株式会社ジーワンシステムの代表取締役。 新しいものを生み出して世の中をあっといわせたい。イノベーションってやつ起こせたらいいな。

格差社会は「28の法則」で進む

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 他所で書いたのを再投稿です。

 一般論で、正社員の話です。

 「28の法則」というのはいろんなパターンがありますけれど、顧客の2割が8割の売上を生み出しているとか、商品の2割が8割の売上を創り出しているとかです。

 自分のコストを考えましょう(本当は利益で考えた方が良いのですけれど話が複雑になるので、とりあえず売り上げで書きました)ということを前に書きましたが、会社単位で平均を取れば、完全歩合制の会社でない限り、平均を超える人も、切る人も出てきます。その割合は多くの場合28の法則があてはまるのです。

 つまり、おそらく自分のコストを超えている人は2割です。
 そして、自分のコスト分を稼げていない人が8割です。

 28の法則が当てはまるであろうということは、完全歩合の会社を見ればわかります。完全歩合になれば一部の人は大変な報酬を得ることができますが、大部分の人は報酬が減ります。「完全歩合になった方がいい」と考える人は、2割側にいると感じているわけでフリーランサーに転身(報酬とコストをはき違えて失敗することもあります)することも多いですね。

 しかし、多くのサラリーマンは完全歩合なんて望みません。ということは、8割側にいることを肌で感じているのじゃないか? つまり、28の法則に当てはまっているということです。

 また、愚痴を言っている人のほとんどは稼げない方の8割側にいます。2割側の人は会社に提案・提言・交渉ができますから、会社に愚痴を言う必要がなかったり、言った愚痴がそのまま提案になっていたりします。会社に聞き入れられなかったら辞めてしまうでしょう。

 これらはバランスがよいとは言えませんが、成果どおりに配分すれば格差は広がります。
例えば、一般的にアメリカの多くの会社は成績に応じて報酬を配分していますから大変な格差があります。アメリカでは大企業の経営者の平均年収が14億にもなるそうですが、日本では大企業でも5千万円を超える年収がある方は稀です。

 アメリカの会社や完全歩合の会社と日本の一般的な会社の違いを考えると、日本の多くの会社は2割の人が稼いだものを8割の人に配分しているということを意味しています。

 アメリカや完全歩合制の会社の経営者は「2割側の人をいかに伸ばすか」と考えています。
この方針は短期決戦に向いています。

 雇われる側もそれを望んで、それが正しいと考えているようで、例えば、アメリカ人に「いくら稼いでも平均の1.5倍の給料まで」と日本と似たような配分をしたとすると、他の人の1.5倍も貰っていても「搾取されている」「不当だ!」と訴えてくるでしょう。

 会社も社員も、お互いに短期の利益で判断し、転職したり解雇したりします。そのために日本に比べたら、極めて短期の利益を合理的に配分するようにしています。同時に自己責任は重くなり「会社が教育してくれない」とは言わずに、自分の負担でスキルをつけてステップアップしていくでしょう

 一方で、日本の経営者の考え方は、全体的に考えて8割側の人をいかに伸ばすかと考えています。むしろ、2割が突出し過ぎると出る杭を打つというか、8割を伸ばしにくくなるからあまり喜びません。

 これは終身雇用、つまり、長期決戦に向いています。

 日本で「会社が教育してくれない」とか言うのは8割側の人で、2割側の人がいうことはほとんどありません。ということは、成果より多くの報酬を受けながら、さらに「教育コストをかけてくれ」と要求しているのと同じです。

 アメリカ人的に考えるとダブルでおかしいと思うでしょうね。

 それでも、会社が教育コストをかけてきたのは終身雇用、長期雇用を前提で考えていたからです。

 おそらく、アメリカの報酬の配分はできる人に対して、成果以上にできない人から搾取して払います。大企業とはいえ、平均で14億円の年俸は異常です。

 逆に日本では、できない人に対して、成果以上にできる人から搾取しているわけです。

 それはともかく、世界恐慌に近い状態になってきていますので、会社も生き残りをかけて競争せざるを得ません。そうなると終身雇用を維持しながら、短期の結果を求められる競争に参加することは不可能に近く、成果報酬の方へ移行していくのではないでしょうか。

 終身雇用を維持しながら短期の結果を求められる競争に参加するために、非正規労働者が必要になり、中高年の正社員を解雇できないのと(これは経営者自身の首も絞めますしね)教育コストを抑える必要があるため、若者が就職しにくくなっています。

 短期の結果を強く求められるようになれば、結果的に好むと好まざるに関わらず社員同士でも競争は加速しますから「会社が助けてくれる」という終身雇用を前提としたサラリーマン気質を改める必要があるのでは。「会社が教育してくれない!」と考えるのではなく、どんな仕事でも「業務経験を積む機会」と考え、自分で仕事を考えて常にステップアップを狙っていかないと、会社に頼る受身の感覚ではグローバルな競争に負けてしまうと思います。

