株式会社ジーワンシステムの代表取締役。 新しいものを生み出して世の中をあっといわせたい。イノベーションってやつ起こせたらいいな。

未経験をウリにするには

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 これも以前に書いたものの焼き直しです。

 『格差社会は「28の法則」で進む 』の続きのつもりですが、VBの話が続く予定じゃなかったので……。

 SEを1人育てるのに、教育コストは1~2千万掛かると言われていました。大手の計算ですけれど……。自分の会社は、教育システムもないし全くコストが掛かってないから、1千万円なんてとんでもないって思う人もいるでしょう。

 外部のセミナーなどに使ったコストだけでなく、上司や先輩が使った時間、一人前になるまで報酬分稼げてなかった期間の差額を合わせると、会社として稼げるSEに育てるまでには、1人に1千万ぐらいは楽に掛かっていることになります(外部のセミナーを使ったら、費用プラス人件費になりますね)。

 若者が辞めるという3年ぐらいなら、センスのいい人以外は、まだまだ教育期間中の位置づけ(=半人前)ではないかと思います。

 ですから競争の厳しい現在では、企業は教育コストの掛かる未経験者を採用したがりません。

 しかし、未経験者の採用を控えることが続くと、

経験者の価値が上がる → 教育コストを掛けても元が取れる → 未経験者の枠の増加

と遷移していきます。

 つまり、長期的には(この業界は動きが激しいので1、2年で)裁定はされていきます。それでも、若者の就職活動、転職活動の短い期間で、たまたま未経験の枠が少ない時期に卒業したなどの状況を考えると、運不運はありますね。

 いずれにしても資本主義に生きている以上、競争はあるのです。

 未経験の人は、経験者と競争しなければならないのですが、では経験者に勝つにはどうすればいいのでしょう。

 まずは、会社の考え方を知ることです。例えば、サッカーチームを想像してみましょう。

 サッカーチームでは道具やグランドの整備をする裏方も存在します。そのグランドの整備をする人の中には、サッカーのルールを知らない人もいるでしょうし、勝敗に興味ない人も、客入りに興味ない人もいるかもしれません。知らなくてもグランド整備の仕事はできるでしょう。

 しかし、サッカーのルール、チームの方針、観客の気持ち、親会社の目論見などが、知っているか知らないかで仕事の結果は違うでしょうし、必然的に周りの評価も変わるわけです。

 ということをこの業界に当てはめると、自分のコストを知ることは、サッカーのルールを知るぐらい当たり前のことでしょう。ですから、まず自分のコストを知りましょう。そうすれば会社が未経験者の自分を採用するために、何をアピールすればよいか分かるはずです。

 それは何か。評価が固まっている経験者より、未経験だからこその未知数の部分を強調するしかありません。

 例えばわたしは、大学や専門学校でプログラムを習ったという人には、

「どんな課題が出た?それについてどう思ったか?」ということを聞きます。

 「難しかったです」とか「がんばってできました」という答えは、即不合格ですね……。「成績が良かった」というのもプラスにはなりません。

 「この程度が出来たぐらいで、現場で通用するのか不安で……」

ぐらい言って欲しいものです。

 現在、プロとして活躍している人なら分かると思いますが、学校で教えているプログラムの大半は、レベルが低すぎて使い物になりません。会社側は微積分レベルを求めているのに、九九レベルぐらいのイメージでしょうか。話になりません。

 ですから、学校の成績をアピールするということは「学校に着いていければOKと考えている」とみなして自習能力がないと判断します。

 もちろん、これは弊社の様なベンチャーの場合の基準です。大手なら生意気なことを言うと扱いづらいと取られるでしょうから、型に嵌めやすい成績の良いおりこうさんタイプが喜ばれるかも知れません(プログラムなんてまったく触ったことない文系も採りますしね)。

 がしかし、教育コストをかけないがための中途採用ですから、似た基準になってくると思います。

 特に、会社を辞めて社会人向けの専門学校などに行く人は、気をつけた方がいいです。

 学校へ行くことは悪いことではありませんが、学校で習ったモノ以上のモノを作って面接に持っていってアピールするぐらいのことをしないと「九九を習ってきました!」って、自習能力のなさをアピールすることになりかねません。

 「教えてもらわないと出来ない人」と宣言してしまっているわけです。

 SE志望なら、それまでいた会社のシステムについて改善点のレポートを書いていくとかもポイントが高いでしょう(守秘義務には気をつけてね)。わたしなら「採用、今すぐ、営業に行け!」って言うね(笑)

 弊社に入った19歳の人たちは、みんな自分でプログラムを作っていました。わたしは、プログラムの出来云々ではなく自習能力の高さを評価しました。つまり、現時点の能力より「伸びしろ」を評価するわけですね。

 何も与えてないのにプログラムができるようになると言うことは、チャンスを与えたらどれぐらいできるんだろう? と思わせたら採用決定です。もちろん、そうならない会社もありますけどね。

  「オペレータの仕事をしているけれど、センスの良いプログラムを書いている」とか、「下流なのに、上流のことを良く考えている、顧客を見ている」というのも評価が高いですね。

 学校の成績を見て分かることは、教えてもらえばできる。成績が悪いということは教えてもらってもできないことの証明です。会社の実績でもそうです。

 経験者というのは、ある意味評価がはっきりしているので伸びしろはないです。

 つまり、未経験者は評価のはっきりしていないところで、小さな芽を見せることができれば「伸びしろ」が非常に大きく見えますから、経験者より高い評価になることはあり得ます。

