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@ITドラマ「残業課長 和久原アトム」第4話:対決!和久原アトムVS朝田ススム

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2009年8月10日~14日 毎日夜21時 O.A!


[第4話]対決!和久原アトムVS朝田ススム

 オレは、和久原アトム。小さなシステム会社で課長をしている。

 人はオレのことをこう呼ぶ。

 「残業課長、和久原」

 へなちょこ新人の朝田ススムに無理やり(でもなかったんだが)残業させたら、会社に来なくなった。直接話を聞こうにも電話には出ない。部長命令で、あいつの家に行ったら、辞めちまった。

 その数日後、会社に脅迫状が届き、おれはあいつの元にもう1度行くことにした。

 まずは、ちゃんと運用本部の上司に一言いわなくちゃな。運用本部でのオレの上司は川場田アイ部長。周りからは「アイちゃん」なんていわれているぐらい信頼されているリーダー。

 そして、昔のオレの部下でもあった。

 「アイちゃん‥‥いや、今は部長だから、川場田部長っていわないとな」

 「はは、別にアイちゃんでもいいですよ」

 「悪いんだけど、今日、お休みもらっていい?」

 「え? 今日は和久原さんの歓迎会しようと思っていたのになぁ」

 「ごめんごめん、ちょっと体調悪くてな、この厳粛な雰囲気に酔ったのかもしれねぇや」

 強引に休みをもらって、オレは朝田のところに向かった。

 ピンポーン

 ドンドン!

 「おい、朝田! オレだ、和久原だ! お前に聞きたいことがある」

 カチャ。

 「……」

 「入るぞ、いいな」

 「……」

 朝田はなぜかスーツを着ていた。

 「お、転職先見つけたのか?」

 「違います、これから面接に行くところです」

 「そ、そうか。あの、じつは、お前に聞きたいことがあってな」

 「……」

 部屋に入ってから、朝田は1度も目を合わせようとしない。

 「これ、お前見覚えないか?」

 「!」

 「なんだ、知ってるのか?」

 「し、知りません」

 「中、見てみろよ」

 朝田は震える手で脅迫状を開いた。

 「で、これだけど、お前……だな?」

 「……」

 「オレにはな、お前が出したっていうのは分かってんだよ!」

 「みみみ、みんな、こここ、困ればいいんだ」

 手紙を床にたたき付けて、朝田は踏みつけた。

 「なんだと、おまえ、なんでこんなことしたんだ!」

 「う、うるさい! うわぁーーーー!」

 「や、やめろ!」

 朝田は、本棚にあった本を全て和久原に投げつける。投げつける本がなくなったところで、和久原は1冊の本を拾って、朝田に渡した。

 「オレはな、別にお前を怒りにきたんじゃねえよ。お前がこういうことをしたのが事実だったら、そりゃあ、頭にくるけど、まぁ、そういうことを話にきたんじゃねぇ」

 「じゃあ、何しに来たんですか!」

 「謝りに来たんだ」

 「あれだけのバグを発見できたっていうことは、お前は誰よりも努力したんだろうよ。それは、この部屋にあるこんだけの本が証明しているよ」

 「課長……」

 和久原はさらに、もう1冊本を拾った。

 「でも、やり方が卑怯なんだよ! あと、本、いてーじゃねぇかよ!」

 持っていた本で朝田を思いっきりぶん殴った!

 「お、また本投げつけるなよ、これで、チャラなんだからな」

 「で、お前どうする? 辞表はまだ取り消し可能だから、戻ってくるか?」

 「いや、もう戻れないですよ」

 「本当にいいんだな」

 「はい、そういう覚悟でこれを書いたんだから」

 朝田はしゃがみ込んだ。

 「朝田、おれは負けたよ、お前のワークライフバカンスに負けたよ」

 「和久原課長……」

 「朝田……」

「ワークライフバカンスじゃなくてワークライフバランスですよ! もう帰ってください!」

 「う、うるせえ、バカヤロウ!」

■次回予告:最終回!「和久原のケジメ」■

 「いやいや、和久原課長、何もキミがそこまでしなくても‥‥」

 「いや、これがオレのケジメなんです」

 「じゃあさ、残されたキミの部下はどうなるんだね?」

 「……」

8月14日夜9時放送!

※このドラマは、作者の体験を元にしたフィクションです。

Comment(3)

コメント

いつも楽しみに拝見してます。

私も似たような経験があるので、かなり入り込んでしまってます(笑)
次も楽しみにしています。

ちなみに、育休どうですか?

逆転仕事術

SHiN.さんコメントありがとうございました。
実はコラムの中にも登場していただこうと思っていたですが、なかなかいいフルネームが思いつかずに、見送ってしまいました、ごめんなさい。
おお、そうですか、同じような経験をされているとは、うれしいです。
育休はすでに取得終えたのですが、いい経験ができました。
ワークライフバランスをまずは自分の身をもってって思っており、大変だったのも本音のところなんですけどね。

逆転仕事術

■第四話のネタバレ■

「川場田アイ部長」はコラムニストの「かわばたあい」さんに登場していただきました。これまた、事前に確認もせずに、突然登場させてしまい、申し訳ありません。

さて、今回は、和久原課長の意外な一面が出てきます。

心境の変化をきちんと行動するあたりが和久原課長の意外性だったのではないでしょうか?

メッセージとしては、

どんなに嫌いなひとでも意外な一面はあるもんだ。でもそうでないケースもあるけど。

ということが言いたかったりしました。
実は、私自身、部下とうまくいかないことがあり、それを打開したのもまた、部下に対して謝ることからはじめました。

謝るというのはとても勇気がいります。
それが部下であればなおさら勇気がいります。

和久原課長の気持ちがとても分かるのですが、急に性格まで変わるわけなく、こういう展開になっていたりもします。

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