いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

IT至上主義を他人に押しつけるな → なんかすまんかった。

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IT技術でぶん殴ってました

手塚さんの書いたコラムを読んで、あやまっとかなきゃやらないような気分になった。私自身、どちらかというとITでぶん殴る人なようだ。パソコンが苦手な人と会話をしたとき、「私たちはあなたのように何でもできる訳じゃないんだ」と指摘を受けたこともある。自分のスキルと相手のスキルの差を認識できていないことも多々あるようだ。

ITは使いこなすと便利だ。知らない人からすれば魔法のように見えてしまうこともあるかもしれない。こと、仕事で魔術みたいなものを見せつければ、優位性を保つのは簡単だ。ただ実際は優位性を見せつけると、相手がついてこれなくなって怒る。スキルが高いのは素晴らしいが、それを鼻にかけると腹が立つのはよく分る。

ITに限らず優位性を振り回すと煙たがられる。私もコラムを書いていて、クソコメには優位性を最大限利用して反撃をしている。反撃を受けた立場としてはかなり腹立たしいだろう。自分が完璧に論破したと思ったコメントを覆されて、醜態を公表されるのだ。それは心穏やかではないだろ。ただ、私はクソコメを付けて喜んでいるような人と関わりたくないので、あえてそうさせて頂いております。

私に限らずIT技術で人をぶん殴る時も同じ理屈だ。相手には技術は無い。「分らないのは勉強不足」とか「言われるのが嫌なら勉強しろ」と、いくらでも論破できる。言われた相手はできていないのだから、反論できる余地が無い。この状況に任せて好き放題言うのは、力に任せて相手に圧力をかけているのと大差が無い。それが分るので、なんとなく謝りたくなってしまった。

(クソコメには容赦なく反撃します。事前告知しているので、クソコメつけたければ覚悟の上でやってください。文句は言わせません。)

力を持つものの責任

力を持つということは、力に対して必ず責任が生じる。例えば、腕っぷしの強い人が力に任せて暴力で人を屈服させたらどうだろう。現代社会では暴力と判断されて罰せられる。力を持つ人はその使い方に責任を持たなければならない。力があるからといって好き放題やると、人にも迷惑がかかるし、最終的には自分にそのツケが回ってくる。

これは才能で得た力であれ、努力して手に入れた力であれ同じだ。どんな力であれ、それを使って嫌なことをされると誰でも怒る。自分が努力したから好きに力を振り回して良い理由にはならない。これは、「自分が苦労したのだから、相手も苦労すべきだ」とか「自分が苦労したのだから優遇されるべきだ」と誤解をされやすい。

IT技術にしても、自分で頑張って便利だった。しかも、効率が上がって凄く得をしたとなると、IT至上主義になるのもよく分る。だが実際は、IT「私情」主義になることが多い。自分がこうだった、自分がこうしたから良かった等、話が自分を中心に回りだす。享受した利益が大きいほど、自分の能力が高い、自分が優れていると思い込むようになってしまう。

そもそも、IT技術というの多くの人が積み重ねで成り立っている。どんなに活用したとしても、その積み重ねた人の一人に過ぎない。自分がどう思おうと借物の力でしかないのだ。本来なら、自分の慢心を満たす道具に使うべきではないのだろう。分らない人をサポートしたり、あわよくば自分もIT技術を支える一人になるのがベストなのかもしれない。

IT抜きで挑んでみる

もし自分がIT至上主義だと思ったら、IT抜きでどれだけの事をこなせるか試してみるといい。自分がどこからどこまでをITに依存しているのか認識してみよう。自身の能力が無ければITを活用しようにも活用できない。逆に、自身の能力が高ければ、ITが無くてもある程度の結果はだせる。仕事ではさすがにきついので、私生活の作業等で確認してみよう。

IT至上主義だからといって、ITに長けているとも限らない。単にITが好きな人ということもある。自分はITに長けていると言いつつ、Excel方眼紙を書いているような人がこれに当たる。低いレベルの活用方法が定着するとこうなりやすい。IT至上主義だろうと、実際の能力が高いかどうかは人による。また、ITが好きなのと使いこなしているのは別だ。

元の能力の高い人は、IT技術が無くても業務をこなせる。建設現場の親方なんて正にそれだ。彼らはIT技術を使わなくても、きちんと部下をマネージメントできている。ITを駆使してもプロジェクトを破綻させるようなマネージャは是非彼らから学ぶべきかと思う。目的を達成できるかどうかは、単なるIT技術だけで決定されるものではない。

自分もIT技術にはそれなりに長けているが、自分のベースになる能力はどれほどのものだろうか。ITに精通しているという理由で、自分のベースになる能力を底上げしてはいないだろうか。振り返ってみると水増ししていた感がある。自分ではそのつもりはないが、客観的にはIT至上主義に見えてしまうような振る舞いも多々心当たりがある。

考え方次第で見えるものは変わる

人間にはは自分が優位に立つと高慢に振る舞ってしまう傾向がある。ITに限らず、会社で高い地位に就いても、他人に自分の権威を押しつけてしまう。これが行き過ぎると、パワハラを平気でやってのけたり、人に無茶な注文を押しつけてしまうことになる。自分が優位になった時の行動はしっかりと注意しておきたいものだ。

最近、自分がIT至上主義な傾向があると思ったので、IT以外の要素をいろいろと取り込んでみている。例えば、紙のメモ帳を活用したりしている。使ってみると意外な発見がある。スマホやPCよりも素早く取り出せて、しかもフレキシブルに記入ができる。「ITの方が紙より優れている」と思い込んでいると気づけない便利さがあったりする。

考え方次第で同じ事をやっても気づける事柄が違ってくる。人が何をどう思うかというのは非常に大切なことだと思う。ITを嫌う人だと、どんなにPCを軽やかに操作しているところを見せても、「覚えるのに大変だ」とか「そこまでしなくても事足りる」と否定的な意見しか出てこない。理屈よりも最初に持っているイメージの方が判断に及ぼす影響は大きい。

人それぞれ考え方はある。まず、それを理解するように努めてみようと思う。結局のところ、自分がどうこうでは人は共感しない。主張すればするほど押しつけになってしまう。IT云々ではなく、私自身が押しつけがましく目に映るのだろう。私も「IT至上主義」っぽいことを言われたことがある。しかし本当は、ITは関係がなく私が押しつけがましい性格だと言いたかったのかもしれない。

・・・・まぁ、なんかすまんかった。反省しておこうと思う。

Comment(1)

コメント

山無駄

自分自身、「IT至上主義」ではないつもりだけど「問題解決至上主義」であるような気がして
来ました。IT業界の職業病なのでしょうか。だから、人と話していて何が問題なのかわからな
いときはついついイライラしてしまいます。エライ人も参加する会議なのでそのような状況に
なってしまうと落書きを始めるくらいで済むのですが、部下や後輩の前だと「問題はなに?」
「目的は何?何がしたいと?」と、ついつい詰め寄ってしまいます。
世の中にはきっと、問題解決が目的ではない会議もあるし、解決しなくてもよい問題もあるよ
ね、きっと。便乗して謝ります。


・・・ごめんなさい。反省します。

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