「ガンバリマスロボ」になるな!
「ハイッ!ガンバリマスネッ!!」
くれあさんのコラムでガンバリマスロボというのが出てきた。そのワードが引っ掛かったので、私もガンバリマスロボの話を書いてみる。新入社員の話ではないけれど。
■ガンバリマスロボはユーザのためになるのか?
私が昔、通信事業社の子会社で働いていたころ、2つのSIer(即答社と慎重社とする)に仕事を出していた。システムの変更を依頼すると、即答社は「はい、頑張ります!」と即答。ところが慎重社は「持ち帰って検討します」や「先に変更依頼書を出してください」と冷たい回答だ。「即答社はすぐに動いてくれるけど慎重社は動きが鈍くて困る」、と同僚からも不満の声が出ていた。即答社の方がいい会社だ、と私は思っていた。
その後私はSIer のA社に転職した。するとA社のやり方は慎重社と同じだった。私はユーザからの要求に安易に応えてしまって「軽率だ」と上司に怒られたこともあった。
何も考えずにユーザの言いなりになってしまうとかえってユーザのためにならないこともある。ユーザはシステム開発のプロではない。コストやリスクを考えずに発言する。「こういう機能があるといいな」と思い付きで言ったことが納期遅延の原因となることも多いし自分が提示した仕様と矛盾していることだってある。安易にユーザの言いなりになって「頑張ります」と答えていけない。もちろん即断できることもあるけれど。開発のプロとしての見解を答えないと。
■スケジュール遅延は印象が悪い
私の下に軽井君と重井君(仮名)という部下がいた。「この仕事、1週間でやってくれないかなあ」と聞くと、軽井君は「頑張ります」と即答。一方重井君は「3週間かかります」と慎重な回答だ。この時点では軽井君の方が好印象だ。でも、1週間たつと軽井君はまだできていない。一方重井君は2週間足らずで仕上げてきた。そうなると重井君の方が印象が良くなる。安請け合いしてやっぱりできませんでした、よりも慎重にリスクを見積もっておいてから早めに仕上げる方があとあとの印象は良くなる。
もっとも、慎重な見積もりをした時点で却下されてしまうことも多いけれど。
■喜んで断ろう!
ユーザから無茶ぶりされたとき、ガンバリマスロボになってしまうのは良くない。かと言って慎重社のように冷たい態度では印象が悪くなる。慎重に答えるときでも相手に感謝する気持ちを忘れてはいけない。にっこり笑って「より良いものにするために持ち帰ってじっくり検討させてください」と答えた方がいいだろう。あるいは断るときでも「ありがとうございます。せっかくのお話しですが、弊社は現在大きな案件を抱えていて残念ながら貴意のスケジュールに添えません。いいシステムが作れることを陰ながらお祈り申し上げます」
あれ、なんだか就活のお祈りメールみたいになってしまったゾ(笑)。
あべっかんでした。
※おかげさまで、先日紹介させていただいた「イクメンから教育パパにキャリアアップする方法」は好調です。ありがとうございます(^^)。
コメント
h
単純に疑問なのですが、「頑張ります」と発言する行為が対社外と対社内でごっちゃにしていい話なのでしょうか?
というか「頑張ります」=「安請け合い」ってちょっと飛躍しすぎてないでしょうか。
部下の例がありますが、「頑張ります」を無理やり悪者にしているように思えます。
前者が「はいわかりました」と言って期限超え
後者が「3週間かかります、でもできるだけ早く終わるよう頑張ります」
って言ったらabekkanさんの中の評価はどうなるのでしょうか?
(元文の例やこの例では部下の評価はどっちもどっち、というより能力を把握してない上司が悪いとは思いますが)
abekkan
>hさん
早速のコメントをありがとうございます。私が使った「頑張ります」という言葉には、できないかもしれないけど努力します、と自信もないのに約束してしまう、という悪い意味で使いました。
また、社内でも上司と部下の関係によって「頑張ります」が通じるときと通じないときがありますね。説明不足で分かりにくかったですね。
みねるば
私は、新入社員が入ってくると
・与えられた仕事がどのくらいの期間でできるか、意識して見積もり精度を上げていくこと
・遅れそうな場合は、わかった時点ですぐ相談すること
・順調でも7割出来た段階で一度相談すること
をまず教えています。
作業時間の見積もりが甘いのはどちらの部下も同じですが、
軽井君については、遅延に対してアラートを上げないことを問題視したいです。
4日目くらいにアラート上げてくれていれば対策も打てるのに。。
abekkan
>みねるばさん
コメントありがとうございます。
軽井君と重井君については、次からは私も性格を理解したので、指導もしながらうまくやっていきました。最初のうちはそううまく行かなくても私の想定内でした。
そしておっしゃるとおり、遅延のアラートは重要ですね!
非現実性AR
微妙にここのテーマとは外れますが。
よく「遅れそうなら言え!!」と耳にしますが、これ新人君にゃあ無理な要求じゃないかと思ったり思わなかったり。
新人君が詰まるのは大抵わからないからですが、一口にわからないと言っても取っ掛かりすらなくバンザイなのと、調べ方が明後日で突破できないのでは中身が違う。
後者の場合「到達できれば取り戻せる」と本人思い込んでるので、アラート上げるとかアタマからすっ飛んでそれだけに必死になるわけですよ。
ついでに言うとアラート上げたら上げたで「じゃあ何時までかかるんだ」と難詰されるのがオチやないですか?
そんなんわかるなら今苦労してませんって。それが答えられるってことは既にゴールが見えているんだから。
こんなようなループで育つと「アラート上げろったってそんなん無理不可能。できるわけ無い無茶振りだ」という認識になって、どれだけ口を酸っぱくしても聞き流されて繰り返すことになりかねません。
だから「遅れたら言え」ではなく、「詰まったら言え」がより良い指示ではないかと思います。
あとは「見切り期限」を提示するとか。ここまでに方針立たないようなら言え、みたいな。
といいますか、個人的にはF1を練習走行なしにいきなり本戦走らせるようなやり方するこの業界なんとかならんのかと思いますが。
まあどうにもならんのでしょうな。アジャイルだのDevなんたらだのぶちあげても、ケツが決まってんじゃあ根本的解決にならんもの。
abekkan
>非現実性AR さん
コメントありがとうございます。
できてからでないといつできるかは分からない。新人なら当然でしょうね。
煮詰まってないかを見ておかないといけませんね。
分からない度合が、経験でだんだんと小さくなってくると戦力に計算できるようになる。でもその前にいなくなってしまうこともあるので困りますが。