非デジタルネイティブ世代も変わってきているようです
田所さんのデジタルネイティブの記事に触発されて、今回は学校ネタから少し離れて、デジタルネイティブに関していろいろと眺めていた中で、思い至ったことなど少し書いてみたいと思います。
デジタルネイティブという言葉、正直知らなかったのですが、ネットで検索してみると結構でてきますね。デジタルネイティブの定義については、田所さんのコラムで既に紹介されていますので、そちらでご覧いただきたいと思います。
■基幹系システムも変わってきているようです
デジタルネイティブとは直接関係ないところかもしれませんが、やはり「世代」が変わってきているなぁ、と感じていることがあります。
私の仕事は、いわゆる企業の基幹系、またはそれに属するシステムの開発案件に関する仕事が多く、結構堅いシステムが主な領域です。このようなシステムでは、機能が最重要で、デザイン的なところは二の次でした。お客様側でも、慣れ親しんだ操作性をできるだけ変えたくないという要望が強く、デザインや操作性の面では昔のシステムを踏襲するパターンがやはり多かったです。
ところが、ここ2年ぐらいでその流れが変わってきているように感じています。
それは、画面デザインに関して、専門のデザイン部隊がからむ案件が増えてきている、ということです。お客様の要望としても、これから入社してくる新入社員のことを考えて、最近の流行り(というと言葉があんまりよくないですが)に合わせて、デザイン面でも一新したいと考えるお客様が増えてきました。商談の強みの面でも、デザインと操作性を兼ね備えた提案が多くなってきています。
私は2000年に入社したのですが、当時(の画面)を振り返ると、「背景が灰色で、飾り気のない画面」が主流でした。そして、(画面デザインについては)それ以上は求められてませんでした。長年それでやってきている大半のSEは、画面設計をするとそんな画面を作ってしまいがちで、その結果「いつの時代の画面だよ」ということになるわけです。
先日、昔お世話になった部長さんとそのような話をしていて、やっぱり「(私も含めて)SEが作ると画面が古くさくなっちゃうよね~」という話になりました。だんだんとこのような認識が広まってきてることを改めて認識しました。
基幹システムでも、パソコンやインターネット等、仕事の道具ではなく、生活の一部として慣れ親しんだ世代のことを考えないと時代遅れ、といわれるようになってきたなぁ、と実感しています。
■プロダクトアウトに立ち戻ってみては?
さて、デジタルネイティブの記事をいろいろと目を通していて、ふと思ったのですが、「プロダクトアウト」的な観点にすこし立ち戻ってみてはどうか? と感じています。
ビジネスでやるからには、普通は収益性を考えるわけで、収益性を考えると、自然と「ニーズ」を考えて、それに対するソリューションを提案していくわけです。でも、ただでさえ変化の激しいIT業界、ニーズを読むのってかなり難しいですよね。
デジタルネイティブ世代は、いまあるツールやサービスが、当たり前のようにある状態がベースラインとして、その上で様々な新しい使い方をどんどん出していくわけです。
一方で、我々のように今のIT業界を作っている側の人間とは、ベースラインの意識からして違うと感じています。デジタルネイティブ世代とくらべてずーっと低いところにベースラインがある。先の画面デザインの話もそうですが、自分自身の反省も含めて、考え方が古くさくなってしまっている気がします(もちろん、そうじゃない人も数多くいらっしゃいます)。
こんな状況の中で、先に触れたように、ニーズを読み切るって本当にできるのかな、と思ってしまうわけです。
じゃあ、どうするか、って話ですが、これは極論かもしれませんが、最近、あまりいい意味では使われていない「プロダクトアウト」的な観点に立ち戻って、新しい仕組みやサービスをどんどん出して、デジタルネイティブ世代のような、使う側にサービスの善し悪しをゆだねてみるもの1つの手かな、と思っています。
インターネットビジネスって、1個当たれば大当たり(なんだかITバブル時代みたいでちょっと語感が悪いですが)のいわゆるマスビジネスなわけです。ニーズや収益をまったく考えないのはビジネスとしてはあり得ないのですが、それを「二次的要素」としていったん脇に置いておいて、プロダクトアウトの考え方でともかくどんどん出していく、そういう考え方を復権させてみてもいいんじゃないか、と思っていますが、みなさんいかがでしょうか? (自分がそういう仕事をしてみたいと思っている裏返しかもしれないですね)