯一の正解はありません。各人の問題意識や置かれた状況によります。しかし、内なる葛藤とはいえ「やる」と「やらない」対立のままでは答えが出せません。

■弁証法

 二項対立の議論から止揚(しよう)して解を見いだすのは弁証法です。ただ、そのままでは議論しにくいので、対立する「行動」のもととなっている「要求」を考えます。これはITエンジニアやマーケターにはおなじみのWantとNeedなので、理解しやすいでしょう。クラウドで考えると、下図のようになります。

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−だめなクラウドも……

 できあがったクラウドを見ると簡単に描けるように思いますが、やってみると意外にできないものです。以下は作った例で、読者のみなさんは「そんな間違いはしない」と思われるかもしれませんが、試しにご自分でもやってみていただければと思います。

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−対立の構図は、そこかしこにある

 対立の構図は、個人の内なる葛藤から、前回のコラムで取り上げたスパコン事業仕分けのような国策、そして国家間の摩擦に至るまで、そこかしこにあります。

 会話や文字だけでは、対立の構図が明確にならず、したがって解決に向かいにくい場合がよくあります。クラウドを用いて表現すれば、解決に向けた議論を進めやすいと考えます。

■解決の方向性

 WantとNeedの間にある「暗黙の前提」を書き出し、解決の方向性を探ります。

−和訳は信頼できるか?

 成毛氏は「英語はいらない」理由のひとつとして「邦訳本の翻訳の質が高い」ことを挙げています。しかし、筆者はこの点に関しては、まったく賛成できません。

 細かい点は多少訳が誤っていたり、疑問のある訳であってもいいのですが、骨子に関わる部分で重大な誤りを犯している本が少なくないからです。著者と相談して「専門的すぎる章を省いた」とか「章の順番を変更した」などという本にもお目にかかることがありますが、筆者が見てきた本に関して言えば論外です。

 翻訳の質をおいても、読みたい本が邦訳されるとは限らない、邦訳が出るまでにタイムラグがある、原書がベストセラーであっても日本で売れなければすぐに絶版になってしまう、という事情を考えると、邦訳ものに頼りきるのは心もとない状況です。

 この認識のもと、「英語は必要」という方向で解決策を探ります。なお、「学習」と「勉強」という用語を説明なしで使っていますが、前者は「やり方を問わず、学ぶこと全般」、後者は「学ぶためだけに時間を作って取り組む」という意味合いで用いています。

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−「すきま時間」と「一石二鳥」

 解決の方向性として、今回は2つ挙げました。

  • ガジェットを活用して「すきま時間」で学習
  • 仕事や趣味の中で英語を学んでいく「一石二鳥」

前者は本コラムで取り上げていることなので、これまでの、そしてこれからの記事をご覧いただければと思います。また、5月10日の公開講座「ガジェット活用前に押さえる 『ブートストラップ』英語学習法」で、学習方法全般について説明します。後者は、5月24日の公開講座「一石二鳥のビヨンドすきま時間!英語学習におけるガジェット徹底活用法」で取り上げます。

■TOC思考プロセスを実践する上での課題

 TOC思考プロセスでは各種の図(ダイアグラム)を用います。模造紙と付箋で行うこともできるのですが、書き直しながら作成するのが難しい、保存がしにくい、他人の成果を再利用しづらい等の課題があります。クラウドはTOC思考プロセスの図でもっとも単純な構造ですが、それでもやりにくさはありますので、より複雑な図ではなおさらです。新QC七つ道具の親和図や連関図を作成したり、あるいはKJ法を実践したことがある方は(ITエンジニアには少ない?)、実体験として同様の課題認識をお持ちかと思います。

 このため、TOC思考プロセスを効率的かつ効果的に実践するには、やはりツールが望まれます。

 TOC思考プロセスの概略とソフトウェア、そして実践する上での勘所については、4月12日の公開講座「ツール利用でTOC思考プロセスを楽々実践 問題解決入門」で取り上げます。

−今回の発表資料

 こちらからダウンロードしてください。リンクしていただける場合は、ファイルへ直接リンクするのではなく、「出版/講演」のページにお願いします。

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