いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

言い訳と原因追及の違いってなんだろう

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言い訳をくわしく聞いてみた

 言い訳とういうのは、言われるとかなりうざい。だが、一度よく聞いてみると面白いことに気づく。意外と理論的なのだ。分析のやり方に間違いは散見されるが、手持ちの材料でうまいことくみ上げられているものだ。言い訳を細かい要素に分解してみると、筋の通っていることもあったりする。

 理論的な正しさというのは相対的なものだ。言い訳をする人でも、相対的な正しさはある。そう考えると、どんな言い訳でもちょっとは聞くべき要素があるように思えないだろうか。最終的に否定するにしても、せめて内容を一通り聞いてはどうだろうか。それすらしないなら、話を聞かずに単に怒るのと大差が無い。

 ただ、言い訳を分解していくと、自分のミスを的確に突いている部分があったりする。こういうのがあると、聞く側としては対処に困る。もし、これを認めたりすれば自分の立場を維持できなくなるかもしれない。ひた隠しにしているミスが人目にさらされるかもしれない。

 一つの原因追及の形が言い訳だと思っている。これは、両者を聞いた上で内容をバラバラに分解すれば理解できる。ただ、感情の乗っかり方で言い訳か分析か、見解が分かれてしまうように見える。感情の乗っかり方というのは、言い訳を言う側、言われる側、両方の組み合わせで判断する必要がある。

コンピュータが言い訳をしない理由

 コンピュータが言い訳をしない理由。それは、出力されるデータに感情が乗らないからだ。性能の悪さに怒るエンジニアはいても、サーバが落ちた時のログを確認して、「これは言い訳だろ!」とコンピュータに対して怒るエンジニアなどいないはずだ。

 相手が人間だから言い訳というのは成り立つ。結局のところ、言い訳かどうかは、言われた側の人の機嫌によって決まる。相手がコンピュータではそれが成り立たない。こちらがどんなに怒っていようと、嬉しかろうと、同じ計算をすれば同じ結果を返す。それに、コンピュータは意思を主張しない。そういうものに怒りをぶつけても、単にモノに当たってるだけにしかならない。

 コンピュータはどんなに言葉で圧力をかけても答を変えない。そもそも、人が納得するような答を選ぶ機能のついたコンピュータなんて存在しない。また、そんなコンピュータを作るためにAIを駆使されても、機能の無駄遣いだ。実現したとして、そんなコンピュータは使いたくない。

 言い訳は出された答で決まるのではなく、それを聞いた人が決めることだ。なので、言い訳をしないようにしようと気をつけても、それは相手次第だ。簡単に言えば、どんなに正しい事をいっても、聞く側次第でいくらでも言い訳にされてしまう。なので、言い訳をしないように気をつけてもあまり意味は無い。ただ、正しく物事を伝えることに専念すれば良い。

言い訳という甘え

 言い訳は、する側よりされる側に甘えがあると考えている。相手の意見、説明を「言い訳」にしてしまえば、こちらが一方的に話を押し通せるからだ。果たして、この言葉を使う際に、正当性を説明できるだけのバックボーンがあるだろうか。「それは言い訳だ!」この一言は、立場や力関係で相手を黙殺できるだけの力がある一言だ。

 相手を黙殺して自分の言い分をだけ通してしまえば、好きなだけ言えてしまう。これは実は恐ろしい事だ。どこかでブレーキをかけないと、限りなく相手を追い詰めることができるからだ。実際、都合の悪いことはいくらでも覆せてしまう。「言い訳するな!」はブラック企業なんかで無茶を通すための常套手段だ。

 人は言葉の圧力で捻じ曲げることができる。Yesであっても、圧力をかければNoと答える。こういう圧力をかる人の背景には甘えがある。自分のミスを認めたくなかったり、未熟な状態を認識したくない、自分の都合を押し通したい。そういった状況で人に圧力をかけて、事実を捻じ曲げる。立場や力関係が優位な故の甘えだ。

 話はそれるが、特定の年代の日本人というのは、コンピュータが凄く苦手だ。事実をベースにするのではなく、自分の都合をベースに思考が組み立てられているからだと思う。実際、その年代の人たちと話をすると、人にやたらと融通を求めてくる。その人たちがよく立場の弱い人に言うのが「言い訳するな」の一言だったりする。

言い訳をしないための一番の対策

 言い訳をせずに済む方法。それは、物事をうまくいかせることだ。物事がうまくいけば言い訳をする必要がない。これが誰でも分かるやり方だ。もうひとつは、都合の悪い事実でも受け止めるということだ。これは、精神的いな強さが求められる。都合の悪い事実を受け止めるには、精神的な痛みが伴うからだ。

 精神的な痛みが伴うと、これを避けたいと思うのが人間だ。そのために嘘をついたり、事実を隠したり、捻じ曲げたりする訳だ。精神的に強ければ、都合の悪い事実を告げられても、嘘や誤魔化しではなく、分析ができる。その結果、事実に基づいた解決策を見つけ易くなる。そして、問題を解決して物事がうまくいく訳だ。

 それに加えて、エンジニアが誤魔化したり、嘘をつかずに済むためには、技術力は必須だ。そうしないと、事実をベースに物事をみれない。エンジニアが自分の都合を元に判断しだすと、それ以上のスキルの成長は期待できない。事実を見なくなってしまっては、正しい現象を把握することができなくなるからだ。そもそも、技術も無いのにエンジニアって、それ自体が嘘か誤魔化しだ。

 原因の追求をすれば、必ずそれに対しての結果が出る。これを言い訳と取るか、結果と受け取るかはそれぞれの力量次第だ。タイトルに挙げた原因追求と言い訳の違いは、その時の気分による受け取り方の違いだ。人間である以上、どうしても気分で判断してしまうケースはある。この、気分を制することのできる人が、これからの時代に活躍するのではないだろうか。

Comment(1)

コメント

AntiVirus

コレも言い訳でしょうか?
https://www.youtube.com/watch?v=_1_su6c3VLk
冒頭の男のスタッフの一言なので、聞き逃さないように。
はっきり言ってブラックなCMです。

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