ジャヴァスクリプター #2「バッドデイ・ライク・ア・エクセル・ホーガンシ」
あらすじ:時はウシミツ・アワー。トヨス・スゴイタカイビルの最上階では、カチグミ・エンジニアとマケグミ・プログラマによる、サイバー日本のカクサ・ストラクチャを象徴する光景が繰り広げられていた。使役するプロパー・シャイン、虐げられるプログラマ。そこに突如現れたのは、謎のシノビー装束に身を包んだ男――そう、ジャヴァスクリプターだった! 全都道府県を震撼させる、サイバーパンクエスイー活劇!!
【JAVASCRIPTER】
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「アイエエエエエ!! エスイー!? エスイーナンデ!?」突如現れたエスイーに、凡庸なプログラマたちは恐怖のあまり、しめやかにオモラシした。喧騒の中、周囲にはニヤニヤ・チューブで放映中の超人気アイドルユニット、ヌクヌクカワイイの非人道的ハウス・キャットヴォイスが場違いに響く。
一瞬にして、辺りは地獄めいたアトモスフィアを擁した。そんな中でもミシマは冷静に、ただ薄氷めいた微笑みを浮かべ、オージェテェで叩きこまれたサホーに基づいた、腰を直角に折った流麗なオジギを返した。
アイサツ。メイジ・レボリューションから数十世紀が経過した今なお、この極東テクノ国家では「儀礼」「忠節」が何よりも重視される。それはエリート中のエリート・サラリマンと、どこぞの馬の骨とも知らぬ覆面エスイーの間であっても、例外ではない。
「ドーモ、ジャヴァスクリプター=サン。ミシマです」「エスイー、死すべし」「何!?」
「ザッケンナコラー!」トリマキのヤクザテスターがピング・ガンをジャヴァスクリプターに突きつけた。ICMPパケットをTTL128カウントで発射するピング・ガンは、厚さ20ミリの均質圧延鋼装甲を容易に貫通する程度の威力を誇る。
しかし、その引き金が引かれるよりも疾く、ジャヴァスクリプターの片手が一閃した。「イヤーッ!!」「グワーッ!!」カテゴリ6、鋼鉄製ツイストペアケーブルはコニャクを切るより容易く、ヤクザテスターの片手を削ぎ落す!
ミシマが叫ぶ。「ジャヴァスクリプター、貴様ナニモノ!?」「貴様をメイフマドーに落としこむ者! オカクゴ! イヤーッ!!」ジャヴァスクリプターのシヨーソ投擲!! しかし命中寸前、シヨーソは闇に吸い込まれるように消える!「ナニヤツ!!」叫ぶジャヴァスクリプター!!
「ミシマ=サン。ここはワタクシめにお任せを」漆黒の闇からアブリダシめいて現れたのは、ダーク・カラクサ・モンヨウの高級アオヤマ・スーツに身を包んだエスイーであった。対峙する2人のエスイーに、辺り一面、のっぴきならぬ空気で満ちる!!
「ドーモ、はじめまして。ジャヴァスクリプターです」先手を打ちオジギしたのはジャヴァスクリプターだ。「ジャヴァスクリプターだと!? 貴様が!?」エスイーは大きく目を見開き、そしてオジギを返した。「ドーモ、ジャヴァスクリプター=サン。タカダです」
「貴様の名は聞いている……だがその歴伝、ここで終いにしてくれる!」「エスイー死すべし!」「ぬかせ!」タカダが仕掛けた! その右腕にあるのは伝説的アーティファクト、アイイー・シックス!! 幾霜星の間、大量のプログラマやデザイナを闇に葬り続けた、暗黒の魔ブラーザである! 「イヤーッ!!」
ゴウランガ!! タブのない、実際奥ゆかしいソリッドなGUIが、一直線にジャヴァスクリプターへと向けられる!! 疾い! さらに子ウィンドウが大量に開いては閉じ、開いては閉じしながらジャヴァスクリプターをオールレンジ包囲!! アンタイW3C的インタフェイスだ!
しかしジャヴァスクリプターはこれを拡張エクステンソンによるユーザスクリプトで回避!! なんたるエスイー反射!! 「イヤーッ!!」ジャヴァスクリプターは瞬時にhiddenフォームの1つを掴むと、リクエストパラメタにインジェクソン文字列を叩きこむ! それはアジャールワザの1つ、クロスサイトスクリプチンに相違なし!!
