スキルアップのための人間関係
ITのプロジェクトは失敗するのが前提だ
ITの仕事をやっていて思う。決定的な失敗を繰り返しているのに、よく給料もらえているなぁと。全部が全部という訳ではないが、会社の言うことを聞いて、まともに成功する気がしない。まともに策を考えるセンスが決定的に欠けている。例えるなら、
こうすれば → ああなって → こうなる。
だた、そういう「やり方」だけがあって、それをなぞれば上手くいくと思い込んでいるからだ。
そういう道筋どおりやって上手くいくのは大学生までだ。現実は例外に満ち溢れている。やたら道筋を引きたがるのは、そういう現実を受け入れる強さがないからか?なんて本気で勘ぐってしまう。今になって思うが、真面目に学問に取り組んでいた人ほど苦労しているように思う。周りに合わせて、適当にやっている人の方が順風満帆な人生を送っている。真面目な人から見ると、非常に理不尽な現実だと思う。
そんな適当な人が主導権を握っているので、世の中自体がちゃらんぽらんだ。M銀行のシステムが崩壊寸前なのは有名だが、他のところも似たり寄ったりだ。会社名は具体的に挙げられないが、関わってきたほぼ九割のシステムが何等かの重大な欠陥を抱えたままで運用されていた。起きるべくしてトラブルは起きている。真面目な人にしてみれば、災難意外の何ものでもない。
理不尽が一周回って、一つの条理を紡ぎだしたようにも思う。不真面目な人のやり方が常識になるので、それ通りやって成功しない。ただそれだけだ。不真面目な人が多い分、世の中の炎上プロジェクトが増える。そういう、幼稚園生でもわかる簡単な理屈しかそこにはない。このまま歪が大きくなれば、変化を余儀なくされる時代が来ることだろう。
努力をする環境を整えよう
仕事がうまくいかない人は、仕事がうまくいかない価値観の人と集まっている。スキルが上がらない人も同じだ。スキルが上がらないような価値観の人と集まる傾向が強い。やはり、似たもの同士の方が話が合うので、どうしても似たもの同士集まってしまう傾向がある。自分の周りにいる人というのは、スキルアップにおいて非常に重要だと思う。
そういう意味で、転職というのはスキルアップに非常に有効だと思う。給料が高いか安いかも重要だが、その職場で仕事がうまく回っているかどうかという基準で選んでみよう。うまく仕事が回る現場に行けば、仕事がうまく回る考え方の人たちの中で仕事ができる。そうすれば、仕事がうまく行く価値観を身につけることができる。これは、一生モノの財産となるだろう。
逆に、今いる職場が考えずに無茶ばかりに頼るようなら、離れることを考えた方がいいと思う。無茶をした後でよく考えたり、振り返りをしたなら得られるものはあるが、無茶自体で得られるものは無い。苦労の割に成長の伸び幅が少ないので、無茶が利かなくなった時に詰む。こんなはずじゃなかったと、嘆くことになる。
スキルが上がり易い環境に身を置くこと、効率の悪い環境から離れるという、二つのアプローチをできる範囲で続けると、スキルアップの土台が固まってくる。スキルアップには、単なる努力ではなく、環境も大事ではないだろうか。努力の内容も大事だが、努力をする時の条件も見極めていかなくてはならない。
努力が実ると話の合う人が変わる
努力が実ると、考え方が変わってくる。考え方が変わると、今まで共感できた人の話が共感できなくなるようなことも起きてくる。なので、個人的には、流動的な人間関係というのは悪くないと考えている。むしろ、ある程度流動的な方がいろいろな価値観に出会えるので、見える世界は広くなる。
逆もまた起こりえる。相応の才気のある新人が、仕事のできない社員さんに迎合していく内に、ものを考えない習慣がついてしまった。結果、「誰々が言ったから」という基準でしか行動できなくなってしまった。という実例を見たことがある。
また、スキルの差が大きい時には、弟子と師匠のような関係が保てていたが、追い越されたが故にライバル視されたり敵対されたりということもある。努力が実るが故に、今までの関係が悪化することもある。人間には妬みのような感情もあるので、成長すれば共に喜べるとも限らない。
自分の状態によって人付き合いは変わっていく。自分の思う方向と逆の人たちがいれば反発し、同じ方向を目指す人がいれば意気投合する。当然、自分が変われば何に反発し、何に意気投合するか、基準も変わる。なので、いつまでもお友達というのが良いとも限らない。
ベストなスタンスを探る
私達は小学校の頃から「友達百人できるかな〜♪」と、人と仲良くすることを良しとして教育されてきた。しかし、人と仲良くするデメリットについては、一切教えられていない。人と仲良くするデメリットとは、相手の影響を受けることだ。悪人と仲良くしたら、価値観に同調して悪人になる。実例はいくらでもあると思う。
また、仲良くすることと良い影響を与え合うというのは、イコールではない。変に慣れ合う必要も無ければ、いがみ合う必要もない。まずは相手の話を聞いて知ることから始めよう。これをすっ飛ばして、「みんな仲良く」ばかり追求するから、無意味な人間関係が増える。「楽しければ良し」な人間関係もいいが、振り向いたら何も残っていことに気づいた時の虚しさはかなり身にこたえる。
本題にある、スキルアップのための人間関係。これを構築する基本は、相手の良いところは認め、悪いところは悪いと認識する。これに限ると思う。思索がベースになるので、考える習慣を身につけることができる。二面性を認識することで、極端な好き嫌いに走らなくて済む。この状態で、初めて相手の言うことをフラットな立場で判断できるようになる。
人間関係に振り回されると、正しいと思うことを正しい、間違っていると思うことを間違っていると言い難くなる。スキルを高め合う関係を求めるのであれば、これは致命的だ。スキルアップのための人間関係を築くには、理論を背景として考える訓練が必要ではないだろうか。人間関係において、理論というのは、もっと重視されてもいいと思う。