筆者は1970年生まれ。先輩から、情報技術者を目指す若い方へ生きてゆくためのコラムです。

他の何業でもない「情報産業」へのこだわり

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 これまでのアジェンダ的な内容になると思うのですが、これから書くことは、なぜ今から会社員、しかも正社員を再び目指すのか、という質問へのお答えになると思います。単に市民税で食わせてもらっているのが心苦しい……というのもあります。ありますが、これまでの5年間、僕は何をしてきたのかを改めてまとめてみました。

【他の何業でもない「情報産業」へのこだわり】

 僕は、ただ単純に「カネさえ多く入ればええんじゃ」という訳にはいかない特別な理由、つまり、若いころから築き上げた「情報産業へのこだわり」があるのです。単に良い給料の出る仕事ならば、別に情報関連産業でなくてもいいのです。たとえば、金属加工業で昼間働いて、副業で深夜、居酒屋でアルバイト、という風な働き方もあってもいいと思うのですが、これでは自分の若いころの志を捨てることになります。また、スキルの継承も自らの中で行われません。単なるやっつけ仕事だけでは、積み上げたスキルを台無しにすることになるからです。

【疑似起業体験で得られた結果】

 この5年間で、僕は「疑似起業体験」をしました。果たして「田所」という看板だけで、金融機関などの融資先や、エンジェルを説得できるのか。また、赤の他人である株主を説得できるのか。これまで、まがりなりにも築いてきたつもりのビジネスプランは盤石だったのか。僕は中小企業基盤整備機構(中小機構)のセミナーを受けた上で、僕のビジネスプランを検証してみました。結果、恐らく「モノ対カネ」の現物取引を重視する「モノ作り」指向が強い、近畿では僕のビジネスプランは成功しないと判断し、検証した結果の答えは「無理」でした。ならば、もう一度、企業に雇われる立場になろうと考えたのです。

【雇われるのならば初志貫徹し、スキルを磨き、企業に貢献する】

 雇われるからには、初志貫徹し、その上でスキルを磨き、決して単純労働者のように「簡単に取り替えのきくパーツ」に成り下がらないようにしていきたいと考えています。むしろ「田所さんがいなければ仕事が立ち行かない」というぐらいのことは、上司に言わせてみたいと考えています。ならば、上司にそう言わせる近道は何か、と考えたとき、やはり手元にある技術はインフラ系SEなのです。広義の情報技術なのです。これまでの延長線上でいけば。

【求めているのは「ルーチンワーク」ではなくて「ジョブ」】

 単純労働者には成り下がりたくないのです。例えば、金属加工の生産現場では、海外への生産拠点のシフトが始まっています。もし、同じパーツを作ることができるのならば、経営者は、労働者が日本人でなくても、極端な話、それでいいのです。日本人にしかできないこと。日本にいなければできないこと。それは何なのかと考えた時、情報やそれら技術に付加価値をつけることこそが、真の労働だと思います。決してそれは単純な「ルーチンワーク」じゃなくて、情報に付加価値を付けるための「ジョブ」なのです。

【正社員への最短距離は情報技術しかない】

 最も自分のパフォーマンスが活かせ、最も生産性が高い自分の能力は「情報技術」だと。ならばこの5年間でついた「身体のサビ」を落とすために、情報技術に少しでも近い職種のアルバイトを試みながら、心身の回復を図り、なおかつスキルアップも図ること、これより他に道がないと考えるに至ったのです。事実、そうしてきました。

 家計を切り詰め、工夫を重ね、保護費と母親の年金、合わせて月収17万円でも親を食べさせていけるスキルを身につけました。「いつもニコニコ現金払い」の癖をつける、つまりローンやクレジットに頼らない生き方を身につけました。これは自らの自己破産や、限られた収入の中から生活するにはどうすれば良いかと工夫を重ねた結果です。

【生活保護を脱する条件は「正社員のみ」】

 生活保護内で得られた賃金は「自治体の債権」になるので、自治体に全額没収です。その経験を踏まえた上で、改めてもう一度会社員をやってみたい。やらなければ生活保護は脱せられない決まりになっています。目指すのは正社員、そして安定した雇用、それが願いです。

 (思索と模索は続く……)

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