いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

プロのエンジニアが夏休みの宿題に介入したら

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■夏休みの宿題に物申す

 大人になって気付いたことがある。夏休みの宿題って、ダメなサラリーマンを量産するシステムじゃないだろうかと。休日に仕事する前提というのは、ダメな典型例だ。それを学校が率先して行うというのはいかがなものだろうか。休む時は安むべきだ。

 そして、やり方が未だにアナログ過ぎる。企業では徹底した効率化を求められるのに、ノートにチクチク書いて提出だと。個人記録ならノートで十分だが、人に提出するドキュメントを手書きとは、今時あり得ない。

  そんなこと夏休みの宿題における問題点を列挙してみた。

  • 9月1日納期に対して進捗確認がほとんど無い。
  • 進捗に対するアドバイスも無い。
  • 宿題の内容に対して、生徒の声が反映されない。
  • 宿題に対して必要な工数は計算しているだろうか?
  • 計算した工数と難易度が適切なものか検討されているか?
  • そもそも宿題とは仕事でいえば残業だ。それをさせる正当な理由があるか?
  • 夏休みの宿題に対してモチベーションを持続させるプランはあるか?
  • (プール解放日はスクール水着以外を許可すべきだ。)
  • (男子の水着を競泳水着にするのはやめてくれ。)

課題の出し方に丁寧さを欠く。企業でやったらブラック一直線なやり方だ。これを生徒だけで解決するのはさすがに無理がある。そんなことで、ITのプロとして夏休みの宿題に技術介入したい。

■システマティックに宿題をこなす

 まず、宿題をこなすためには、生徒が個人ではなくチームで動くべきだ。各自作業分担を決めて成果物をマージする。また、チームで動くことで、お互いの成果物をレビューできる。また、成果物をデータで作成することで生徒間で共有ができる。できれば、Redmineなどのプロジェクト管理ツールを使用して、普段から宿題というタスクを管理できるとベストだ。

 数学の問題等、計算が含まれる課題はExcelを使おう。三角関数なんてお手のものだ。実力があれば、CUIベースのツールを活用するといい。数学の問題は積極的に計算機能を使ってこなすことを推奨する。そうしないと、自分の理屈が間違えているのか、計算が間違えているのか切り分けが付かない。問題の切り分けは、社会に出てからの必須スキルだ。間違いを洗い出せるプロセスで問題を解く必要がある。

 数学の図形問題はサクッとCADで済まそう。実寸の図形を書いて、角度、長さのパラメータを拾ってから、公式という規則性を学んだ方が効率がいい。実経験と理論。これは、セットになって初めて活用できるのだ。精度の低い手書きで課題を済ますより、CADの使い方を覚えた方が将来的に実用的だ。

 読書感想文にしてもそうだ。本を読んでそのまま感想文を書くなど、クオリティーを確保できる訳がない。まず、課題図書の書評をネットで調べろ。そのあとに、課題図書に出てくるキーワードの裏付けを取る。そういう副次的な情報を固めて、初めて自分の感想を乗せた文章が書けるのだ。コラムニストの私が言うのだ。間違いは無い。

 ITを使いこなすこと、チームでの動き方を覚えることが重要だ。宿題という大きな課題に対して、みんなで協力して高いクオリティーで達成できた。そこが重要だ。そういう経験が、社会にでて困難にぶつかった時に活きるのだ。

■教育は社会を舐めてはいないか

 テクノロジーは進化する。社会は変わり続ける。この変動多き時代に、十年前の教育がそのまま今の社会に通用する訳がない。今の学生に必要なのは時代に合ったスキルだ。今の教育はそれを提供しているだろうか。

 企業でも保守的な年配者が過去の成功例にへばりつく。そんな古い経験則による弊害ばかりが目に付く。今のエンジニアに必要なのは、現代に通用しない成功例を焼き払って、新しい方法を打ち立てていくことだ。学校で教えている時代遅れなメソッドでは、それができるエネルギーは生み出せない。

 現代の学生世代は、ものすごい潜在能力を秘めているのではないかと思う。大人が怠慢にかまけているから伸びないのだ。今の学生に、効率を上げるためのツールの使い方、動き方を適切に教えたら、先代の大人たちでは太刀打ちできないくらいの能力を発揮すると思う。

 時代遅れなアナログ世代を打ち砕いて欲しい。また、それを可能にすうるようなものを後世の人たちに残していきたい。そんなエンジニアでありたいと思う。

Comment(13)

コメント

ななしん

夏休み=休暇

ではなく

夏休み=家庭内学習の期間

と捉えるのが一応の建前ですね
親からすれば学校が休みで教員がサボってるように見えますが、
教師も休めるわけでなく出勤してますし

この前提では書かれている問題点は親の責務になりますが、
そう考えると子供という部下に対する管理業務が約40日に
渡って重点的に行える期間とも言えますね
それを面倒とみるかいい機会と見るかは。。。^^;

