いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

サポートはコンサルではありません

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サポートに丸投げされても困ります

 「高い金払ってサポート契約してるんだから、何でも聞けばいいじゃないか」。インフラ系のエンジニアをやっているとこの一言を頻繁に耳にする。とりあえず分からない事を、片っ端にこれとこれとこれ・・・とリストアップして、下っ端の人が問い合わせをする。問い合わせが返ってきたら、その内容ほ報告させる。

 とまぁ、こういうパターンをやっていると大概炎上する。焼肉の食べ放題じゃあるまいし、払った金の分、元を取ろうという貧乏くさい発想は止めてほしいものだ。問題解決より、サポートを使い倒すことに目的がズレている。ついでに言うなら、知りたい事があるなら自分で問い合わせろ。人の人から聞き伝いなので、ヘタクソな伝言ゲームみたいになって、ドツボにはまる。

 サポートもやっていた立場なので言わせて頂くと、サーバのスペックをどうするか要件定義を求められても知らん。マニュアルに書いてある必要な要件と条件を棒読みするしかできない。冗長構成をどうするか、こちらに切り分けを求められても困る。そちらで雇ったエンジニアに決めさせてくれ。これを聞いて「けしからん!」と思う方もいらっしゃると思うが、その前に、おたくのエンジニアにきちんと仕事させてください。

 「金払ってるんだから」という理由はよく聞くが、そんなに困っているなら、コンサルにお金払うべきだ。確かに値段はサポートより高いと思う。だが、問題解決はコンサルの仕事だ。サポートにさせる仕事ではない。払うべき報酬をピシッと払って、きっちり良い仕事をしてもらおう。もちろん、良い仕事をするコンサルは責任を持って選んで頂きたい。

問い合わせる前にマニュアル読め

 ろくにマニュアルも読まずに問い合わせしても、ロクな結果は得られません。問い合わせる前に、マニュアルは一通り目を通しておこう。全部読むのはむりでも、だいたいどういうマニュアルがあるのかという一覧と、目次には一通り目を通しておこう。

 「金払ってサポート契約してるから聞けばいいじゃないか」と思うかもしれない。だが、マニュアルも読まないで問い合わせをしても、まず、話がなかなか合わない。結果、返答の理解度に雲泥の差が出る。問い合わせをしても、マニュアルを通読した人とそうでない人とでは、問題解決までの時間に圧倒的な差がでる。

 確かに問い合わせれば返答はする。ただ、返答の内容がマニュアルに書いてあることだと、そのまま内容を伝えるか、何ページを読めとしか返答できない。また、マニュアルを読まないと問い合わせる際に条件を絞り込めない。的外れな問い合わせをする人の話をよく聞くと、だいたいマニュアルを読んでいない。コラムにクソコメントつけるパターンと同じだ。

 マニュアルを読むか読まないかで差が出るのが、問い合わせた後だ。マニュアルを読んでいないと基礎知識が弱い。なので、トラブルシューティングができない。また、マニュアルを読まない人に限って、安易な持論を立てて、とんでもない方向に対応を進めてしまう。マニュアルは大事だ。問題解決を望むなら、しっかりと読み込んでから対応に取り組もう。

重大な決定を投げる先

 お金にうるさいわりに、額面と商品を間違える人は多い。サポートに払ってるお金は、あくまでサポートをしてくれるだけの金額でしかない。サポートに要件定義を迫るなら、額面と商品を間違えていると言わざるを得ない。百円ショップでブランド物の財布を売ってくれと迫っているようなものだ。まぁ実際、それに似た類の無茶を言う人はたくさんいるようだが。

 スキルが必要ならスキルの高いエンジニアを雇おう。よいプランを立てたければコンサルに相談しよう。もちろん相応の対価は払おう。安いお金で大きな成果を上げるのはビジネスの基本だが、値段だけ見て道具を間違えるのはビジネス以前の問題だ。節約のつもりかも知れないが、ただの無知だ。お金を削るつもりが自分の身を削っている。

 エンジニアのスキルにしても、コンサルのアドバイスにしても形が無い。形の無いものの価値を理解するには、相応の知能が必要だと思う。答えは一言でも、そのバックボーンを見ないとその価値がわからないからだ。結論の一言しか見ていなければ、その価値は理解できない。

 サポートというものがいい加減だという訳ではない。サポートは、有能なエンジニアと組みになった時、とてつもない力を発揮する。使いこなせる人が使うと、最大限の効果を発揮して問題を解決する。よく考えて欲しいのは、サポートだけにお金を払っても役に立たないということだ。優秀なエンジニアもそろえておく必要があるということだ。

活かすも殺すも自分次第

 コンサルにせよ、サポートにせよ、使う人が使いこなせなければ結果は出ない。また、用途を間違えても結果はでない。サポートには優秀なエンジニアの後ろ盾をさせよう。経営の問題は、エンジニアやサポートに無責任に丸投げせずに、コンサルに相談しよう。

 実際、サポートに問い合わせるにしても聞き方次第で返答が全然違ってくる。何も考えずに問い合わせをしても、マニュアル通りの答えしか返ってこない。また、無茶な質問をしても返答に困ったように言葉を詰まらせる。条件を明確に伝えないと、適切な返答が得られない。お金を払っているからと横柄にならずに、適切にコミュニケーションを取れば、最大限の力を発揮してくれる。

 当然のことだが、サポートの人はこちらの詳細を知らない。それを活用してどう儲けるかという話はできない。ポンポンと叩けばいくらでも有益な情報を吐き出すものと勘違いしている人もいるようだが、サポートは答えられることしか答えられない。あくまでサポートできる範囲というものが決まっているからだ。

 たまに、サポートに問い合わせすれば何でもかんでも解決してくれると思っている人がいる。サポートはあくまでサポートだ。業務における問題の発見・解決策の提案・業務の改善の補助、経営戦略への提言はしてくれません。これを求める方は、ぜひコンサルへご相談ください。サポートはサポートとして活用しましょう。

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