サニタイジン不十分なイントラアプリへ大量ダーティデータが流れこむ! 「グワーッ!!」 タカダのブラーザは即死! OSも即死! サーバも過負荷により即死! この間わずかコンマ2秒!! そのサムワンシフト・タイピングのワザマエはスゴイ級を超えヤバイ級、いやテンサイ級だ!! タツジン!!
「馬鹿な!」プロセス爆発により両腕を潰されたタカダがうめく!「貴様らエスイーは全てデスマへ送り込む」「反逆者め、死ぬのは貴様だ!」「エスイー死すべし」ジャヴァスクリプターは冷酷に、タカダのコマンドプロンプトを叩く!
「イヤーッ!!」「アバーッ!!」タカダの全身からメモリリーク光がほとばしる。「アバッ……だが私はまだ2年目……より強力なエスイー戦士が……そしてダークプロマネ=サンが、貴様の稼働をなくしてくれる……」「私は貴様らの稼働を滅する」ジャヴァスクリプターは冷酷にメインシステムプロセスを捻り潰す!「イヤーッ!」「アバーッ!」
タカダはブルースクリーンを表示し、惨たらしく倒れた。ジャヴァスクリプターはそれを無感情に一瞥すると、改めてミシマへと向き合う。CRTディスプレイから漏れる光が、シッコロに刻まれた「邪破」「巣食」の等幅ミンチョウ・フォントを禍々しく照らし上げる。「ミシマ=サン。今日こそ貴様の納期デーだ」
「なんのことかね、ジャヴァスクリプター=サン」不敵に笑うミシマ。そして背後から近づくジェット推進音!! ジャヴァスクリプターはエスイー第六感に従い跳躍! ジャヴァスクリプターのいた場所を薙ぎ払うようにジタクタイキ・ロケット弾頭が次々に着弾する!! CABOOOOOOM!!
ナムサン! 人月神話により予言された最終戦争、ジゴクアズめいた開発室の中、ジャヴァスクリプターの熱線反応を追い、ヒョットコ垂直離着陸攻撃機によるアンタイエスイー40ミリ機関砲の火線が伸びる! 「イヤーッ! イヤーッ! イヤーッ!」 ジャヴァスクリプターは壁を蹴り、空中回転しながらシヨーソを投擲! 投擲! 投擲!!
キュン! キュキュン!! 何十枚、何百枚ものエクセル・ホーガンシ・シヨーソが火花を散らす!! やがて幾枚かがゾウマークタイガー社製ジェットエンジンを貫き、推力80%を失ったヒョットコ攻撃機は、エンジンから炎を噴き上げ、風車めいて回転! 安定を失いそのままトヨス・スゴイタカイビルへと突き刺さる! 爆発四散!!
「やりおるわ! ジャヴァスクリプター!!」ジャヴァスクリプターは声方向を指差し確認! 「フハ! フハ! フハーハッハッハ!!」高らかな笑いを上げながらミコシ・ステルスヘリコプターに飛び乗るミシマ! その俊敏なる動き、奴もまたエスイーであること相違なし! 「待てい! イヤーッ!!」ジャヴァスクリプターの投擲したシヨーソが、ミシマを捉えた!!
だが、そのシヨーソを迎え撃つのもまたシヨーソ! 甲高い音とともに、弾かれたシヨーソがフリーアクセス・バンブータタミに突き刺さる!!「ナニヤツ!!」 ミコシ・ステルスヘリコプターから無音跳躍したエスイーは、着地と同時に優美なオジギをした。「ドーモ、ジャヴァスクリプター=サン。我こそシテンノの1人。守護アニマル、グレート・ヤドカリの名を冠せし者。クラウドアーキテクトです」
ジャヴァスクリプターも直角に腰を折ってオジギする。「ドーモ、クラウドアーキテクト=サン。ジャヴァスクリプターです」 今までの相手とは格が違う……彼はエスイー判断力でそう直感した。「だが我が道を阻むもの、すべて相滅せん!」 ジャヴァスクリプターは跳躍!! クラウドアーキテクトも跳躍!! 2つのエスイーシルエットが交錯する!! 「イヤーッ!!」「イヤーッ!!」
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参考文献:ニンジャスレイヤー