スキルアップとビジネスリスク、実践力ってどうすれば?
みなさん、自分に足りないところをどうやって強化していますか?
自分に足りないところを鍛える、といっても、やはり仕事の環境では、ビジネスですから当然、結果が求められます。なんでもかんでもチャレンジするわけにはいきません。
新人のうちはまだしも、やはり現場ではそれぞれの専門領域が仕事の主体になってしまいます。特に、短期間で成果を出さなければいけないところではなおさらで、まったくの素人の分野に手を出すのは、ビジネスや職制上のリスクを考えると、どんどん難しくなっていくのではないでしょうか?
産業技術大学院大学のPBLは、そんなところを何とかできそうな、数少ない場の1つです。
前回からしばらく空いてしまいましたが、しばらくは、産技大のカリキュラムの大きな特徴であるPBLについて書いていきたいと思います。
PBLについては、産技大のサイトにも紹介がありますが、「Project Based Learning」の略です。その名の通り、1年間をすべてプロジェクト形式で進めていく形で、1年次は基本的にすべてをPBLで費やすことになります。
産技大のPBLには、上流技術タイプ、開発技術タイプ、研究タイプとざっくり3種類ぐらいあって、それぞれの専門分野の担当教官が、大まかなテーマ設定を行っています。
学生は、その中で自分がやりたい分野、やりたいことを選択する、という形になっています。
■ビジネスリスクのない環境
先にも書きましたが、やはり仕事の上ではビジネスリスクは回避し得ないところです。とは言っても、スキルアップにおいては、自助努力だけでは、いかんともしがたいところもあります。
例えば上流設計では、メソドロジ的な内容を勉強することはできても、本当の組織や企業の業務分析をそれなりの期間をかけて実施しないと習得は難しいですよね。また、実装技術についても、サンプルは世の中に山ほど転がっていますが、目的意識や着眼点をしっかり見定めていないと、「ちょっとやってみた」で終わってしまって、結局すぐに忘れてしまいがちです。
そこで出てくるのが産技大のPBLです。学校という環境の中ですので当然ですが、ビジネスリスクを考えることなく、未知の分野にしっかりチャレンジすることができるのが、PBLという形式の大きなアドバンテージです。
「所詮学校、シミュレーションじゃないの?」と思われるかもしれませんが、それはある意味、自分次第です。
PBLでは、大まかなテーマの領域は与えられるものの、その後の計画と実行はすべてメンバー主体で行います。また、一部のPBLでは、実際の企業や組織に協力いただきながら行うため、実践的なテーマ選択も可能です。
■ここは当然、未経験分野を!!
わたし自身は、元々アプリケーションの基盤領域が専門で、業務分析や要求分析に関する経験が皆無でした。そういう領域も強化したいと思いつつ、上流設計手法等の研修会などを受けてみたりしたのですが、それを生かす場もなく、結局身についていない状態でした。
PBLテーマ選定の際、そういう領域のPBLがあることを知り、これはチャンスとばかりに、思い切って上流の業務観点でのテーマ選択ができるPBLを選択しました。
実際にPBLを行う上では、いろいろ紆余曲折もあったのですが、某地方公共団体の組織にご協力いただくことができ、そこの業務分析と課題抽出、そして改善提案という内容で1年間過ごしてきました。
次回以降は、このPBLの内容など、順次お話したいと思います。
■実は……
ところで、実は「元社会人大学院生」になってしまいました(そもそも、このコラムを始めたのが2年目の秋からだったのですが)。
2月11日にPBL成果発表会があり、3月14日に学位授与式があって、ついに2年間の大学院生活が終わってしまいました。しばらくPBLについてお話しながら、今後のこと(コラムの題名とか)を考えていきたいと思っています。
いろいろあって、しばらく間が空いてしまいましたが、じょじょに復活していきますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。