 日本人は「みんな」が大好きです。

 大多数側にいることを必要以上に好み、「みんな」はまったく関係ないのに「みんな」と同じでいようとし、同じであると安心してしまいます。しかし、この安心感は全員で泥舟に乗っている危険性でもあるわけです。「みんな」ではなく自分の頭で考えないと、「みんな」で格差の下の方へ行くことになりかねないと思っています。

 ここまでは一般論です。

 とはいえ、弊社は日本の会社なので、どちらにフォーカスしているかというと、やっぱり、8割側を伸ばしたいと考えています。年収14億も欲しいとは思わないし(笑)。

 「28法則」を超えることはできないと最近悟りつつありますけれど(遅っ!)、8割を5割にできないかとひたすら考えているわけです。

 ベンチャーであるなら2割側を伸ばす方法を考えるべきかもしれません。しかし、日本にはなじまないのも事実です。

 社員の能力 = 会社の能力ですから、会社の能力を効率的に伸ばすには、どちらが良いのかと未だに悩んでいます。

 経営者が悩んでいては……。

 もちろん、弊社の様な小さなベンチャーでサラリーマン気質でいたら泥舟どころか……。ということぐらいは、弊社の社員はわかってくれていると信じていますけれど。

Comment(9)

コメント

インドリ

大変興味深い記事です。その通りだと思います。
日本は社会全体が28の法則になっていると思います。
ベンチャーとしては、能力評価をしっかりすると良いと思います。
大企業になればなるほど人数が多すぎて評価できません。
しかしベンチャーならば経営者が賢ければ可能なはずです。
そして、お金以外のものを2側の人にあげて(名誉とか)
報酬としては4:6になるようにしてみればよいのではないかと思います。
お粗末な考えだと思いますが、何かの足しにはなるかもしれないので、
自分の考えるところを書きました。

三年寝太郎

ITエンジニアだと突っ込みを入れにくい話かもしれませんね(笑)

普通の中小企業では人が少ない=技術の幅少ない、が当てはまって、
今のような状況ではつぶしが利かずに困ることも多いものと思います。

中小企業が大企業に太刀打ちするには、
1.極めて高度な技術、または、特定分野で敵が居ない程に先行した技術を持つ。
2.ある分野に特化した人の数を増やす(局所的な規模の拡大)
3.独自のプロセスを構築して効率とスピードを極大化する。

他にもあるかもしれませんが、上記のうち何れかをもっていれば、
売上や社員数の規模は関係なく、生き残っていけるでしょう。

しかし、上記は、景気の良し悪しに関係なく、意識して作り上げないと出来ないものばかりです。
1.は、企業時に既に戦略の基盤として持った上でビジネスを始めているケースもあるでしょう。
しかし、会社存続の危機の中で、死に物狂いで生み出した技術が開花し、世界的なトップシェアを持ってる中小零細企業も少なく無い。
2.3.は基本的に、人を選別する余裕があり、作業ボリュームが確保出来るために経験値を比較的上げやすい大企業に有利な戦術です。
それでも、鍛え上げた少数精鋭で無駄の無いプロセスを構築したり、発想の転換によってそれ以前とはレベルの違うスピードや質でサービスを提供しているところもあります。
要するに、普段から足腰を鍛えておかないと、いざという時に踏ん張れない。
それは社員も会社も同じ。

逆を言えば、28の法則は、社員にも当てはまるが恐らく(中小)企業にも当てはまるでしょう。

資本のある企業からの援助(主に人間関係を中心とした取引)で生き残っている企業が8割。
実力とサービスを顧客から認められて自立してる企業が2割。
例えが極端かもしれませんが、そういうことなのかも。
もしかしたら、大企業も、或いは国ですらそうかもしれません。

今、苦しいのは間違いなく8割の方でしょう。そして、これから1,2年はさらに苦しくなるはず。

私も人事のように言ってる場合ではありませんけど。。。

なお、当然のことですが、多数決になると、2割は圧倒的に不利。
つまり、効率が良い、本物のサービスを持つ、高い技術力を持つ、といった優良な特性を持つ側より、その逆の側が数で圧倒する。
バラマキが効果が薄いのは当然効率の悪い人たちの手に多く渡るからで、その辺は、民主主義の上に構築された資本主義の限界?なのでしょうかね。

