筆者は1970年生まれ。先輩から、情報技術者を目指す若い方へ生きてゆくためのコラムです。

ギスギスした職場への処方箋

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 人は、生まれ落ちてすぐは、みんな素直だったはずです。泣く理由もなく泣いていた、幼き日々があったはずです。やがて、取り巻く環境が、その人の心を変え、じわりじわりと壊れていった。結果、職場にもまれる、などを通り越して、ギスギスした職場がその人をギスギスにする。そして、ギスギスした人は、隣人や他人も巻き込んでギスギスする。その繰り返し。

 そんなケースが近年非常に多いと体感しています。事実、僕はワーカーホリックなギスギス上司に振り回され、ついにアタマの「ブレーカーが落ちた」人なのです。なので、僕はシステムインテグレータの前職を辞めて今年で6年、いまだにメンタルクリニックから離れられない現実があるのです。

■ギスギスした職場への処方箋

 『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』という書籍。著者はここでもコラムを連載しておられる、おなじみ「マインドセラピストの匠」、竹内義晴さんです。ほぼ僕と同い年……いや、1年、年少さんです。アラフォーであることは間違いありません。自動車メーカーを振り出しに、ソフトウェア開発、そしてその管理職に就かれました。そんな経験をもとに作られた本が、今回のテーマです。書籍を購入してからしばらく経つのですが、僕には、応用情報試験があり、自分のコラム執筆があり、中小企業診断士の受験勉強などがあり、延び延びになっていました。

■お休みの日、新潟まで大胆に生電話!!

 兵庫県尼崎市から、0033(NTTコミュニケーションズ)をつけてダイヤルしました。なぜいきなりダイヤルできるかというと、Twitterであらかじめ面識があったからです。堂々と、そして、内心こわごわダイヤルしてみました。お話をしてみると、まるで牧師さんのような落ち着きと暖かさ。1年年長の僕が逆にちょっと浮ついた感じになっちゃいました。どっちが年下なんだか分かんない。はー、僕も年齢相応の落ち着きを見せなきゃダメだな。何を話したのかは秘密……というより、緊張しすぎて忘れました(苦笑)。

 覚えているのは、出版に至った経緯。企画の売り込みに出版社を回った訳ではなく、メルマガの読者さんに、たまたま編集者さんがいたこと、それがきっかけだそうです。また「どうしてマインドセラピーをやっているのですか」とお聞きしたら、「偶然たまたま巡り合わせでなったもので、意図的に目指してなったわけではないですよ」とのお返事でした。お話ししていて、「クールヘッドの、ウォームハート」を地でいく人だなあ、と実感した次第です。いよいよ、僕は落ち着きのある人にならなければならないなあ。まあ、僕は、小学校の通知表から「落ち着きがない」と書かれていましたからね。これは性分でしょうかねえ。

■職場を、喜びの場に変えるプロセス

 最初は取引先と部下との板挟み、という責め苦に遭っていた竹内さん。管理者になっちゃったけど、何でこんなにツライんだ。そこで、どうすべー、どうすべーと思案。職場がとてもツライ。ある夜、布団に横になりながら、ぼんやり点る天井の麦球を見て涙が出た。ストレスで、十二指腸潰瘍を患った。それを見た妻からは、「そんなにツライのなら、会社やめてもいいわよ」と言われた。そんなある日、「信頼関係を築きながら話を聞く会話術」を標榜するある先生との出会いで、竹内さんは変わりました。何かが吹っ切れた。ならば、されてよくないことの真逆をやろう、と行動に移しました。

 指揮命令ばかりではモチベーションが下がるので、褒めて、自発性をうながそう。ベクトルがバラバラならば、共通のゴールづくりを目指そう。過去の失敗をほじくり出して部下を責めるよりも、未来志向で一緒に解決策を探ろう。何かものが言いたそうだけど、なかなか言い出せないなら、いっそ、こちらから聞いてやろう。ここから、手作りで、手探りの「マインドセラピー」が職場で実践されていくのです……。おっと、ここからは、本書を手に取りよく読むように。たった1400円(プラス外税)で、あなたの職場も「マインドセラピストの匠」のチカラで、劇的ビフォーアフターできるかも!!

■部下を持ったなら必ず読むべき書籍

 もしも、13年前にこの本があったなら、僕の印刷所時代の部下は離れていかなかったでしょうね、きっと。結束力のある、最強のチームになっていたと思います。誰しも、部下を持ったなら、「リーダーの孤独」というものに遭遇すると思います。この本は、リーダーの孤独を解消するとともに、ぽつんと取り残されたメンバーを結集する良い示唆が含まれているように思います。この本には、決してお説教じみたことは一切書いてありません。また、こうしなさい、と決めつけることもしていません。ましてや、スピリチュアルなことは一切書いてありません。それはそれは、淡々と、事実と結果とが、実に素朴な言葉で、一段一段、段階を踏んで書かれているだけです。

 また、会社員のみならず、学校の先生にも読んでいただきたい1冊ですね。子供が言うことを聞かない。子どもが、みんなバラバラ。グレる、スネる、へこたれる。そこで、担任の先生という名のリーダーが、教室というチームを作るときの一助になり得るのかも知れませんね。そういう応用も期待できます。この本は、教育者の方にもぜひお読みいただきたい1冊です。お金を払う価値は充分にあります。むしろ、おつりが返ってくるかも知れませんね。

Book
「職場がツライ」を変える 会話のチカラ/竹内義晴
こう書房 ISBN 978-4-7696-1023-6

 最後になりましたが、昔の、純粋無垢だった自分を取り戻すための、とても良い歌詞があります。一緒にご覧下さい。

 五才の頃/中島みゆき歌詞

(というわけで、自分よ、もう少し落ち着け!!)

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