第11回: お風呂でも音楽を!ダイソーの「防滴タイプBluetoothスピーカー」を分解してみよう
はじめに
「防滴タイプ Bluetooth スピーカー」は2017年夏に発売の(たぶん)ダイソーで一番最初のBluetoothオーディオのガジェットです。価格は600円(税別)で2022年5月現在も販売されています。
通信仕様はBLE(Bluetooth Low Energy)ではなく前の世代の「Bluetooth version 2.1+EDR」、マイク内蔵なので通話も可能です。
パッケージ
本体にはきちんと「技適マーク」が印刷されています。取説も日本語対応していて「さすがダイソー」というところです。
本体に表示されている技適マーク
本体を分解してみる
本体の開封
本体を覆っている防滴用のシリコンカバーを外して、底面にある4本のビスをとると開封できます。
ケースは上下に分割されていて、上部にはスピーカーとコンデンサマイク、下部にはメイン基板とLiPo(リチウムイオンポリマー充電池)が格納されています。
開封した本体
LiPoバッテリー
LiPoバッテリーは保護回路内蔵のタイプでメイン基板に両面テープで固定されています。容量の表示がないのですが、サイズから+3.7V 300mAhだと思われます。
LiPoバッテリー
メインボード
メインボードはガラスエポキシ(FR-4)の両面基板です。
アプリケーションプロセッサやオーディーアンプといった主要部品は表面に実装されています。BTのアンテナは基板パターンで構成された「板状逆F型アンテナ (planar inverted-F antenna, PIFA)」です。
メインボード(表面)
裏面には状態表示のLEDとコントロールボタン(3個)が実装されています。基板の設計会社名とおもわれる「LBP」と型番「68BT-20 V1.0」がシルクで表示されています。スピーカー・マイク・LiPoのリード線はメインボードに直接ハンダ付けされています。
メインボード(裏面)
主要部品を調べてみる
次にメインボードに搭載されている主要部品をみていきます。
メインボード上の搭載部品
アプリケーションプロセッサ AC1716AP
アプリケーションプロセッサ
アプリケーションプロセッサは100均のBluetoothガジェットでおなじみの「ZhuHai JieLi Technology Co., Ltd.(珠海市杰理科技股份有限公司, http://www.zh-jieli.com/)」製で、他のガジェット分解で調べたZH-JieLiの型番ルールより「AC6916D」だと思われます。
データシートは中国のソフトウエア開発者のネットワークである「CSND」から入手できます(ダウンロードには会員登録(有料)が必要)。
https://download.csdn.net/download/daoyue/10872819
オーディオアンプ NS8002
オーディオアンプ
オーディオアンプは「SHENZHEN NSIWAY Technplogy Co., Ltd.(深圳市纳芯威科技有限公司, http://www.nsiway.com.cn/)」製の2.4W出力 x 1CHのAB級アンプ「NS8002」です。スピーカーが1つなのでアンプの1CHのみのモノラル再生です。
データシートは以下より入手できます。
https://datasheet.lcsc.com/szlcsc/1810010231_Shenzhen-Nsiway-Tech-NS8002_C189960.pdf
ショットキーバリアダイオード SS14
ショットキーバリアダイオード
本機ではUSBコネクタからLiPoへの簡易充電制御用として逆方向電圧40V、直流順方向電流1Aの汎用ショットキーバリアダイオード「SS14」が使われています。
LiPo側に過充電/過電流保護回路があるためコストの関係でこの構成を採用したと思われますが、LiPoの信頼性や寿命を考えるとここはコストダウンせずに充電制御ICを使用して欲しかったです。(最新版では更新されている可能性あり)
「SS14」は複数の会社から発売されておりデータシートはPANJIT International Inc.(強茂股份有限公司, https://www.panjit.com.tw/)のものが以下から入手できます。
http://akizukidenshi.com/download/ds/panjit/SS12_SERIES_170505_REV.09.pdf
PNPトランジスタ S8550
PNPトランジスタ
「2TY」のマーキングがある部品は汎用のPNPトランジスタ「S8550」です。エミッタがUSBコネクタのVBUSピンに、コレクタが1kΩの抵抗を介して電源LEDに接続されており、Micro USBコネクタからの充電時にLEDを点灯させるのに使われています。
「S8550」も複数の会社から発売されておりデータシートはJIANGSU CHANGJIANG Electronics Technology Co.,Ltd (江苏长晶科技股份有限公司, https://www.jscj-elec.com/)のものが以下から入手できます。
http://aitendo3.sakura.ne.jp/aitendo_data/product_img/transisitor/SMD/tr-sot23/S8550-2TY.pdf
まとめ
メインボードのパターンレイアウトも特におかしいところはなく、LiPoバッテリーの充電制御回路を除けば全体的にきちんと設計されている印象です。
コメント
おるどまん
気付けば中国製の部品だけで大概のものが作れてしまえるようになっているんですね。
円安で厳しいでしょうが、ドローンなんかもそのうち100均で売られるかも。
いつも面白いコラムで楽しみにしていますが、ご自身のペースで無理をなさらず頑張ってください。
お疲れ様~~