人間ドックのキュー管理 -効率化は必ずしも人を幸せにしない!
昨日、人間ドックに行ってきました。
人間ドックとは人面犬ではない
人間ドックに行ってきました。若い人は行ったことがないでしょうから、一応説明しておきます。人間ドックは、犬人間とか人面犬のことではありません。
人間ドックは、レントゲンや血液検査や心電図測定など、会社や学校で行う健康診断にメニューを少し増やした検査を行うところです。私がよく行く人間ドックは、病院のような感じではなく、ゆったりとリラックスできるサロンのようなところです。廊下および待合室に椅子が並んでいて健診用の服に着替えたオジサンたちが座っています。この日はそこの人間ドックでは男性受診者専用の日となっており、混んでいました。午前中の受診者は100名くらいでしょうか。
検査項目の順番が決まっていて、順番が来ると呼ばれます。
「25番の筒香さーん」
白衣を着たナース(と呼んでおきます)に呼ばれたオジサンは、例えば視力検査の検査室に入って検査を受けます。検査が終わると
「次は心電図なのでこの先の左の観葉植物の前で待っていてください」
と、次の検査の部屋を教えてくれます。
処理順序の変更
私が観葉植物の前の椅子に座って待っていると、
「61番のあべっかんさーん」
と呼ばれました。心電図検査かと思ったら、
「心電図はこんでいるので、聴力検査を先にしましょう。右手の廊下で待っていてください」
と、順番を変更されました。
それではいったい、どういう仕組みになっているのでしょうか?、私はきれいなナースに尋ねてみました。そんなことを聞くのはきっと私だけでしょうね。
受診者ごとにカルテがありますが、検査が終わるとその担当者あるいは廊下を巡回しているナースが次の検査の部屋まで行き、部前の壁に貼ってあるホルダーにカルテを入れます。
ところがすでにその検査待ちのホルダーがたくさんあるときには、別の空いている検査に割り当て直すのです。ReAsignするのです。この再割り当てによって、受診者が多くても処理をこなすことができるのです。そのシステムの善し悪しはナースたちの連携やスキルにかかっています。そのためにナースはたくさんいます。
人間ドックの流れをIT化してみると
カルテは紙でできています。もしこれを電子化したらどうでしょうか?
1つの検査室で検査が終わって結果を入力したらそのオジサンは次の検査室にキューとなって並びます。実行待ちのキューがたくさんある場合は、即座に実行待ちキューが少ない検査の処理にキューを振りなおします。ナースが空いている検査室を探す必要はありません。
オジサンたちには腕時計型の受信端末を持ってもらって「次ハ、心電図ノ検査室ニ行ッテクダサイ」とメッセージを出して心電図の部屋をMap上で示せばナースがオジサンたちを案内する必要はありません。コンピュータでどの検査室もヒマになることが無いように分配するので全体の効率は最適化されます。
「このように電子化することで、ナースの数も減らすことができ、稼働率に応じて検査室の数を調整すれば全体も効率化されます」
IT化することはいいことか?
でも、もしそんなそうなったら私はその人間ドックには行かないでしょうね。私が会社の健康診断を受けるかわりに人間ドックにわざわざ行くのは、より詳しく診断してほしいという理由の他に、リラックスできるちょっと高級感のある環境で検査を受けたいという気持ちがあります。ナース服フェチの私としては(!)、ナースに案内してもらうことがささやかな楽しみでもあります。それがIT化されてしまって、受診端末やロボットに案内されるようになってしまっては、行く価値は半減してしまいます。ナース服フェチでなくても、そう思うのではないでしょうか。
また、IT化で効率化することによって、経営者にとっては最小コストで最大の受信者を処理することができて嬉しいでしょう。でも検査をする担当者は効率化によって忙しくなります。常にCPU稼働率100%になってしまって休む暇はありません。検査担当者にとっては、稼働率が70%とかで暇な時間もあるほうが嬉しいのです。稼働率100%の忙しさが毎日続くと、従業員は辞めていってしまうかもしれません。
顧客にとっても従業員にとっても、IT化によって効率化することは必ずしも幸せになれることではない。そう感じた人間ドックでした。
「61番、あべっかんさーん。胃のレントゲン検査です」
あっ、バリウムを飲むヤツだ。あれ、嫌なんだよなあ。
あべっかんでした。
おまけ
昨日のキャリアコンサルタント高橋さんのコラムで、私の書籍を紹介していただきました。ありがとうございます。
「週末パパ講座で子どもに自分で考える力を着けさせる3つの方法」は、もうすぐセール期間が終わってしまいます。今のうちに読んでみてくださいね!
コメント
なな
>ナースに案内してもらうことがささやかな楽しみ
あー、わかる。
私もナースとコミニュケーション取りたくて2,3ヶ月おきに献血行ってます
オートメーション化が進んだら足が遠のくかも
abekkan
>ななさん
やはりそうですよね。でも2,3ヶ月おきに行くとは なかなか好きですね!(^^)
ksiroi
バリウムイヤ バリウムイヤ バリウムイヤ バリウムイヤ TvT
abekkan
>ksiroi さん
バリウムが怖くてナースに会えるかっ!(笑)