町工場から大企業、そして派遣社員も経験した現役派遣社員の壮絶体験

本配属編!その20 係長になっても。。。

»

最後にこの会社についてわかったことを書いていきたいと思う。まず序列だけど、ここは年功序列というよりは学歴重視だったように思う。係長までは高卒でもなれるのだが、課長はほとんどが大卒だ。高卒で課長になる方法は、この会社が経営している専門学校へ入学して二年後に現場へ復帰という流れ。この専門学校を出た人は能力がなくても班長以上が保証されるということを先輩から聞いた。中には中卒で会社の専門学校に入学して課長にまで上り詰めた現場の課長も二人居た。

大卒の人は無条件で開発や技術系の部署に配属されて、そこで活躍できればすぐに出世できる。ちなみに入社二年目の新人がデザインした商品はTV CMでもジャンジャン流れて、その年の専門分野で多数の賞を受賞している。そして、私が居た部署では、係長は数年ごとにローテーションがあり優秀なら他部署へ回されるか、無能なら下請けの会社に飛ばされるかのどっちかだ。私が居たときの係長は4月で下請けの係長に飛ばされて、その後任として私と同じ高校の上司が係長になったのだ。その係長も私が辞めて数年後には下請けの会社に飛ばされたということをあとになって聞いた。だから、係長になっても余程優秀でない限りは数年で下請けに飛ばされるということだ。

下請けになれば当然、給料も下がり、権限もなくなる。しかし、下請けに飛ばされた元係長というのがまた厄介なのだ。どのように厄介なのかというと、しょっちゅう元の会社の詰所に表れて「俺はちょっと前まではここの係長だったんだぞ!」ってオーラを出しながら元部下たちに「おう!」などと傲慢な態度で挨拶をする。私に向かって「新人か?」などと偉そうに話しかけてきたときもあった。元部下たちが作業していてもいちいちやり方に口を出す。やはり元の係長だった時代の未練やプライドがあるんだろう。

更にこの元係長、現係長の肘あて付きの椅子に座って腕を組んで私たちの朝の打ち合わせの様子を見ているのか?と思ったら、自分とこの会社に電話をかけ始めてなにやら仕事の話をしている、というよりは仕事をしている振りだよね。まあ今でもここの係長の気分でいるのか、又はここの係長だった時代に戻りたいんだろう。これは会社員だけでなく、それなりの地位や権威から落ちた人間はすべてこんな気持ちになりますよね。今がつまらないから過去の栄光の話をクドクドするし、執着する。そしてトイレから帰ってきた現係長が詰所に入ってくる、元係長に自分の机を占領されているのを流し目で見ながら何事もなかったかのように詰所内を素通りしてどこかえ消える。

そして元係長は何も言わずに現係長の席から去っていく。数分後に現係長が戻ってきて元の鞘に収まる。たぶんこの二人、お互いに気まずいってことをわかってるんだろうね。弱い人間ていつまでも権力に執着するってことをここの職場で実感しました。

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する