 いずれにしても、入ってからは未経験者であっても経験者を追い抜いていかないといけません。経験者も入ってから伸びるのですから、未経験なら経験者の何倍も努力する必要はありますね。

 会社側は「がんばります」と言って入ってきて、「残業が多い」とか言ってすぐに辞めていく、という腹立たしい経験を何度もしていますから「未経験ですけれどがんばります」とか言われても「無駄な面接時間を使ったな」としか思ってないですよ。

 厳しいですけれどホンネです。

■ おまけ

 「下駄を履いて身の丈以上の仕事をするということ

 「ベンチャー系ITベンダ採用担当者(社長)のつぶやき

 この辺につながる話ですが、VB6を使い続けることについて、スキルシートの次の1行にVB6しか入らない。今までもVB6しかないというのは若い技術者は不安でしょう。

 フリーランサーであれば、VB6の専門家として勝負に出ているスキルシートともいえますし、かなりまずいスキルシートの作り方ともいえます。その人の戦略でしょうから、わたしは何とも言えません。

 サラリーマンとしては、会社に属していて(ある程度)守られているのですから、会社の方針に従わざるを得ないでしょう。守られてないとしたら、小さな会社であなた自身の会社に対するウェイトも大きいでしょう。自分の力で「会社を盛り立ててやる」って思わないとね。

 会社に対する貢献度が大きければ、会社はなんとしても守ろうとします。権利と義務は表裏いったいです。

 どうしても.NETがやりたければ、提案力を鍛える訓練に使った方が良い。とにかく会社を説得することです。自分のやりたいことですら会社を納得させることができなければ、顧客を納得させるのは難しいです。

 説得できれば、スキルシートの備考欄にでも、「会社に提案して変えさせました」と書けばいいわけです。次の1行に.NETが2カ月しかなくても、それまでVB6が並んでいるスキルシートなら、逆に高い評価が得られます(小さな芽と伸びしろを見せているわけですね)。

 会社に所属していたら、スキルシートは会社(営業)が書く? のかな。

 VB6と.NETなら、まっとうに評価する会社なら、VB6から簡単に移行できてしまう人と、.NETへの移行はできない人(.NET使っているけどVB6風に使う人)の両方を見ています。

 前者であるなら、VB6の経験しかなくても.NETの案件でも使えるということは知っています。だから、小さな芽を見つけようとします。後者でないことを見抜こうとします。それを見て反応してこないところなら、相手にあなたを評価する能力がないのですから、あなたが入っても幸せにはなれません。

 自分が「.NET使っているけどVB6風に使う人」だったり、自習能力がない人はどうすればいいかというと、残念ながらわたしには答えはない。「技術を磨いてください。自習能力がつくように努力してください」としか言えない。

 今は誰もが耐えるときですけれど、それでも、小さな芽は育てておかないといけませんね。

 大変な時代でわたしも必死で耐えてます。

Comment(3)

コメント

インドリ

ここだけ意義蟻です。

>経験者というのは、ある意味評価がはっきりしているので伸びしろはないです。

私は10年やっていますが、未だに自分には伸びる余地があります。
未だに温故知新様々な学習をしております。
ですから経験者=伸びしろがないと断言されるのは嫌です。
何故ならば、経験者は学習要領が分かっているから伸びる余地があるし、経験を10年や20年情報処理技術を実践したからと言って究められる程甘いものではないからです。
私は自分のスキルを管理して学習していますが、情報処理技術全般全てを一通りするだけで10年かかりました。
少しぐらい経験したからと言って「伸びない」なんて人駄目です。
本当の技術者は生涯伸びるものです。
経験者=伸びしろがないなんて頭から考えず、スキル管理はどのようにしているのかを聞き、将来の学習計画まで聞けば伸びしろは判断できると思います。

インドリさん、ども。

評価がはっきりしているという方が重要で、たとえばVB6だけを10年やり続けてきた人は、VB6はそれ以上伸びないでしょう。

インドリさんのスキルシートは見てないけれど評価ははっきりしていますよ。
新しいこと、凝ったことは任せられるけれど、VB6を使い続ける保守的なところへ入ると軋轢を生んでしまう。

たとえば、インドリさんが飲食店の店員になることは、結果は予測はできますけれど未知数です。インドリさんが飲食店に入ることを望んで、小さな芽を見せられたら採用されると思います。
そういう意味に取ってください。

ちなみに私はものすごく軋轢を生んでしまいますけれど、対決するために社長になったのですから簡単には引きません。

インドリ

生島さん、毎度どうも

>新しいこと、凝ったことは任せられるけれど、VB6を使い続ける保守的なところへ入ると軋轢を生んでしまう。

確かにそうです。実際に何度か軋轢がありました。
私の場合、「新規開発でVB6を!」なんていったら、社長や部長を説得してしまいます。
説得する材料は主にソフトウェアの原価管理です。
重役たちには.NETが云々ではなくて会計的に説得します。
それが原因で怠ける技術者達から
「せっかく気楽に仕事していたのに、社長にいらん知恵つけるな!」
と怒られた事が何度もあります。
でも、隠れて.NETを学習している人達からは
「よくぞ言ってくれた!」
と喜ばれています。
なので、

>ちなみに私はものすごく軋轢を生んでしまいますけれど、対決するために社長になったのですから簡単には引きません。
こう仰る生島さんと私は似ているのかもしれませんね。

これは余談ですが、SQLを拒否しても私は職人として怒ります。
私が作ったシステムは、管理用・アプリ用などのストアドプロシージャを大量に書きます。
もちろん、テーブルの作成などもSQLを手書きで書いて実行です。
SQLを生成するGUI管理ツールなんて殆ど使いません。

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