あなたの好き嫌いはいりません
2008年6月27日の「＠IT自分戦略研究所 Weekly」に掲載したコラムを紹介します。仕事ってなんでしょうねえ。連休中に考えてみましょうか。
■□■
東急世田谷線の九品仏駅から10分くらい歩いた所に「D&DEPARTMENT PROJECT」という場所があります。定義が難しいので場所と表現します。古いマンションを利用してデザイン性の高いリサイクル品を販売したり、カフェを運営したりしています。先日そこでFREITAGのメッセンジャーバッグを買いました。
デザイナーのナガオカケンメイが代表を務めています。「D&DEPARTMENT PROJECT」という場所は、ナガオカのデザイナーとしてのこだわりが色濃く反映された場所です。彼の師匠ともいえる田中一光が無印良品を作ったように、ナガオカケンメイは「D&DEPARTMENT PROJECT」を作ったわけです。
無印良品も「D&DEPARTMENT PROJECT」も「場」がデザインされています。「デザインする」とは「『場』の秩序を適切な形で保つ」ということ。そのためにデザイナーは、揺るぎのない独自の価値基準を持つ必要があるわけで、その重圧たるや、並大抵のものではないと思います。
ナガオカケンメイの独特の価値観は、彼の仕事に対する考え方からうかがうことができます。2008年6月19日の日記（ナガオカ日記：「アシスタント募集についての補足です。」 ※内容は当時のものです）で、彼はこんなことを書いていました。
僕、ナガオカケンメイのアシスタントを募ります。厳しくはありませんが、ちゃんとしていない人は、無理だと思います。時間を守れる人。連絡、報告のできる人。みなりのちゃんとしている人。他人の考えていることが思いやれること。やさしさのあること。
（中略）
毎日、掃除ができるひとや、会社の環境を少しでも美しく保つことに、意味を持ってくれる人でないと、ただのつらい雑務です。そこらへんを勘違いされると、お互いにつらいです。
（中略）
あなたの好き嫌いはいりません。それが強い人は続きませんでした。僕が欲しい情報や、D&Dが欲しいことへのリクエストに対して、迅速に対応できる能力のある方が欲しいです。
仕事をするということの基本がここにはある、と僕は思いました。
（＠IT自分戦略研究所 編集長 谷古宇浩司）