ハッタリのススメ
どうも、パソコンの調律師の田所です。最近では、パソコンの設定屋も買いたたかれて、あまり儲からず、旗色が悪いのです。別な道を考えているのですが……。そうです。売り込み方が下手だったのです。パソコンの設定屋と言えば、安っぽい響きですが、パソコンの調律師と言えば、少しは格調高い(?)響きに聞こえます。もう少し言い方を変えれば、わたくしは、パソコンのソムリエ。パソコンのベテラン……よい子のみんな、格調高く聞こえたかな? なに、格調高く聞こえない? いかん、いかんなあ。
この世の中、モノも言いようで値が決まります。たぶん、人材にも同じことが言えるでしょう。ここ(@IT)でも、実際に「人材」じゃなくて、財産としての「人財」と言う呼ばれ方をされているのと同じようにです。なぜだか「人材」と呼ばれるよりも、大事にされているような気分になるのはどうしてでしょう。
■どう高級パソコンを売り込むか
どこの通販とは申しませんが、あの「下取り」や「ボーナス割り増し払い」が大好きな、家電も扱う某通販番組です。パソコン本体そのものが型落ち品だったり、どこかメモリやHDDなどを端折ったり、OSが最下位のグレードだったり、いらんオマケをつけたりしますが、若者よ、営業トークにだまされるではない。一見、お得感満載なふりをしていながら、プロから見れば、どこかがおかしかったりするのです。はて、パソコンを「下取り」するなんて、一般にはあの量販店以外には聞きませんが、ここなりの割引の一種でしょうか。
移動手段にたとえれば、電車もバスも原付も自転車も、競合する移動手段はいくらでもあるのに、どうやってクルマを売り込もうかと考えるのに等しいものです。この不景気に、どうやって3ナンバーの高級車を消費者につかませるか、どうやって3ナンバーの高級車を消費者にねじ込むか。それにアタマを痛めるようなものです。こうなると、不動産賃貸営業の「放り込め、放り込め」に近いモノがありますね。だから僕は公営住宅なんです。だから僕はレンタカーなのです。
■通販番組は突っ込みどころ満載
初心者にはできるだけお得感を出して、ハイスペックなマシンを売りつけたいのが商人道。パソコンひとつ取っても、通販番組では、「なんとかモバイル」のUSBカードを付けて格安にして売る。これはもう数字のマジックでして、「なんとかモバイル」のキックバック(販売奨励金)を利用するから安いのであって、トータルで見てみると、支払う金額は合計で逆に高く付いた、というケースもままあるのです。もし、途中で「なんとかモバイル」の契約を打ち切りたいと思っても、2年間は数万円の解約違約金が発生するわけでして、「なんとかモバイル」付きのパソコンの買い物って、これほど怖い物はないのです。
通販番組で突っ込みたい点がまだまだありまして、これ、二束三文やろ、というようなオマケソフトや、型落ち品のオプションを、ぞろぞろと付けて「こんなに揃って、129,800円です!!」とうたう。たかだか13万円から200円だけ安いのに、どうして、イチキュッパとかに弱いんでしょうかね。たかだか2,000円から20円安いだけなのに。イマドキ、200円や20円で何が買えますか。
オマケの無線LANルーターは型落ち品もええとこ。プリンタも実売5,000円程度のもの。セキュリティソフトなどに至っては「それ、どこのメーカー?」と勘ぐりたくなるような、安っぽいメーカーのものばかりです。それを「豪華4点セット!!」と売り込む、神経の図太さと言おうか、何と言いましょうか。知らないと言うことは、恐ろしいことだ……。
■加齢臭ただようオッサン連中なら
これらを「お得だ」と堂々と売る神経が僕にはわからない。番組を見ていると、設置設定すらよくわからない、中高年層の顧客がインタビューに出ていて「いやあ、無料で設定してもらって助かります」などとのたまっています。
僕は一時期、ケーブルテレビのインターネットにおける、端末の設置設定のバイトをしたことが少しありますが、はっきり言って、1軒回ってナンボ、の単発出来高払いのバイトでした。実に安い労働力です。なぜならば、設置設定は、たとえばパソコンの価格にあらかじめオンされていたり、ケーブルテレビのインターネット料金にオンされていたりするのです。給料は原付のガソリン代にあっちゅう間に消え、あー、あほらし、と思い、すぐに辞めましたが。
今まで電話と電卓とFAXだけで済ませてきた、耳に鉛筆を挟んでいるような、リウマチか何かを患っている、加齢臭ただようオッサン連中が、もしもいま、パソコンを新規導入するのであれば、これはもしかすると、ウン十万円払っても、設置設定や使い方の指導までしてくれるのだから、それはそれで、その人にとっては、とてもお得な買い物なのかも知れませんね。
■売り込みはハッタリかましてナンボ
弘法は筆を選ばず。目先のマシンスペックが良ければ良い方が実際いいのですが、ええもん高いのは当たり前。これ、世間の決まり。ええもん安いのは、大阪の常識。クルマは、走るだけでいい人にとって、クアッドコアなどの、オーバースペックのマシンなどいらないのです。処理速度に、人間が追いついていかないのであれば、それは明らかな無駄な投資ですね。マニアならともかく。
ちなみに僕は、通販番組と同時並行的に「価格.com」で検索してみます。明らかな型落ち品は、そちらの方が安いですし、もう販売すらされていないような型落ち品でも「こんなに高性能です!!」と言い切る商人魂に、ある意味見習う点があるのかも知れませんね。
技術者は、たとえ本当は、人材にツッコミどころが多くても、人材にやや難点があっても、それを補うセールストークが必要なのかも知れませんね。皆さん、嘘っぱちはいけませんが、自分を高く売るという意味で、どんどんハッタリをかましましょう!
今だから申し上げますが、事実、ある会社では、僕の「ソフトウェア開発経歴書」には、VBとC言語が、まるでスイスイ組めるかのように、経歴書が上司によって捏造されていました。いつの間にか。でも、とても自分では責任を負いきれないので、短期間で辞めて、プログラムを組むような業界からは足を洗ったつもりです。
「あなた、ここで、わたくしを雇わないと損ですよ」と言えたら良いのですが、なかなかそういう訳にもいきませんね。難儀な世の中になったものです。僕も「応用情報、MCP、CCNAの3点セット!!」と売り出す訳にも、まだまだいかず。新しいカタカナ略語が次々と試験にも反映され、覚えることが多すぎて、パンク寸前。なので、勉強も遅々として進まず、こうして、夜中の気分転換に、コラムを校正していたりするのです……。
ではでは~。
(こうやって、思索と模索は続く……)