筆者は1970年生まれ。先輩から、情報技術者を目指す若い方へ生きてゆくためのコラムです。

これから製作所

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 むかし、漫画で「これから動物園」というお話がありました。動物園に勤める若者が、スピンアウトして故郷に動物園を作ろう、という筋書きのお話でした。友人と、何にもない山野に、想像図を重ね合わせて動物たちがイキイキと暮らす図を想像して、その話は終わりました。

 僕の場合、「これから製作所」になるのでしょうか。なにせ、先代が一文も銭を残しやがらなかったので、3代目、つまり初代は大変です。あまつさえ、親父が死亡した翌月に、東京都江戸川区役所から区民税の督促(約4000円)が来るといった、トンデモ親父だったので、あてにはできませんねって、もう御陀仏か。やれやれ。

■如月製作所 設立準備室

 そんな、トンデモ親父の戒名が「月光院観月照道居士」なので、まずは「月の如く」という意味があります。次いで、創業を考え始めたのが、2007年2月。つまりは「如月」に着想したという意味があります。そして、親戚が昭和30年代に始めたのが「神楽製作所」(カグラベーパーテック)だったので、「か」につづく「き」にしたという、そんな感じです。

 若き人たちが、次々に創業していきます。僕は、のんびり屋なので、桃栗三年柿八年、つまり柿の種……これではビールのつまみではないか。要は「柿八年」のほうを取ったわけなのです。すでに、3年を費やしています。あと5年。たとえ時間はかかっても、親父の轍を踏まないような、「スラッグ」や「グラスロン」みたいに、たやすく簡単につぶれないような製作所を設計する。なので、今から少しずつ「柿」の種まきをしよう、と考えているのです。どうせ作るなら、美味しい柿を作ろうと思うのです。

 株式会社如月製作所 設立準備室

 http://www.kiss-mfg.com/

 尼崎商工会議所

 http://www.amacci.or.jp/hplinks/index.php?code=7

 ちなみに、ドメインを考えた時に、KISARAGI-MFG.COM では、どこか無粋。「ちょっと小粋で、一歩先にいくネーミング」はないかと、ひねり出したのが、最初は KIS'S-MFG.COM でした。しかし、よく考えると、ドメイン名にはアポストロフィーが入れられないので、それを省略して、現在の形に至ります。同様に、KISS-FMが神戸にあるから、それで!! という、実に単純な理由からです。そんなおいらを、笑わば笑え。

 ちなみに、会社そのものに、接吻行為に関する商品や役務はありません。たぶん(笑)。ドットコムにしたのは、法人ドメインが高いからです。値上げ反対!! ……よくある「ドッと混む」とかいう、ひっかけは、この場合、全然ありません。単に、ドメイン維持費用が安いからです。それにしても、前株と後株には、何か意味があるのでしょうか。

■知れば知るほど、必要な創業知識

 親御さんがお金持ちで「えいっ」と創業できる方がうらやましく、実にご立派なのですが、うちの場合、再三申し上げているトンデモ親父のせいで、創業しようにもガス欠で、いかんともし難い状態なのです。うちの家系は、子孫に美田を残さなさすぎるので、困ったモノです。子孫としては困った困った。ゼロ、いや、マイナスから築き上げなければいけない。

 とりあえず、尼崎商工会議所に相談しにいこうと考えています。まず、創業前に何をすればいいのか。国民金融公庫さん、銀行さん、信用金庫さんなどから、どうやって融資を引き出すか。また、融資を受けた場合のリスクは……などなど、難問山積みです。また、アイデアが、すでに特許になっていたら、また練り直しになるので、これもまた難問山積みです。商工会議所に足繁く通うことになりそうです。

■某コラムニストさんが教えてくれたロードマップ

 まずは、中小企業診断士を取る。ITコーディネーターを取る。僕は、できれば社会保険労務士も取りたいです。そうして、コンサルティング会社で働いて種銭をためる。そのようにするしかなさそうです。この場合、いつまでも病気になっている場合じゃなく、一刻も早く健康になり、自立せしめねばなりません。それから創業準備、ということです。

