いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

そろそろクラウドの時代も終わるんじゃないか

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■クラウドは成熟した

 一時期、クラウドでやれば先進的という風潮があったように思う。何か凄い技術のようにもてはやされたが、単にWeb上にサーバを立てて処理を丸投げしてるだけだ。PCにわざわざソフトをインストールしないでやりたいことができる。確かに便利な仕組みだ。

 なぜクラウドの時代が終わると考えたか。それは、もう成熟したと思われるからだ。社会を支えてはくれているが、新しい何かを切り開く技術でもなくなった。水道や電気と同じように、インフラとして扱われるレベルに成熟してきたのではないだろうか。

■出尽くしたネタ

 クラウド云々と騒がれてから、いろいろ便利なサービスが出た。それが大きな利便性をもたらしたのは間違いない。だが、最近ではあまり斬新なサービスというのを見かけなくなった。もう必要な道具は揃いきったのだろう。

 普通に生活をしていたとして、利用するクラウドサービスといえばせいぜいがメールやらストレージくらいだ。仕事で活用していたとしても、活用しようと積極的なのは一部の人たちだけだ。ITとは関係のないセクションでは、やっとメールが当たり前に使われるようになったくらいだ。

 IT業界の人が騒ぐほどクラウドで提供されるサービスは使われていないのかもしれない。利便性より、「覚えるのめんどくせー」という感情の方が先行しているように思う。仕事でもITが活用されないのは、その考え方の延長線上なのだろう。

■クラウドで作れないもの

 クラウドのサービスは大多数で使うのが前提だ。ということは、機能も大多数向けのものになる。便利だが、利用方法が限定される傾向が強くなる。また、ブラウザで操作するという特性上、操作できる範囲が限定されてしまうこともある。

 結局、クラウドで提供されるサービスは最大公約数的な単純仕組みなものが中心になってしまう。誰でも取っつけるという反面、万人向けの機能しか提供されない。スキルの高い一部の人達や、発想力を形にしたい人にはあまり向かない。

 また、便利なサービスでも採算が取れなければ終了してしまう。トータルで考えると、ローカルで運用しているのとあまりリスクが変わらない面も多いような気がする。「クラウドを使えば管理者不要!」のような謳い文句をよく聞くが、実のところ、要求するスキルの内容が変わるだけだ。確かに、古い考え方の管理者なら不要になってしまうのというのなら、謳い文句に間違いは無いだろう。

■これからの時代に必要とされるもの

 今までは素人向けに多く利用してもらうようなサービスが中心だった。結果、クラウドというやり方で成果を出せたと思う。安定したサービスであれば今後も成果を出し続けられるだろう。だが、これ以上先進的なものを出すのは難しい。使ってる人が進化しないからだ。

 今出ているIT系のサービス、ツールは、素人が何も考えずに使えるレベルの限界点にきている。同じコンセプトではこれ以上のものを出すのは不可能だ。出たとして、バカが更にバカになるツールしか出ないだろう。これからの時代は、ある程度のスキルがある人が、能力を最大限に形にするためのものが求められるのではないだろうか

 もう、製品を導入するだけのソリューションの時代も終わると思う。ものやサービスばかり進化して使う人が進化しない。むしろ退化してるのかもしれない。使う人が進化しないので、どんなにいいものやサービスが出ても活用できない。

 だからと言って行き詰まったかと言うと、そうでもない。きっと、そういう流れに気付いた人が、新たな動きを見せることだろう。そこから新しい発想が生まれて広まっていく。逆にそういうことが起きなければ、ITの存在価値が薄れていくだろう。十年後には、私達の概念を超えた何かが出てくることを期待したい。

Comment(1)

コメント

harikofu

まぁ、クラウドとかオンプレミスって手段でしか無くて、結局は提供される機能、トータルコスト、周辺環境の違いだけで本質的には何も変わらないわけで、当然の結果として、使う人間も何も変わらないでしょう。その人にとっての主戦場が違うなら、別にITにこだわることもないでしょうから、それはそれで良い気がします。

今後、面白そうなのがWatsonのような人工知能ですかね。日経コンピュータによると、某銀行のコールセンターで導入されるとか。これがどうなるか楽しみです。

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