インドリさん、おはようございます。

働きアリも8割はサボるとか。
28の法則は日本だけでなく自然界の法則ですからね。

2割側の人は見たら誰でもわかりますから、大企業は評価できないのではなく、突出した待遇にさせない制度になっているだけです。

8割側にフォーカスしているから、全体的に力がつき、それが日本の高度成長時代を支えたと思います。しかし、これからは2割側にフォーカスする会社が増えてくるでしょう。

そうすると、教育などはどんどん減り、今よりも未経験者にチャンスはなくなると思います。

三年寝太郎さん、おはようございます。

まったくおっしゃるとおりで、多数決で負けるのが本当に腹が立つのですよね~。

特に「技術者が多数決を持ち出してどうするんじゃ~~!!」って怒り狂うこともありますな。

技術者の癖に前例主義だったり、多数決を持ち出す奴は、技術者を名乗るなと言いたい。

インドリ

多数決といえば、社長本人がITを知らないものだから、サボりたいばかりの怠惰な社員大勢に言いくるめられて、会社の利益を考える人のクビを切る人が何人も居ました。
多数決は危険ですよね。
この記事に書いてある通りで、日本人は流されやすいから社長本人がしっかりし、
社員側も目先の利益だけを考えたり、「みんながやっているから」ではなくて、
理性的に行動して欲しいです。

クビを切るかな~。
それはともかく。

最先端だけが良いわけではないです。
ソバ屋は、そば粉を石臼で作るところからこだわるところも、立ち食いソバ屋もソバ屋でしょう。画期的で流行っている立ち食いソバ屋もあるし、1年先の予約も取れないこだわりのソバ屋もありますが、どちらが正しいかなんていえませんからね。

ただ、大手のようにCobolから仕方なく流されて、オープン、Webとやっているというのが問題であって、会社も考え方がいろいろで、敢えてCobolを選び続けるのも、VB6を使い続けるのも、ひとつのベンチャーだと思います。

弊社もCobolを選び続けている会社とも、VB6を使い続けている会社とも付き合いがありますよ。
ポリシーがあればそれでOKじゃないですか。

つまり、方針を決めるのは技術だけじゃないから、多数決であっても、ちゃんと考えたか、流されたかによって評価は違うけれど……。

本当に流されるだけのタイプがどうやって社長にまでなったのか興味がありますね~。
ってか、なれないでしょそんな人は。

しかし、社長が本当に流されただけか、考えて決断したかは、下っ端にはたぶん分からないです。(外からの見た目は同じ)

一般的に、ほかの業界の2代目は流される人が結構多いし、大手はサラリーマン社長だから流されて決めちゃったってのはありえます。しかし、この業界の中小ならほとんどオーナー創業者ですから、それなりに考え抜いた結果だと思う。

考え抜いたって失敗はしますよ。
外的要因でも内的要因でも。
だから、方針が合わないと思えば辞めたらいいだけで、オーナー創業者の考えにケチをつけても始まらないと思います。

インドリ

流されたと私が言っているのは、社長本人がITを全く知らず、「みんなが言っているから正しいのに違いがない」と考えた社長が居た事です。
本人は考えているつもりでしょうが、もともとITを知らないので考えた事にならないのです。
そんないい加減な社長も沢山居ます。
これらの人は大概、親が金持ちだからITをしたくてお金を親に出してもらった人です。
苦労を知らないボンボンです。
とはいえ、それ以上にいい加減な社員も見ていますが・・・
日本人って兎に角、みんなが言っているからが多いですよね。

GAN

日本が戦後60年ほどでゼロからここまで経済成長できたのは…?
そして、成果主義を採っていた会社が返上しているのは…?

日本人は、JapaneseStandard(JS)を採るべきでしたね。
あの時は、みんながGlobalStandard(GS)を謳っていましたね。
また、そのようにしないと株価が上がらないという状態でした。
みんなで泥舟に乗ったのですから、今があると思いますよ。。。

ちなみに、年功序列がJSの代名詞のように言われていますが、JSはそれだけではないですからね。。。
GSを採っている、ある自動車会社では、定年まで技術員が働くことはありません。
50歳定年が現状です。
2年毎の成果向上がなければ、退職です。。。
そんな状況で、誰が会社にとって利となるが自分の利とならないことをします?
自分の利となることは必死アピールしますけど、会社に技術を残したり、ルールやノウハウを提供します?
提供したとたんに自分の存在価値がなくなるのですから…。
最悪の場合は、自分の不利益になる時は、平気で問題を隠す、ウソを報告するなどが横行します。
三菱などは典型的な例と言えるでしょう。。。

JSの良さを知らない人がGSの良さを理解することはできないのです。。。
ある大手の石油メーカーは、JSを貫くと言われていたし、今までのJSを貫くわけではないとも言ってました。
また、T自動車会社はTOYOTA_Standard(TS)ですから…。と。。。
本当に強い会社は、そういうものです。。。
JSだぁGSだぁ言ってる間は、それ以上にはなれないということです。
二・八の法則でいう8割の中にいるのと同じで、自分がその8割にいることすら気付かない。。。
8割の中にいる人は、そういうものです。。。

GANさん、こんばんは。

私はJSは最高だと思いますよ。世界に誇る文化です。
ただ、変化は必要です。

経営者の平均が14億円は異常です。しかし、JSにおいても、実態としての能力は倍以上の差があるのですから、JSの社員の給与の差が同年齢で小さすぎる。

それを阻んでいるJSは悪弊だと思います。

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