 「起業が目標なら資格は要らないけれど、アラフォーが目指す資格は難易度MAXの中から選ばないと、収入にはつながりません」とのことです。

 他にも、いろいろ教えていただきましたが、門外不出ということで……。僕の人生相談に乗ってくださった、ある企業のコラムニストさま。もし、企業に人生相談が殺到すると業務に差し障りがありますので、お名前は伏せておきます。

■「必勝」ではなく「不敗」の精神で

 トップをめざすのじゃー、というのは、いきなりすぎてダメなので、ソフトバンクの創業者の方が、最初は従業員4人で始められたように、こぢんまりとした製作所からスタートしたいと思います。売り上げの棒グラフを作って「他社より勝った、必勝だ!!」というのもいいとは思うのですが、僕は営業じゃないので、まずは「負けない」ことですね。そして「逃げ出さない」ことですね。それが一番大事……というような歌がありましたが……。また、日本人を大事にする製作所でありたい。正社員を大事にする製作所でありたい。小ロットで上質なもの。それを指向しています。

■これから製作所の青写真

 まだ、秘密です。PICマイコンを使った、電子制御がメインの製作所としか申し上げられません。サーボモーターも使うので、力学(トルク)の勉強もしなければいけませんね。確定申告になるので、弥生会計か何かも勉強しなければいけませんね。簿記会計の勉強もしなければならないでしょう。ああ、覚えることが多すぎて、ああ、いそがし、いそがし。

 ともあれ、従来からある3次産業的な「製作所」じゃなくて、もっとソフトウェアに特化した「製作所」を指向しているのです。かつて、ある会社で「お前は芸術家タイプだ」と揶揄されたことがありました。ならば、芸術家にしかできないような製作所があってもいいのでは? と思ったことがきっかけです。

 また、代表(自分)が技術畑出身なので、技術者にやさしい製作所でありたいと思います。確かに営業は、モノをお金に換えてくれます。しかし、肝心の技術者が、たとえば病気になったり、おろそかにされたりすると、品質やモチベーションは下がっていきます。技術者を大事にしない会社は、品質の劣化を招きます。そんなことはさせません。「頑固な技術オタク連中」を養成するつもりはありませんが、少なくとも「職人気質」を持った人財を養成するつもりはあります。

■3.5次産業としての、新しい製作所を志向

 これまで数々の企業に勤め、良い面、悪い面を両方見てきました。どうすれば職場がギスギスするかが分かっているので、その真逆をやればいいのです。どうすれば賃金が下がるのかが分かっているので、その真逆をやればいいのです。そして、提案報奨金などの、良い制度を採用する。トップダウンの制度があれば、ボトムアップの制度も必要です。

 もしかすると、目論見書以前の段階でギブアップするかも知れませんので、その時は、ひっそりと忘れてください(と、ちょっと弱気になってみる)。資格が取れた頃には、老人になるかも知れませんね。タイムアップが来ないうちに、何とかしなければいけませんね(と、ちょっと弱気になってみる)。

■日本のものづくりは本当に大丈夫なのか

 普段は全然見ない「朝日ニュースター」なのですが、つけた時間にやっていたのが「ニュースにだまされるな」という番組の、今回は「日本のものづくり」のお話でした。たとえ、技術的に成功しても、その国や地域に応じたマーケティングが必要になるとのことです。また、日本は学生発のスピンアウトしたベンチャーを支援する要件が非常に厳しい。会社は会社、学校は学校と、産学連携を最初から諦めている。

 リスクは取りたくない、アタマのCPUが古い方達の考え。たとえ、今売れていても、将来にわたって売れるとは限らないのがものづくりの怖さ。お金があったら会社ごと買っちゃえ、というのは、本当に技術力アップにつながるのか。世界にお金を垂れ流しているだけなのではないか。また、半導体は産業の米である、などなど、一杯勉強しまして、もうお腹いっぱいです。

 なので、当分、TBSニュースバードだけで充分です。ああ、考えることが、やらなきゃなんないことが山ほどあるのです……。一介の、単なる失業者で終わりたくはありませんので、とことんこだわってみたいと思います。まあ、まずは足下を固めることですね。ではでは。

 (こうして、思索と模索ばかりしています……)

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