Anubis

ななしん さん

ご意見ありがとうございます。
教師が出勤している、という内容については把握していませんでした。参考になります。

それを踏まえた上で、
>夏休み=家庭内学習の期間

というのに問題を感じます。
夏休みの宿題なんて出さずに教師の方々にしっかり休みを取ってもらいたいです。
普段から激務だし、一カ月くらい連続で休んでリフレッシュして欲しい。

ふとそんな風に思いました。

ごん

私は教師の肩をもつべき立場にある訳ではありませんが、教育と労働は別物だと思いますよ。
学校の教師であれば、宿題の「工数」(そのようなアナロジーがお好きなようなので、あえてそう書きます)はおおまかには見積もれているでしょう。ただし、とくに入学の時点でスクリーニングされない公立学校では、個人ごとにばらつきも大きい。「進捗管理」は基本的には学校の責任ではないと思います。個別にそのようなことに対応するようなリソースもありませんし、生徒がある程度自律的に進捗を管理できるようになることも含めて、長期休暇中の宿題は出されているはずです。もし誰かが進捗管理をする必要があるとすれば、主な役割を果たすのは保護者でしょう。

私も読書感想文を書くことの意義には常々同様の疑問をもっています。
でもね、ExcelだのCADだののツールの使い方のような些末な問題は社会に出てから必要に応じて身につけるものじゃないんですか?まあ、小学生や中学生でも好きならそういうのをいじってみるものいいんでしょうけど、10年で変化するようなテクノロジーを、それでなくても時間数の不足しがちな教育課程の中に入れるべきだとは思いません。

Anubis

ごん さん

ご意見ありがとうございます。

そもそも夏休みの宿題自体、出すべきではないというのが私の意見です。
ついでに言うなら、教育関連機関に提出するレポートとか、そういう想定で書いてません。詳細にツッコッミ入れてもらっても「はい、そうですね」としか言えません。

ちなみに私としては、教育では社会に出てからダイレクトに役に立つ事も盛り込むべきだと考えています。社会で大人が何をやっているか、子供の内から理解させるのは、大事な教育ではないでしょうか。

Anubis

--コラムを読んでいる皆様へ--

私も万人が納得できるというコンセプトでコラムを書いていません。意見を頂ければ、その内容を題材にしてコラムを書きます。コメント欄はそういう意味で投稿できるようにしています。

個人的には、コメント欄での議論はにナンセンスだと考えています。今までの経緯で、まともな結論が出た試しが無い。

また、残すに値しないと判断したコメントは、私の判断で削除します。どうしても私の意見に納得できないなら、ご自身のブログかコラムで意見書いてください。

ということで、挑戦したい人がいるならいつでも受けて立ちます。また、挑戦することで、よりよりコラムやブログがでてくることを期待します。

エンジニア

非常に感銘を受けた、技術は進歩しているのに宿題は昔から変わっておらずそれが当たり前とみなが疑問に思っていないのが不思議だ、これを実行すれば必ずや飛躍的な進歩と良い物が出来る。

CR-X

ITエンジニアなるものが社会をなめているという事が良く判った。
加えて言えば、アナログとデジタルは別々に有るものではない。

小学生が最先端のことを学んだって、社会に出る頃には10年前の技術になるのでは?

それにしても本州の夏休みって40日もあるんですね。
北海道は夏休みも冬休みも25日だったよー。

Anubis

CR-X さん

はっきり言っておきます。あなた失礼です。
とりあえず、あまり考えずにコメントしたことは良く判りました。

>加えて言えば、アナログとデジタルは別々に有るものではない。
・ そんな話はしていないですよ?せめて、どこを読んでそう感じたかは明記されていないので意味が分かりません。

・ どこがどう舐めてると思ったのでしょうか?根拠を書かないと人に伝わりませんよ。

ご指摘のアナログとデジタルについては、
面白そうなので機会があればコラムで書いてみようと思います。

ご意見と度胸があればコメントお待ちしています。

・・・まぁ、ただの言い逃げなので、来ないと思いますが。

Anubis

あ さん

ご意見ありがとうございます。
これは持論ですが、学校で勉強させる内容についてはあまり重視してません。
学び方を身につけさせるのが大事だと思うのです。

そもそも、どんな知識でも概念でも陳腐化していきますよね。
自分に合った学習方法が身についていれば、
常に新鮮な知識や概念を取り入れる事ができます。

こちらについても、面白いテーマだと思ったので、
いつかコラムの題材にしてみたいと思います。

あと、他のコラムでもいろいろコメントをいただきました。
ありがとうございます。

Anubis

エンジニア さん

コメントありがとうございます。
教育に関しては、他にも思うところが多いです。またコラムの題材にしてみようと思います。

iocikun

面白い視点ですね。
参考になります。

ryougo

休むときは休むべきだっていうところが安むべきだになってますよ。

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