素直に、生きる25歳に。
2007年1月19日の「@IT自分戦略研究所 Weekly」に掲載したコラムを紹介します。エンジニアライフ担当は昨年25歳になりました。四半世紀も生きてしまった……。
■□■
先月、25歳になりました。もう25歳? いえいえまだ25歳。皆さんが25歳のころは、どんなふうに過ごされていましたか? 年始めということもあり、この1年をどう生きたいか考えてみました。その前に少し私の「24歳」を振り返ってみましょう。
良くも悪くも仕事やプライベートに突っ走った1年でした。周りが見えずに大切なものを失うことが数多くありました。中には失ったことにすら気付けないときもありました。一方で、そんな私を見守ってくれる多くの仲間がいることに気付いた1年でもありました。周りにいてくれる人たちに口では「ありがとう」と感謝の言葉を伝えても、心からちゃんと感謝していただろうかと胸に手を当てると、首をかしげてしまいます。私は実にこまっしゃくれた子だったと思います。
そんな私の転機は、10月にあった社内異動。異動するとき、いまの上司から「とにかく、素直に1つ1つ頑張れ」といわれたものの、そのときの私にはいまいち理解ができませんでした。それから2週間が経過しても、周囲の仲間とうまくリレーションが取れず、疲労はピークに差し掛かっていました。そんなとき、仲間の1人が「自分から歩み寄れ。自分から、その一歩を」と肩を押してくれました。その言葉もあって、翌日、OJT担当の先輩にいまの自分の悩みや、何がつらいのかを素直に話すことができたのです。恥ずかしいことですが、このとき初めて私は「素直になる」ことはこんなに難しいことなのだと知りました。
それから2カ月が経過した昨年の12月、私は25歳になりました。それを祝して、私を実の妹のようにかわいがってくれている人がメッセージをくれました。「あんたは昔の私によく似てる。すごくなくてもいい、小さくったっていい……。せめて大切な人や家族にはうそをつかず、見栄を張らず、自分をつくらず、生きてほしい。みんな、ちゃんとあなたを支えてくれるから、信じてほしい」 。その言葉で、いままで力みすぎて釣り上がっていた両肩が、すっと楽になりました。すると、いままで見えていなかった人の優しさや痛みが分かるようになってきて、「素直に」という言葉の本当の意味が少し分かったような気がしました。
先日、私と同じように素直になれずに悩んでいる仲間の1人からメールが来ました。メールを開くとただ1文、「大人になるって何だろう」と書いてあります。私はまだ、ようやく素直という意味が分かりかけたくらいなので、その返事はできません。しかし「素直になる」ことの難しさを知り、「大人」のスタートラインに立てた気がします。まだまだこれからです。せめて25歳の1年はそんな私を支えてくれるすべての人たちに少しでも恩返しができるよう、見栄を張らず、うそをつかず、自分をつくらず、そして「ありがとう」を心から素直にいえる人間になりたいと思います。
(管理本部 中村有紀)