荒れた世界の向こうでVサインを出す男
■プロジェクトという荒野
最近、IT系の仕事と聞くとうまくいく気がしなくなった。何年もこの業界で働いてはいるが、年をおうごとに難易度が増しているように思う。5年前、仮想化なんていったら大きいところでも無い限り、あんまり一般的ではなかった。それが今では、やれ仮想化だ、それを通り越して、クラウド上にサーバーを構築するとかなんやら。
5年くらい前には自分がそういう仕事をするという認識もなかった。また、リーマンショック後、仕事に対して求められるものがシビアになった気がする。まさに時代の黄昏というのを感じる。そんな黄昏の元に広がるのが、ITエンジニアたちが激戦を繰り広げた荒野だ。
■厳しい時代の生き方
今の時代、余裕綽々で仕事をこなすというのも難しい。仕事自体が簡単か、それとも同じような仕事を長い間繰り返してでもいない限り、なかなか仕事をリードできない。もしかしたら、歴史上、もっとも仕事の難易度の高い時代なのかもしれない。
そんな仕事の難易度の高い時代を生きていくためには、それにふさわしい考え方が必要になると思う。目の前にあるものを、気の向くままに成果をもとめたら、自分が何人いても足りなくなるだろう。
■荒れ地でも咲く花はある
例えば、標高1000mの過酷な環境にチューリップを植えても花は咲かない。そんな過酷な環境でも、高山植物は花を咲かせている。高山植物というのは不思議なものだ。それ自体は平地では生息できない程に弱い。ただ、どんな植物より高山という環境を知っているのだ。
過酷な環境を生き抜くのに必要なのは強さではない。環境を知ることだ。現代のビジネスマンに欠けているのは、時代を知ることではないだろうか。発展ばかり求め過ぎて、物事の本質を見失っているように思う。
■最後にVサインを決めるために
ITエンジニアとしてスキルというのは絶対的な武器と考えられている。しかし、スキルについてどれだけ考えているだろうか? ある人は実績をスキルと同一視している。ある人は対応できる業務の範囲、ある人は特異性の高さを基準にしたりする。
ただ、いろいろな見方があるということは、絶対的なスキルの高さというのは存在しないということだ。そこにばかり固執していては、得られるものも得られない。スキルが高いからと言って、全てが得られる訳では無い。
全てを得るために闇雲に努力するのは大変な労力を要する。現実的ではない。もっと他のアプローチだって存在する。例えば、お金が欲しければそれに特化したやり方がある。世の中の役に立ちたいなら、仕事だけでなく、オープンソースの開発に関わるという方法もあると思う。
最後にVサインを決めるために必要なもの。それは、環境を知ることで現実的な目標を持つことだと思う。ビジネスに縛られず、見るべきものはまだまだあるはずだ。