町工場から大企業、そして派遣社員も経験した現役派遣社員の壮絶体験

現場研修編!その4

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「休みを増やせチキショ~!」「ここは幼稚園だ」「ここは地獄だ」「〇〇会社を見習えバカ!」などと自社を呪うような落書きが凄かったのだ。中には感心するような落書きもあった。まるで詩人かと思うような「急げども、そっと優しく手を添えて、外にこぼすなマツタケの露」などと書かれているのだ。その隣には矢印でこの俳句のような落書きを指して「座布団二枚!」などと書いてある。また、大のほうには「きばり過ぎ注意!痔になるなよ」などと書いてあり、その隣には「控え目注意!便秘になるなよ!」などと売り言葉に買い言葉で落書きされているのだ。

また、笑ってしまうのが「1万でやらせてくれるよ0000-00-0000」などと、電話番号が書いてあったり。当時は携帯など無かった時代なので、たぶんみんなこの番号に本気で会社の公衆電話からかけているやつも居た。そしてこの落書きというのが食堂の前のトイレだけに集中していた。何故かと言うとそれぞれの現場のトイレに落書きしてしまうとそこの係の奴だと犯人が特定されやすくなってしまうからだろう。だから全ての従業員が利用する食堂の前のトイレだったら特定されにくくなる。そんな推測をしながら私はいつも用を足していた。

教訓なのだが、ブラック会社を見分けるのにはトイレの状態を見るのも一つの方法だと今になってしみじみ思う。そしてこの夜勤なのだが、私みたいな新人にとっては、別に人生を左右されるほどのものではないのだが、ベテラン社員たちにとてはかなりの影響が出てくる。それは、夜勤の収入を見込んでローンを組み、マイホームを購入している人たちだ。ずっと夜勤が続くというわけではないので、もし夜勤が無くなり昼間勤務だけになったらローンが返せなくなってしまう。実際、他の現場で夜勤がなくなり、ローンが返せなくなって建てたばかりのマイホームを売ってしまったって人の話も聞いた。

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